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チキン番外編①
~第二章③~
トイレから出てきた入れ墨男に殴られたテルは壁まで飛ばされてしまった。
相手は屈強なトラック運転手。テルの巨体をここまで飛ばせる男はなかなかいない。
考えている暇は無かった。
俺は反射的にその男に殴りかかった。
右手で頬を打ち抜いたが、返す刀で思い切りわき腹を蹴られ、俺はその勢いで便器まで飛ばされてしまった。
今まで受けたことのないような強い衝撃を感じた。
わき腹だけではなく、身体全身に衝撃が響く感じだった。
テルは立ち上がってその男の体にしがみついた。
動けないその男に俺はもう一度殴りかかった。
拳がまともにこめかみに入ったので、これはさすがに効いたようだった。
そして間髪入れずに馬鹿力のテルがその男を持ち上げて、バックドロップの要領で床にたたき付けた。
俺は倒れた男に馬乗りになって殴った。
四、五発殴ったところで、テルが俺を押しのけて男にまたがり、さらに殴った。
俺は「テル!」と言った。
逃げるぞ、という意味だ。
俺がテルの腕を引いて立たせようとすると、弱っているはずの入れ墨男は俺とテルの腕を掴み、倒れさせた。
もみ合うなかで、男は俺とテルの頭を両脇に挟んで、強引に立ち上がった。
そしてそのまま俺とテルの頭と頭を打ち付けた。
テルの石頭が俺の側頭部に直撃して、目の前で星が舞った。
前かがみになった俺の顔を、男は左の裏拳で殴り、身体が起きたところを今度は右の拳で殴った。
いいところにもらってしまい、俺は膝をついた。
そこをさらに前蹴りで思い切り蹴飛ばされ、今度は小便器に頭を打ってしまい、立てなくなった。
テルは多少抵抗を試みているが、相手が強すぎて完全に押されている。
その時だった。
テルは尻に手をやり、何やらもぞもぞと動いている。
そして、その手を男の前に出して言った。
「はぁ…はぁ…。こ、こ、、これが見えねーかこのクソ野郎。つ、つけんぞコラァ!」
テルの指にはうんこがついていた。
クソ野郎はお前だろうと思った。
テルは尻を拭かないまま喧嘩に巻き込まれ、うんこを挟んだまま戦っている。
うんこ戦士だ。
特技、うんこタッチ。
悪質だ。
俺は完全にのびてしまっていたが、その様子を見て笑ってしまった。
男は少し考えた様子だった。
さすがにうんこはつけられたくない。
もはや立ち去るしかないだろう。
しかし男は俺たちのかすかな希望を容赦なく打ち破ったのだった。
手を前に出すテルを、お構い無しに蹴り飛ばし、倒れたテルの顔面に拳をおろした。
~つづく~
井口達也
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全てはここから始まった。小説チキンをよろしくだぜ!!
是非読んでくれい★