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チキン番外編①

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チキン番外編27



その子は振り向かずに、ごく自然な感じで歩いていく。




目立たないようにしているのだろう。




その子は人目を避けられるような自販機コーナーに入っていくと、やっと振り向いて手招きした。




俺もごく自然に自販機コーナーに入っていった。




「何してん?君、絵美といた人だよね?」




正面から顔をみてようやく誰だか思い出した。




絵美と俺のツーショット写真を撮ってくれた子だった。




「ん、あー、うん」




その子は言葉を続けた。




「びっくりしたわぁ。あんな事件おこして。こんな所にいたら先生に見つかるよ?まさか絵美に会いにきたとか?このこのぉ」




その子は俺を軽くおだてた。




「ん、あー、うん。そうだよ」




「ていうかそんな顔でここにおったらすぐバレるやん。ぼこぼこやん君」




時間がない。




俺は本題を切り出した。




「絵美に会える?」




「んー、どうやろ。先生の見回り結構きついんよ。それにうちのガッコのヤンキー達に見つかったらもっと大変やで」




「マサシたちはどこにいんの?とりあえず挨拶しとこうと思ってさ」




「挨拶て」




そう言ってその子は笑った。




「マサシらは謹慎中。あいつらは部屋から一歩も出られんよ。部屋の前にドーンとセンセが見張ってるし」




「そっか」




どうやらマサシたちに会うのは本格的に無理らしい。




「絵美、私と同じ部屋だし、君が来たよって伝えてこよっか」




願っても無いチャンスだ。




「お願いしていいかな」




俺がそういうとその子は優しい顔で頷いた。




「呼んできてもらえるとか?」




「うん、ええよ。見つからないようにどこかに隠れてたほうがいいんちゃう?」




「むしろ俺が部屋に行ってもいいよ」




「こら」




「だよね」




「じゃあ、ちょっと上手く隠れてて」




そう言うと彼女は自販機コーナーから出て行こうとした。




その時だった。




見るからに不良の二人組みが自販機コーナーに入ってきた。



井口達也


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