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チキン番外編①

チキン番外編②

チキン番外編③

チキン番外編④

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チキン番外編⑳

チキン番外編21

チキン番外編22
チキン番外編23

チキン番外編24





「ヒロシよぉ、何でそんなに機嫌悪そうなんだよ」




テルがヒロシに話しかけると、ヒロシはもっと不機嫌な顔になった。




バカ二匹を連れて来るだけでも大変なのに、いよいよ敵に近付いたとなって、ヒロシにしたら気分が晴れるはずもなかった。




夜の七時位だった。




人通りも多く、東京のはずれから出てきた俺達にしたら都会だった。




「有名な寺があったよな。なんだっけ?行ってみようぜ?」とテルが言うと、やっとヒロシが口を開いた。




「何しに来たんだよ」




そう言われてテルは少し考えて、「お前らのケツを拭きにきたんだろ」と答えた。




ヒロシはテルをバカにするつもりが、テルに一本取られた形になった。




俺達がやられて狛江に泥を塗ったから、それを拭きに来たという事だ。




ヒロシは舌打ちをして歩き始めた。




「ヒロシ、この辺詳しいのかよ」




俺が聞くと、ヒロシは「ああ」とだけ答えてどんどん進んだ。




早くホテルに連れて行って、どうにも出来ないことを俺とテルに分からせたいのだろう。




「来たことあんの?」と俺はしつこく聞いた。




するとヒロシは「ああ」とだけ答えた。




ヒロシが不機嫌な理由も何となく分かってはいたが、俺は受け答えを適当にされるのは好きではない。




俺は前置き無しでヒロシの頭を引っ叩いた。




「イダ!何すんだよ達也!」




「何でもねーよ」




「てんめぇ…やんのかよ。あ!?」




ヒロシはさらに不機嫌になり、けんか腰になった。




俺は面倒になったので、返事をする前にヒロシを押すように蹴った。




ヒロシは俺を睨んだ。




それを見てまた蹴った。




するとヒロシもやり返してきた。




お互いに無言で蹴って、蹴られて、蹴って、蹴られた。




その力はどんどん強くなり、いよいよ殴り合いが始まるかという時に、テルが俺とヒロシにゲンコツを落とした。




「「イダ!」」




俺とヒロシの声がハモった。




頭からプシュゥと煙が出ていそうな衝撃だった。




頭をおさえてうずくまる俺とヒロシ。




「「何すんだよカバ!」」



またハモった。




「ザコ同士がじゃれあってんじゃねーよ。行くぞオラ」




「「チッ」」




またハモった。




「ヒロシ、俺の真似すんじゃねーよ」




「達也こそさっきからハモってくるんじゃねーよ」




「は?」




「あぁ?」




険悪な雰囲気のまま、俺達は絵美やマサシ達が泊まっているホテルに向かって進んだ。



「ヒロシ、まだかよ」




テルが聞いた。




もう十分以上歩いている。




するとヒロシは立ち止まってタバコに火をつけた。




「ついたぜ」




~つづく~



井口達也



※次回、ついに達也の秘策が…!?



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