第31章    小鼓を初めて見る【19歳】

ホームパーティー

織田フィールドの

アメフトの練習が終わって

キャプテンだったOさんが

「うちで食事をしよう」と誘ってくれました。

そのとき休みで夕刊の配達がないときでした。

 

 

平日の夕方は、

中目黒に戻って夕

刊がありましたから

配達のない休みの日は待ち遠しいものでした。

 

 

さて誘われたのはいいのですが、

中目黒の寮から織田フィールドへは

原付で10分くらい。

 

着替えたり後片付けをする間に

うちでシャワーを浴びられるような距離感です。

 

それなので着替えも持たずに

練習に行っていました。

 

 

練習したあとの

泥のついた

汚れたままの格好でいくことになりました。

 

 

同じアメフトの仲間なので

許容してくれるかと思いつつも、

汚い格好で気恥ずかしさを感じながら

買い物にいきました。

 

Oさんは豪快で

デパートに入り牛肉のブロックを買い

、結構大量の食材を買いました。

 

ローストビーフの仕込みから始まって、

室内バーベキューのようになってきて

アメリカ育ちの人は違うものだと

感心していたものです。

 

 

小鼓を初めて見る

宴もたけなわになり、

お開きに近づいた頃、

Oさんの弟さんが帰宅しました。

 

弟さんは

狂言と小鼓を稽古しているとのことでした。

 

アスリート型の兄に対して

アカデミックな雰囲気の弟さんだった。

バットマンとロビンという印象です。

 

帰り際にOさんから頼みで、

みんなの前で小鼓を打ってくれました。

 

これが私が小鼓を近くで見る

初めての体験になりました。

 

当時は全く興味がなかったので

音はあまり覚えてません。

 

 

それでも小鼓を打つ姿は目に焼き付いています。

ちょうどサイレント映像な感じの記憶です。

 

 

初めて見たときなんとも

思っていなかった小鼓を、

今になって一生懸命やっている。

 

進むべき道を示すために

度々サインが現れます。

 

 

自分では自覚がないうちに

無意識では

受け取っているのかもしれません。

魂に導かれているという感覚も

こんな感じですね。

 

 

このときは

自分がプロとして舞台に出るということは

全く想像もしていないことでした。

 

自分には全く縁の無い世界、

絶対に

一生触ることはないと思っていたのです。

 

国立能楽堂の養成に合格した後

小鼓を選んだことと

このときの体験は直接は関係ありません。

 

このときから13年たって

独立記念として「道成寺」を勤めます。

 

その少し後にはじめて

小鼓を見せてくれたOさんの弟さんは

35歳で他界されてしまいました。

能楽のことが話せれば

舞台の感想など聞いてみたかった。

 

あのときこうしておけばという

後悔をする人がとても多いらしい。

 

実際には興味と疑問のタイミングが

合うことの方が希なことだと思います。

 

自分の興味と、目にする物には

タイミングのズレがあると

実感した体験になりました。

 

次は「第32章 休学する」です。

2年たってなかなか人生の方向が見えない私は休学することにします。

転換期に向かってすすんでいきます。

https://ameblo.jp/yuji-nohgaku/entry-12598894775.html

 

 

 

生まれる前

第01章【誕生前】 選んだ家庭
第02章【 0歳 】 誕生

幼少期

第03章【  2歳  】 トイレに落ちるのをこらえていた
第04章【 4歳 】 幼稚園に送迎なしで通っていた
第05章【 4歳 】 祖母にコップで殴られる
第06章【 4歳 】 祖母に仕返しをする
第07章【 4歳 】 茶化されるのが嫌い
第08章【 4歳 】 ブランコの鉄パイプが顔に刺さる
第09章【 4歳 】 本をひたすら開いていた
第10章【 5歳 】 世田谷線を止める

小学生

第11章【 6歳 】 小学校初登校
第12章【 9歳 】 弟の病気
第13章【 9歳 】 柔道を始める
第14章【 10歳 】 給食着の紛失
第15章【 10歳 】 光に包まれる

中学生

第16章【 13歳 】 父が亡くなる
第17章【 13歳 】 ギターを始める
第18章【 14歳 】  国士舘大学の柔道部にゆく
第19章【 15歳 】 天敵が現れる

高校生

第20章【 15歳 】 サッカー部に入る
第21章【 17歳 】 交通事故
第22章【 18歳 】 柔道大会で優勝する
第23章【 18歳 】 ビンテージギターを手にする
第24章【 18歳 】 テンプル大学とのご縁
第25章【 18歳 】 引っ越し
第26章【 18歳 】 衝撃の初月給

大学

第27章【 18歳 】 テンプル大学「卵」と「バナナ」
第28章【 18歳 】 アメフトを始め防具を譲り受ける
第29章【 19歳 】 失恋劇場は上手ばかりではない
第30章【 19歳 】 座間キャンプで英語が通じない
第31章【 19歳 】 小鼓を初めて見る
第32章【 19歳 】 休学する
第33章【 20歳 】 国立能楽堂に願書提出

国立能楽堂研修生

第34章【 20歳 】 国立能楽堂の試験
第35章【 20歳 】 人生を決めた一冊「行動学入門」
第36章【 21歳 】 国立能楽堂の稽古とアルバイト

内弟子

第37章【 23歳 】 20年の運転が始まる

独立

第38章【 32歳 】 独立記念能
第39章【 41歳 】 演奏家の妻と結婚
第40章【 42歳 】 娘が誕生
第43章【 43歳 】 舞台から集中治療室に運ばれる

退院後

第42章【 43歳 】 退院後に待っていたもの
第43章【 43歳 】 いのちの電話
第44章【 44歳 】 野菜自給生活
第45章【43~47歳】社会勉強勉強でセミナー通い
第46章【 44歳 】 自分を変えなければ何も変わらない
第47章【 47歳 】 重要無形文化財能楽保持者の認定
第48章【 47歳 】 初出版『ビジネス版「風姿花伝」の教え』
第49章【 49歳 】 読書の習慣化
第50章【 50歳 】 神社とお寺に立ち寄る習慣

まとめ

これから