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チキン番外編①
絵美から手を握られて、俺はようやく絵美に会えた気がした。
「怒ってんの?」
絵美は黙って首を横に振った。
「不機嫌そうじゃん」
それでも絵美は無言だ。
「ねえ」
俺がそう言うと、絵美は俺の手を引いて歩き出した。
ヒロシがそれに気が付いて、何か言ったようだったが、菜穂が話をそらして上手く誤魔化してくれたのだった。
きっと絵美と俺を二人きりにさせる為だろう。
ホテルの塀沿いに少し歩くと、ホテルの裏側に出た。
角を曲がってヒロシ達から見えない場所にくると、絵美は急に笑い出した。
何がなんだか分からない俺の顔を見て、絵美は言った。
「つんつん、めっちゃびっくりしたやーん!」
「怒ってるんじゃないの?」
「ドッキリ返し~」
暗い表情をしていたのは、なるほどそういう事かと安心した。
そんな俺にむかって、絵美は言葉を続けた。
「会いに来てくれたん?」
「んー、まぁ…ね」
「でもやっぱりまた喧嘩してたしなぁ…。絵美に会いに来たんやなくて、喧嘩しに来たんとちがう?」
当然俺は「会いに来たんだよ」と答えた。
絵美は満足そうな顔で言った。
「つんつん、ありがとぉね。菜穂にね、つんつんが来てるーって聞いてね、めっちゃ舞い上がったわぁ」
喜ぶ顔を見て、来てよかったと思った。
その後、ここまで来る途中の話や、絵美達の高校のことなど、他愛もない話をした。
やはり近くで見る絵美はかわいい。
気が付けば、二人は向かい合ったまま身体を寄せ合っていた。
まるで恋人だ。
俺の中では完全にそういう思いだが、やはり絵美はどこかつかみ所がない。
盛り上がってきた所で、俺は切り出した。
「えみえみ、ネズミーランドの続き、どうかな」
「ん?何かあったぁ?」
絵美はすっかりキスのことを忘れているようだ。
「いや、まぁ…ね」
「つんつん、ちゅーやろぉ?」
「まぁ…そうだね」
「つんつん」
「あ?」
「めっちゃ好き」
~つづく~
井口達也
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by井口達也
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