「おし、そこまでや」
リョウキが言った。
森木も、サダミツもまともに立てる状態ではなかった。
ワン公とルパンが森木に歩みよって肩を貸して立たせ、こちらに戻ってきた。
「おめぇ、やっぱすげぇな」テルが一言森木に声をかけた。
そして、俺に向かって「達也、やっぱ俺にやらせてくんねぇか」と言った。
森木の喧嘩を見て興奮した様子だった。
「オッケーオッケー。ちゃちゃっとやっつけちゃってよ」ここぞとばかりにヒロシがテルに喧嘩を譲ろうとした。
俺はヒロシに言った。
「逃げんなよ」
「逃げてねーよ」
「ビビってんのかよ」
「ビ、ビビってねーよ」
「お前さぁ、いつも逃げるよな」
ヒロシは俺にそう言われて目が泳いだ。
「うるせぇ。俺がいつ逃げたんだよ」
「さぁな。いつも逃げてっから忘れたわ」
「気のせいだろ」
「そうかもな」
俺がわざとらしくそう言うと、さすがにヒロシも勘にさわったのか、眉間にシワを寄せた。
「じゃあ、いいよ。テル、お前ヒロシと交替な。こいつダメだわ」
「待てよ。やるよ。やりゃいいんだろ」
「嫌ならやめていいぜ?むしろ東京帰れよバーカ」
「てんめぇ達也…」
「そんなんでついてこれんのかぁ?」
俺がそう言うと、ヒロシはハっと目が覚めたような顔をして、口を真一文字に閉じた。
そして、無言のまま一歩前に出た。
それを見て相手側から唇にピアスの男が一歩前に出てきた。
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
シンゴ(坂東高校一年金髪坊主)
サダミツ(坂東高校一年筋肉マン)
唇ピアス(坂東高校一年)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
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チキン番外編①