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チキン番外編①

チキン番外編②

チキン番外編③

チキン番外編④

チキン番外編⑤
チキン番外編⑥
チキン番外編⑦

チキン番外編⑧

チキン番外編⑨

チキン番外編⑩

チキン番外編⑪
チキン番外編⑫

チキン番外編⑬

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チキン番外編⑮

チキン番外編⑯
チキン番外編⑰

チキン番外編⑱
チキン番外編⑲

チキン番外編⑳

チキン番外編21

チキン番外編22



ゲラゲラと笑う男達に、周りの乗客たちは下を向いたまま迷惑そうな顔をしている。




俺の膝に誰かが手を置いた。




ヒロシだった。




「行くんじゃねーぞ」という事だろう。




すると俺より先にテルが、女の子に声をかけた男にすっと近寄り、襟首を掴んで後ろに引きずり倒した。




そしてそのまま顔面に拳を落とした。




殴られた男はその一発で完全にのびてしまった。




テルはとにかくカバぢから、いや、馬鹿ぢからだから、これをされたらさすがにキツイ。




あっという間の出来事だった。




それを見て、座っていた男達がテルに向かって走り出した。




テルは前蹴りをして一人の突進を止めた。




残りの一人はテルを殴り飛ばした。




俺はヒロシの制止もお構いなしで立ち上がって、テルを殴った男を殴り飛ばした。




周りの乗客はあまりの状況に声も出さずに、潮が引くように俺達から離れたのだった。




さすがに関わりたくないと思ったのだろう。




もみ合いになってすぐに電車はまた次の駅に着いた。




ドアが開くと、テルは前蹴りで止めた男に頭突きをして、のけぞったところにタックルをし、なんとそのまま担ぎ上げた。




そしてドアに向かって運び、そのまま外に放り投げた。




ついでに倒れている男も引きずり出した。




俺とやりあっている男はなかなかしぶとく、体格に劣る俺を掴んで離さなかった。




するとその男もテルが引き剥がし、髪とベルトを掴んで持ち上げ、そのまま外に放り投げた。




コンクリートに叩きつけられた男達はすぐには立てなかったが、一人は立ち上がり、ドアが閉まりかけた所によろよろと近付いてきた。




なんとか中に入ろうとしたが、ドアは閉まり、手だけが挟まれた形になった。




すると、それまで何もしていなかったヒロシが、ドアを掴んでいるそ男の手を蹴り上げた。




手はドアから離れ、ドアは閉まったのだった。




その様子を見てテルがヒロシに言った。




「お前…ひでーな…」




「お前らの方がひでーよ。何で着く前に喧嘩すんだよバカ!」




周りの乗客は当然俺達から離れたままだ。




誰も声を出さない。




その代わり、誰も駅員を呼ぶような事はしなかった。




電車はそのまま発車した。




その後もヒロシの小言は続いた。




「気まず過ぎるよ」




そう言ってヒロシは次の駅で俺達を引いて電車を下りた。




「何で下りるんだよ」




俺がヒロシに聞くと、ヒロシは言った。




「周りの人達チラチラこっち見てるしさぁ、気まずいって。それに誰かがチクったらヤバイじゃん。っていうかお前らほんとにバカ過ぎるっつーの。場所考えてよほんと」




俺達は一服をして次の電車を待った。




テルはしみじみとした口調で言った。




「タバコ、んめーな」




「何たそがれてんだよ」




俺がテルにそう言うと、ヒロシが口を挟んできた。




「いい事した感じになってんじゃねーよ。だいぶ周りの迷惑になってっから」




「カッカッカ」




テルは満足そうに笑って、タバコをもう一吸いしたのだった。




しばらくして次の電車が来て、ドアが開いた。




~つづく~



井口達也




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