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チキン番外編①
「邪魔ものが居なくなってよかったよ」
「そうやね」
マサシが立ち去ったあとも、絵美は俺から離れるのを忘れたのか、腕を絡めて体を俺に寄せたままだった。
俺は気付いていたが、いらない事を言って離れられるのも嫌なので、あえてその事には触れずにいた。
その後もたわいもない会話を楽しんだ。
暫くして、絵美が「こうしてると、落ち着くわぁ」と言った。
そしてまた言葉を続けた。
「つんつん、おもない?」
寄りかかっていることを言っているのだろう。
「重くないよ」と俺は答えた。
そろそろ離れられてしまうかもしれないと思った。
しかし絵美は離れなかった。
「もう会えん?」
「会いたいね」
「やろ?でも遠いから、きっとここでバイバイやね」
明るい絵美にしては珍しく沈んだ声だった。
「行くって言ったじゃん」
行く気半分、行けなそうな気が半分。社交辞令の言葉だった。
「ありがと」
絵美もその辺は分かっているのだろう。
来ないという諦めもあったろうが、素直にこの出会いにありがとうと言った。
「いい思い出になったわぁ」
「まだそんな事を言うのははえーよ。ちょっと歩こうぜ」
すると絵美はふっきれたのか、「ええよ」といつもの明るい声で答えた。
二人は残りの時間を少しでも楽しもうと、歩き始めた。
途中でロナルドダックと一緒に写真を撮ってあげた。
その後、絵美の学校の子に見つかり、絵美はヒューヒューと冷やかされていた。
その中の一人にお願いをして、絵美と俺は一枚だけ写真を撮ってもらった。
「つんつん、焼き増しして送るね」
写真を撮る習慣がなかったから、俺は目一杯ぎこちない顔をしていたと思う。
それから小一時間、あちこちの店を覗いたり、きぐるみと戯れたりして時間を過ごした。
いよいよ解散の時間が近付いてきたので、俺は絵美をみやげ物屋に誘った。
金はほとんど持っていなかったが、絵美にネズミーマウスのキーホルダーをプレゼントした。
絵美は俺が買ってあげたものと同じキーホルダーを買って俺にプレゼントしてくれた。
絵美は早速カバンにキーホルダーをつけたので、俺もどこかにつけようと思ったが、手ぶらなのでブレザーのボタン穴につけた。
不良がネズミーマウスのキーホルダーをブレザーにぶら下げて歩く様子は、自分でもおかしかった。
しかし、絵美は「これでおそろいやね」と言って笑ってくれたのでそれで良かった。
なんだか無性に離れたくない気持ちに襲われた。
頭の中は、キスしたいという思いと、離れたくないという思いで充満していた。
「えみえみ、んー、なんでもない」
「つんつん、どしたん?」
残り時間の少なさと、キスをしたくても無理だろうという諦めと、離れたくないという思いで、どうしていいか分からなかった。
すると絵美は手を出した。
俺が不思議そうな顔をすると、絵美は「手、手」と言った。
俺は言われるままに手を出した。
すると、絵美は俺の手を握った。
「えみえみ、手なんか繋いだら、先生に怒られない?さっき言ってたじゃん」
「ええやん」
そう言って、絵美は俺を引っ張るように歩き始めた。
~つづく~
井口達也
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