「ドロップ」を読んでいる人達は、きっと俺のことを鬼か悪魔かラオウとでも思ってるかもしれないから、敢えて言おう。
チキンとは英語のスラングで、日本語では「臆病者」や「腑抜け」に相当し、意気地の無い人間を揶揄する際に使われる。
常に周囲の目を気にして、自分の身を守ろうとするのは多くの人間が持つ本能の感覚だと思う。
しかし、実際のニワトリは好戦的で、気性の荒い動物であるという。
身を守る為にはその身を捨てた攻撃も辞さない一面も持っている。
軍鶏がその確固たる例だろう。
俺は人並みに恐怖を感じ、人並みに臆病でチキンな面も持っていた。
感情を表現するのがちょっとだけ不器用なワルガキだった。
仲間との出会いがその不安や恐怖を乗り越えさせた。
そして俺の行く手を阻むどんな困難からも逃げない心も教わった気がする。
人は臆病者だからこそ強くなるチャンスがある。
そして強さとはある意味優しさでもあるかもしれない。
それに気がつくのには長い時間が掛かり、多くの犠牲も払った。
数え切れない程のバカをした。
数え切れない程の喧嘩をした。
心を閉ざし、やみくもに人を傷つけてしまう事もあった。
その過程で俺は切っても切れない仲間と出会っていった。
そんな俺の昔話だと思って読んでくれたら嬉しい。
今でも俺を支えてくれている仲間達に捧げる気持ちでこの「CHICKEN」を書いていく。
そしてこれを読んでくれてるあなたの暇潰しになればそれでいい。
この作品はおそらくフィクションです(笑)
ヒロシ(品川)と出会う前の、井口達也について書いていくので、よろしく。
次回更新は、「CHICKEN」◆第1話◆