娘の誕生

第40章は

大切な人の人生の節目は一緒にいるのが大事と学んだ体験です。

 

自分が40過ぎていたこともあり

子どもを育てるなら

もうぎりぎりではないかと思っていました。

 

 

成人するときには還暦です。

また妻も子供が欲しいと言っていたので

二人で話し合って子をつくることにしました。

 

 

近くの病院に行き立ち会い出産の講習も受けにいきました。

家にいるとき、

また自分が仕事でいない時にも

陣痛が来た時に立ち会えるようなスケジュールで

稽古を調整していました。

 

 

そうしたところ名古屋の

流儀の先輩がくも膜下出血で

入院したという知らせが入りました。

 

 

まもなくその先輩は他界したのです。

能楽界に入ったはじめから

教えていただいた方でした。

 

 

お通夜と葬式がちょうど出産に重なりました。

また葬式の日に

道成寺の申合せが重なっていました。

 

 

道成寺は小鼓方にとっても

能楽師にとっても大曲です。

 

 

亡くなった先輩の弟子が代役することになりました。

そして申合せに立ち会うかどうかを尋ねられました。

自分にとっては舞台も大切だが

妻のことが心配だったので

すぐに帰りたいと思っていました。

そして数年後に起こる顛末も

このときから頭に浮かんでいました。

 

 

このときは強迫観念で縛られていました。

申合せに立会ってから東京に帰ることにしました。

 

名古屋に行く前に陣痛が始まり

入院をしていたのでい

つ産まれてもおかしくない状態です。

 

 

病院からは何度も連絡があり

葬式の間また申合せの間に

留守電を聞いては病院に状況を聞いていました。

 

 

そしてちょうど申し合わせが終わる頃、

出産したという連絡が入りました。

 

 

急いで新幹線に乗り 

夜になって病院に着きました。

 

 

生まれたばかりの我が子を一目見たとき

同じ足の形を見て

本当に自分の子なのだと実感がありました。

 

 

また出産まで14時間かかったと聞いて

一人にさせてしまったのを申し訳なく思いました。

 

 

一生に一回しか無い誕生に

一緒にいられなかったことはなにか

自分の人生の縮図のようでたまらない思いでした。

 

 

それでも娘の誕生に代えがたい喜びはないものです。

 

 

本当にこの時は価値観が

狂っていたのではないかと思います。

病院も近いこともあり

連絡も密にとり

理解していると思っていたが

人生の節目を

一緒に過ごすかどうかは 

後の人生に影響します。

 

 

名古屋に行くときは流儀の葬式ということもあり、

舞台を優先しないことは 

一生の傷としてつきまとうのではないかと思っていました。 

 

 

出産はもちろんのこと、

人生の節目はともに過ごすることが

幸福な人生にとって

とても大切なことだということを学びました。

 

 

判断基準はひとそれぞれですが、

自分の大切にしているものを

よく見極める。

 

そのうえで命という持ち時間をどう使うか決める。そ

 

うしないと多くの時間が

無になってしまうことを実感したできごとでした。

 

次は「第41章 舞台から集中治療室に運ばれる」です。

喜多能楽堂での「楊貴妃」出演中の出来事です。

https://ameblo.jp/yuji-nohgaku/entry-12598892528.html

 

 

生まれる前

第01章【誕生前】 選んだ家庭
第02章【 0歳 】 誕生

幼少期

第03章【  2歳  】 トイレに落ちるのをこらえていた
第04章【 4歳 】 幼稚園に送迎なしで通っていた
第05章【 4歳 】 祖母にコップで殴られる
第06章【 4歳 】 祖母に仕返しをする
第07章【 4歳 】 茶化されるのが嫌い
第08章【 4歳 】 ブランコの鉄パイプが顔に刺さる
第09章【 4歳 】 本をひたすら開いていた
第10章【 5歳 】 世田谷線を止める

小学生

第11章【 6歳 】 小学校初登校
第12章【 9歳 】 弟の病気
第13章【 9歳 】 柔道を始める
第14章【 10歳 】 給食着の紛失
第15章【 10歳 】 光に包まれる

中学生

第16章【 13歳 】 父が亡くなる
第17章【 13歳 】 ギターを始める
第18章【 14歳 】  国士舘大学の柔道部にゆく
第19章【 15歳 】 天敵が現れる

高校生

第20章【 15歳 】 サッカー部に入る
第21章【 17歳 】 交通事故
第22章【 18歳 】 柔道大会で優勝する
第23章【 18歳 】 ビンテージギターを手にする
第24章【 18歳 】 テンプル大学とのご縁
第25章【 18歳 】 引っ越し
第26章【 18歳 】 衝撃の初月給

大学

第27章【 18歳 】 テンプル大学「卵」と「バナナ」
第28章【 18歳 】 アメフトを始め防具を譲り受ける
第29章【 19歳 】 失恋劇場は上手ばかりではない
第30章【 19歳 】 座間キャンプで英語が通じない
第31章【 19歳 】 小鼓を初めて見る
第32章【 19歳 】 休学する
第33章【 20歳 】 国立能楽堂に願書提出

国立能楽堂研修生

第34章【 20歳 】 国立能楽堂の試験
第35章【 20歳 】 人生を決めた一冊「行動学入門」
第36章【 21歳 】 国立能楽堂の稽古とアルバイト

内弟子

第37章【 23歳 】 20年の運転が始まる

独立

第38章【 32歳 】 独立記念能
第39章【 41歳 】 演奏家の妻と結婚
第40章【 42歳 】 娘が誕生
第41章【 43歳 】 舞台から集中治療室に運ばれる

退院後

第42章【 43歳 】 退院後に待っていたもの
第43章【 43歳 】 いのちの電話
第44章【 44歳 】 野菜自給生活
第45章【43~47歳】社会勉強勉強でセミナー通い
第46章【 44歳 】 自分を変えなければ何も変わらない
第47章【 47歳 】 重要無形文化財能楽保持者の認定
第48章【 47歳 】 初出版『ビジネス版「風姿花伝」の教え』
第49章【 49歳 】 読書の習慣化
第50章【 50歳 】 神社とお寺に立ち寄る習慣

まとめ

これから