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チキン番外編①

チキン番外編②

チキン番外編③

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チキン番外編32



「こいや」と手招きしたリョウキの頭から、コーラの缶が生えてきたように見えた。




そして次の瞬間、「ガ!」という音と共に、リョウキはその場にうずくまった。




そしてその後ろには、ヒロシがいた。




コーラの缶が生えてきたように見えたのは、ヒロシがコーラの缶を振り上げからであった。




静かに忍び寄り、そして背後から相手を襲う男、ヒロシ。




卑怯さでこの男の右に出る者は居ない。




ヒロシは「どうだ」といわんばかりの自信に満ちた表情で俺を見ている。




卑怯な手で勝ったのに、何故こんなにも自信満々の顔が出来るかはわからない。




ヒロシは言った。




「ザコ相手に手こずってんじゃねーぞ達也」




「はいはい」




「ありがとうは?」




「はいはいサンキュサンキュ」




「よろしい」




俺に貸しを作ったのが嬉しいのか、ヒロシは来た時よりもずっと上機嫌に見えた。




しかしそんなヒロシの笑顔もすぐに消えることになった。




「クォラ…ガキ。アホンダラコラ。死んだぞテメェ」




そう言ってリョウキが立ち上がった。




「こっちこいやコラ」




リョウキはヒロシに向かって手招きをした。




頭を抑えていたリョウキの手が赤くなっている。




多少出血したのだろう。




ヒロシはすかさず俺を見て、「やれ!やれ!」と目で訴えかけている。




俺はタバコに火をつけてその場に座り込んだ。




するとリョウキが俺を見て「おめーはこの赤坊主をやってから遊んだるからちょっと待っとれ」




俺はどうぞどうぞと言わんばかりに手を差し出した。




ヒロシの顔の雲行きがどんどん怪しくなってきた。



~つづく~



井口達也


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