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チキン番外編①

チキン番外編②

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チキン番外編28


自販機コーナーに入ってきた男達は俺と目が合うと、一瞬固まった。




一人は出っ歯の剃り込み坊主、もう一人は茶髪で髪を縛っている細眉の男だ。




男達は「あれ…お前誰だっけ」とは言わなかったが、明らかに俺が誰なのかを考えているようだ。




その間わずか三秒となかっただろう。




茶髪の男が大きく目を見開いた。




どうやら俺が誰なのか気が付いたようだ。




男は一瞬後ろを気にして、また俺を見た。




先生に見つからないか、邪魔が入らないか確認したのだろう。




茶髪の男は大きな声を出すわけでもなく、静かに口を開いた。




「コラ、ガキ。今日うちの奴等と揉めたガキっちゅうのはお前やろ?」




どうやら俺やヒロシたちが直接揉めた相手ではなかったが、静かな口調の中に、威圧的な雰囲気を前面に出してきている。




この場はどうやっても誤魔化せそうにもないし、はなからそういうつもりも無い。




しかし俺は絵美に会いたい。




するともう一人の出っ歯の剃り込み坊主男が言った。




「多分こいつやわ。金髪のガキがどうとかマサシが言うてたし。おうコラ。どつきまわしたろか」




雰囲気はどんどん悪くなってきた。




僅かな時間で俺の腹は決まった。




こういう場面では先手必勝でぶっ叩くに限る。




俺が口を開こうとすると、俺の後ろに立っている女の子を見て坊主の男が言った。




「あれ?菜穂やないか。何してんの」




この子は菜穂というらしい。




すると菜穂が俺の後ろから話した。




「楽しく話してんやからあっち行ってやー」




「は?お前ナンパされたん?」




「あんたら、マサシらみたいに謹慎になりたいん?嫌やったら早くあっち行ったほうがええよ」




「ガキになめられたままで帰せるわけないやろ。菜穂、お前こそあっち行けや」




坊主がここまで言うと、茶髪の男が話し始めた。




「と言うワケや。表出ろや」




そう言うと、坊主の男に合図をした。




すると坊主は見張りになって周りに目をやった。




数秒して、坊主の男が言った。




「リョウキ、今や」




茶髪の男はリョウキというらしい。




リョウキは坊主からの合図を受けて、俺に言った。




「ちょっとこっちこぉ」




そう言うと、勝手に玄関に向かって歩き始めた。




~つづく~



井口達也


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