宿にはヒデ君は帰っていなかった。
当然ヒデ君の彼女であり、ヒロシの姉であるミカも。
ヒロシが居なくなった事を告げたらきっとヒデ君に怒られるだろうなと思いつつも、勝手に居なくなったものはどうにも出来ないので忘れる事にした。
どうでもいいことは忘れられる都合のいい頭だった。
宿で一服した俺達は、この宿の並びにあるヤスシの家に行く事にした。
ヤスシはこの辺の族の総長だった男だ。
何かしらその筋の状況にも詳しいだろうから、話を聞こうという事だ。
顔見知りの俺が行く事になったが、森木もついてきた。
ヤスシの家まで何を話すわけでもなく歩いていたが、途中で森木が話しかけてきた。
「なぁ、ヒロシの事はいいのかよ」
「別にいいだろ。勝手に居なくなったんだし」
「そりゃそうだけど。東京帰ったんかな」
「そうなんじゃん?チキン野郎だろ」
「さっすがに族に襲撃かけるのは嫌だったか」
「そうだろ。どうせ」
歩き始めて5分もしたころ、森木がまた声を出した。
「あ」
「なんだよ森木」
俺が横を歩く森木の顔を見ると、目がねから上目遣いで前を見据えていた。
森木の視線の先に俺も目をやった。
俺も声が出た。
「げ」
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
シンゴ(坂東高校一年金髪坊主)
サダミツ(坂東高校一年筋肉マン)
ワタル(唇ピアス。坂東高校一年)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
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チキン番外編①