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チキン番外編①

チキン番外編②

チキン番外編③

チキン番外編④

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チキン番外編⑥
チキン番外編⑦

チキン番外編⑧

チキン番外編⑨

チキン番外編⑩

チキン番外編⑪
チキン番外編⑫

チキン番外編⑬

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チキン番外編⑮

チキン番外編⑯
チキン番外編⑰

チキン番外編⑱
チキン番外編⑲

チキン番外編⑳



狛江から無事に電車に乗った俺たち。




珍しく車内は八割方埋まっている。




微妙な感覚で皆が座っているから、座れずにチラホラと立っている乗客もいた。





「テルよぉ、お前浅草までの行き方知ってる?」




「知るわけねーべ」




そんな俺とテルの会話を冷めた目で見つめるヒロシ。




「俺が分かるからいいよ…。誰だよ電車で行こうとか言った奴」




ヒロシは呆れた口調で言った。




「えらそうに言ってんじゃねーぞコラ」




俺がそう言うと、ヒロシは言葉を返した。




「何だよ。んな事言うなら連れてかねーぞ達也」




「連れてけよ」




「やだよ」




「殴るぞコラ」




「やってみろよ」




「あ!?」




俺とヒロシが口論をしていると、テルが口を挟んできた。




「おい。おめーら田舎モンには分からねーと思うけどよ、んな声で喋ってたら周りの迷惑だろうが!」




この男、悪いのか良いのか、とにかく極端な男だ。




ヒロシは負けじと言い返した。




「テルの声の方がでけーじゃん。静かにしろよ。それに浅草まで行けないお前らの方がカッペじゃん」




「ぐ…」




ヒロシに口撃されて言い返せないテル。




ふてくされてそっぽを向いてしまった。




俺たちはどうにか席を見つけ、俺を挟んでヒロシとテルが両脇に座った。




それから少ししてテルが口を開いた。




「達也よぉ、あいつらさっきからこっち見てんだけど、どうする?」




電車に揺られながら、テルが俺に言った。




少し離れた斜め前の席には一目で不良と分かる男達が三人座っている。




「お前らほんとにどうしようもねーよ。着く前に喧嘩する気かよ」




ヒロシがテルにつっこんだ。




「お前ら、じゃなくてテルがバカなんだよヒロシ」




「達也、お前も十分バカだよ」




「待てよヒロシ、達也はバカだけど俺はバカじゃねーぞ」




テルが言い返してきた。




「ヒロシ、あれ見てみろよ。目の前におじーさんが立ってるのにあいつら座ったままじゃねーか。しかも俺らにちょこちょこガンつけやがってよぉ。俺を誰だと思ってんだよ」




そうテルがヒロシに言うと、ヒロシも言い返した。




「誰だと思ってるっつーか、お前はカバだろ。カバが電車に乗ってて珍しいからこっち見てんだよ」




ヒロシの言葉が気に入らなかったのか、テルは立ち上がった。




ヒロシは思わず身をすくめた。




テルはその様子を気にもとめず、こちらを見ている男達に向かって歩き始めた。




~つづく~



井口達也

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