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チキン番外編①
「こいや」と手招きしたリョウキの頭から、コーラの缶が生えてきたように見えた。
そして次の瞬間、「ガ!」という音と共に、リョウキはその場にうずくまった。
そしてその後ろには、ヒロシがいた。
コーラの缶が生えてきたように見えたのは、ヒロシがコーラの缶を振り上げからであった。
静かに忍び寄り、そして背後から相手を襲う男、ヒロシ。
卑怯さでこの男の右に出る者は居ない。
ヒロシは「どうだ」といわんばかりの自信に満ちた表情で俺を見ている。
卑怯な手で勝ったのに、何故こんなにも自信満々の顔が出来るかはわからない。
ヒロシは言った。
「ザコ相手に手こずってんじゃねーぞ達也」
「はいはい」
「ありがとうは?」
「はいはいサンキュサンキュ」
「よろしい」
俺に貸しを作ったのが嬉しいのか、ヒロシは来た時よりもずっと上機嫌に見えた。
しかしそんなヒロシの笑顔もすぐに消えることになった。
「クォラ…ガキ。アホンダラコラ。死んだぞテメェ」
そう言ってリョウキが立ち上がった。
「こっちこいやコラ」
リョウキはヒロシに向かって手招きをした。
頭を抑えていたリョウキの手が赤くなっている。
多少出血したのだろう。
ヒロシはすかさず俺を見て、「やれ!やれ!」と目で訴えかけている。
俺はタバコに火をつけてその場に座り込んだ。
するとリョウキが俺を見て「おめーはこの赤坊主をやってから遊んだるからちょっと待っとれ」
俺はどうぞどうぞと言わんばかりに手を差し出した。
ヒロシの顔の雲行きがどんどん怪しくなってきた。
~つづく~
井口達也
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