(初めての方はコチラ↓から)
チキン番外編①
その子は振り向かずに、ごく自然な感じで歩いていく。
目立たないようにしているのだろう。
その子は人目を避けられるような自販機コーナーに入っていくと、やっと振り向いて手招きした。
俺もごく自然に自販機コーナーに入っていった。
「何してん?君、絵美といた人だよね?」
正面から顔をみてようやく誰だか思い出した。
絵美と俺のツーショット写真を撮ってくれた子だった。
「ん、あー、うん」
その子は言葉を続けた。
「びっくりしたわぁ。あんな事件おこして。こんな所にいたら先生に見つかるよ?まさか絵美に会いにきたとか?このこのぉ」
その子は俺を軽くおだてた。
「ん、あー、うん。そうだよ」
「ていうかそんな顔でここにおったらすぐバレるやん。ぼこぼこやん君」
時間がない。
俺は本題を切り出した。
「絵美に会える?」
「んー、どうやろ。先生の見回り結構きついんよ。それにうちのガッコのヤンキー達に見つかったらもっと大変やで」
「マサシたちはどこにいんの?とりあえず挨拶しとこうと思ってさ」
「挨拶て」
そう言ってその子は笑った。
「マサシらは謹慎中。あいつらは部屋から一歩も出られんよ。部屋の前にドーンとセンセが見張ってるし」
「そっか」
どうやらマサシたちに会うのは本格的に無理らしい。
「絵美、私と同じ部屋だし、君が来たよって伝えてこよっか」
願っても無いチャンスだ。
「お願いしていいかな」
俺がそういうとその子は優しい顔で頷いた。
「呼んできてもらえるとか?」
「うん、ええよ。見つからないようにどこかに隠れてたほうがいいんちゃう?」
「むしろ俺が部屋に行ってもいいよ」
「こら」
「だよね」
「じゃあ、ちょっと上手く隠れてて」
そう言うと彼女は自販機コーナーから出て行こうとした。
その時だった。
見るからに不良の二人組みが自販機コーナーに入ってきた。
井口達也
↓★応援クリックよろしく★↓
・チキン第一話はこちらから
SNSも宜しくね
■井口ブログFACEBOOK
■井口ブログTwitter