俺も声が出た。
「げ」
前から歩いてくる男の頭を見てすぐに誰だか分かった。
ヒロシだった。
思わず鼻で笑ってしまった。
ヒロシも俺達に気がついたのか、視線をそらしたのだった。
森木も横でクスリと笑った。
距離が縮まり、森木がヒロシにむかって声をかけた。
「どーこ行ってたんだよ」
ヒロシはブスっとした顔のままで「別に」と答えた。
おおかた宿に戻るのが気まずくなってうろうろしていたのだろう。
深くは聞かなかった。
「まだヒデ君たち戻ってないわ」森木が言った。
それに対してもヒロシは何か答えるわけでもなく、あいかわらずブスっとしたままだった。
顔中傷だらけな上に、ブスっとしているものだから、怒ったゾンビみたいだった。
「俺らこれからさ、お前等をここまで乗せてきてくれたトラックの運ちゃんの家に行こうと思うんだけどさ、お前も来るかヒロシ?」森木が言った。
するとヒロシはブサイクな顔のまま「いやだね」と言った。
「さっさと東京帰れよ」俺が言った。
ヒロシは俺をキっとにらみつけた。
分かりやすい奴だと思いながら、俺は勝手に歩き始めた。
すると森木に続いてヒロシも少し遅れて後をついてきたのだった。
それからしばらくして、間もなくヤスシの家に着こうという時に、遠くから聞き覚えのある単車の音がしたのだった。
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
シンゴ(坂東高校一年金髪坊主)
サダミツ(坂東高校一年筋肉マン)
ワタル(唇ピアス。坂東高校一年)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
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