(初めての方はコチラ↓から)
チキン番外編①
「ヒロシよぉ、何でそんなに機嫌悪そうなんだよ」
テルがヒロシに話しかけると、ヒロシはもっと不機嫌な顔になった。
バカ二匹を連れて来るだけでも大変なのに、いよいよ敵に近付いたとなって、ヒロシにしたら気分が晴れるはずもなかった。
夜の七時位だった。
人通りも多く、東京のはずれから出てきた俺達にしたら都会だった。
「有名な寺があったよな。なんだっけ?行ってみようぜ?」とテルが言うと、やっとヒロシが口を開いた。
「何しに来たんだよ」
そう言われてテルは少し考えて、「お前らのケツを拭きにきたんだろ」と答えた。
ヒロシはテルをバカにするつもりが、テルに一本取られた形になった。
俺達がやられて狛江に泥を塗ったから、それを拭きに来たという事だ。
ヒロシは舌打ちをして歩き始めた。
「ヒロシ、この辺詳しいのかよ」
俺が聞くと、ヒロシは「ああ」とだけ答えてどんどん進んだ。
早くホテルに連れて行って、どうにも出来ないことを俺とテルに分からせたいのだろう。
「来たことあんの?」と俺はしつこく聞いた。
するとヒロシは「ああ」とだけ答えた。
ヒロシが不機嫌な理由も何となく分かってはいたが、俺は受け答えを適当にされるのは好きではない。
俺は前置き無しでヒロシの頭を引っ叩いた。
「イダ!何すんだよ達也!」
「何でもねーよ」
「てんめぇ…やんのかよ。あ!?」
ヒロシはさらに不機嫌になり、けんか腰になった。
俺は面倒になったので、返事をする前にヒロシを押すように蹴った。
ヒロシは俺を睨んだ。
それを見てまた蹴った。
するとヒロシもやり返してきた。
お互いに無言で蹴って、蹴られて、蹴って、蹴られた。
その力はどんどん強くなり、いよいよ殴り合いが始まるかという時に、テルが俺とヒロシにゲンコツを落とした。
「「イダ!」」
俺とヒロシの声がハモった。
頭からプシュゥと煙が出ていそうな衝撃だった。
頭をおさえてうずくまる俺とヒロシ。
「「何すんだよカバ!」」
またハモった。
「ザコ同士がじゃれあってんじゃねーよ。行くぞオラ」
「「チッ」」
またハモった。
「ヒロシ、俺の真似すんじゃねーよ」
「達也こそさっきからハモってくるんじゃねーよ」
「は?」
「あぁ?」
険悪な雰囲気のまま、俺達は絵美やマサシ達が泊まっているホテルに向かって進んだ。
「ヒロシ、まだかよ」
テルが聞いた。
もう十分以上歩いている。
するとヒロシは立ち止まってタバコに火をつけた。
「ついたぜ」
~つづく~
井口達也
※次回、ついに達也の秘策が…!?
ランキングを上げて業界関係者にこのブログを見てもらおう作戦決行中!
皆からのクリックだけが頼りだぜ。押忍。
↓★応援クリックよろしく★↓
・チキン第一話はこちらから
SNSも宜しくね
■井口ブログFACEBOOK
■井口ブログTwitter