あっちこっちでつまみ食いしている割には、女の子にそっけなくあしらわれるとガックリとくる俺は、受話器を力なく置き、電話ボックスを出た。
それから間もなくして、単車のアクセルを吹かす音が聞こえ、その音は次第に遠くなっていった。
俺は何かひっかかるものを感じていた。
まず、絵美の態度。
そして、聞き覚えのある単車の音。
どこかで聞いた事があるような気がしていた。
俺がタバコに火をつけてその場にしゃがむと、視線の先にはにやけた顔のテルが立っていた。
今は見たくない顔だった。
俺の浮かない顔を見て、テルは嬉しそうだった。
テルはおもむろに俺に近付き、横に腰を下ろした。
「ぷくくく」
「んだよコラ。あっち行け」
「スケコマシの達也でもダメな時があんだな。っていうか、ダメは困るんだよ。菜穂ちゃんに会えなくなるじゃねーかよ。俺が。絵美ちゃんつながりで会えるようにしてもらわねーと会えねーんだよ」
「しらねーよ」
とりあえず今日は絵美に会うのは難しそうだと思った。
喧嘩したばかりだというのに、早くもむしゃくしゃしてきた。
「テル、今日、族の集会どうするよ。襲っちゃう?」
「お、お前に任せるわ」
テルはそういいつつも、顔は半分引きつっていた。
「じゃあ、俺とお前だけだな」
「え?皆は?森木たちはどうすんのよ」
「誰もやりたくねーべ」
「俺もやりたくねーよ」
テルは思わず本音が出た。
「じゃあ、俺だけでやるわ。狛江代表で」
俺がそう言うとテルの目つきが変わった。
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
シンゴ(坂東高校一年金髪坊主)
サダミツ(坂東高校一年筋肉マン)
ワタル(唇ピアス。坂東高校一年)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
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