◆チキン番外編37◆

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チキン番外編①

「いたいた！」という声がした。

聞き覚えのある声だった。

ホテルの中の自動販売機コーナーで話した女の子が、俺たちがやって来た曲がり角から顔を出した。

菜穂だ。

菜穂は俺たちの様子を見ると、曲がり角に一旦消えた。

リョウキはその様子を見て舌打ちをした。

先生に見つかったと思ったが、菜穂だったので少し安心したのと同時に、紛らわしいことをするなという気持ちがあったのだろう。

菜穂はまたすぐに顔を出した。

何か企みがあるような笑顔を作り、まがり角から数歩前に出て姿を出した。

すると、一呼吸置いてもう一人出てきた。

絵美だった。

悲しそうな顔をした絵美だった。

俺と目が合った。

菜穂は、絵美に向かって小声で言葉をかけたようだった。

絵美はその言葉を聞いて少し笑顔になったが、またすぐに悲しそうな顔になった。

～つづく～

井口達也

※五月うまれの皆おめでとう★

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