なぜ、地方の生活は「退屈」なのか?…本ブログ流・都市の「密度論」/Ver.17.05過去記事更新
↑↓
写真【上】は、東京都目黒区自由が丘
写真【下】は、仙台市太白区四郎丸
を、撮影したものであるが、
どちらも・・・・・
「第1種低層住居専用地域」という
都市計画上の用途地域内に属する住宅街。
一目、見ただけで、
写真【下】の住宅街は、写真【上】に比較して、
「寂しい」感じに見える
↓
理由は何か?
(勿論、人口密度が全然違う
・・・でも、根本的な原因は他に有る)
先ず、道路幅員が違う・・・
【上】4.5m
【下】6.5m
でも、写真【下】の街の道路幅員を狭めたからって、
写真【上】に建物密度が匹敵するとは思えない・・・
↓
やはり、根本的な理由は、コレ(でしょ)、、、
☆
写真【上】=容積率150%、建蔽率60%
写真【下】=容積率60%、建蔽率40%
☆
の都市計画指定である
↓
すなわち
写真【上】=150㎡の家を建てるのに100㎡の土地で間に合う
写真【下】=150㎡の家を建てるのに250㎡の土地が必要
↓
ゆえに、
写真【上】は、写真【下】に比較して
2.5倍もの人口密度で居住可能!!!
(もっとも・・・・・・地方の場合、高密度の都市計画を指定しても、それに見合った実需要が有るとは限らないが・・・)
↑
■賑わう団地商店街がある板橋区高島平2丁目は297.7/ha
↑
住宅地人口密度指標
*本記事に関連する(本ブログ内)リンク記事
↓
①地域互助と、地域内における居住人口密度
■地域「互助」の為には、ある程度の『集住(集積・密度)』が必要か?
■津波被災地の嵩上げ(現地再建への財政支援)の最低基準40人/ha
②既成市街地商業と、地域内における交流人口密度
■「あすと長町(仙台市太白区)」の2008年1月現況と、駅前の商業集積
■ジョナサンのドリンクバーで紅茶を飲みながら同社の立地条件を考える
■「かつや」のカツカレーを食べながら同社の店舗展開を調べてみた♪
■元気のある地場食品スーパーの成立条件は100人/ha以上?
■家の近くに“ある”だけで店が選ばれるためには最低120人/ha必要?
■最寄品商業の立地は半径500m以内に最低98人/haの人口密度が欲しい
■近隣型の金物荒物店、ビル2階立地の美容院における最低存立基準値
■郊外住宅街並みの低い人口密度(54人/ha)・・・鹿島神宮の門前町
■郊外ニュータウン「住区地区」商業施設の単位は人口4000~5000人
■岐阜市中心市街地の人口が40年で半減、買物客は直近10年で半減
■賑わう団地商店街がある板橋区高島平2丁目は297.7/ha
*
町村0.5-近隣商業地1.0-商業地2.0-繁華街3.0
*
零細店0.5-専門店1.5-量販店2.5
③LOHAS(?)と、地域内における居住・交流人口密度
■市街地再整備・・・ロハス指向型(?)/国内2事例の市街地密度を検討
④「賑やかな商店街」の基準(?)となる「店舗密度」等
■彦根夢京橋の現況から賑やかな商店街における店舗密度の基準を検討
⑤都市交通・インフラと人口密度
■人口密度が低く広い真っ直ぐな道が多い地方出身者の運転スキル&マナー
■地方都市が「郊外化」すると、住みやすい?・・・(1/人口密度と公共交通)
■ジャストラインで行く♪…居住人口100人/haって、こんな景観の街?
■人口密度109人/haで計画されている「南与野」西口を散歩♪
■人口密度が僅か3人/haの地域を走るコミュニティバスの事例(鈴鹿)
■自前の“新交通”を持つ山万ユーカリが丘は計画123人/ha(現状70人/ha)
■「バスサービス道路」の成田ニュータウンは計画123人/ha(現況69人/ha)
■1時間に3本来る「ぶんバス」の東京都国分寺市は市域全体で107人/ha
■磯子駅前ビルのある磯子区森1丁目の人口密度は377人/ha
■仙台市営バス営業係数トップ2位は44.5人/haの団地路線
■国交省のまちなか事業補助基準「40人/ha」&「3本/1h」
⑥夜間人口密度と都市景観
:
■茨城県の龍ヶ崎NTも100人/ha前後で計画されていた。。。
■西武が116人/haで開発した横須賀「馬堀海岸」駅付近を散歩する♪
■定借権「むさしの i タウン」は“一高住(50/100)”1区画45坪で70人/ha?
■市域全体の人口密度3人/haの10万都市にて、中心駅前の夜景を撮る
■高層と中層が混在配置された品川八潮パークタウンは309人/ha
■さいたま市見沼区春野は最大248人/ha、最小74人/ha(平均152人/ha)
■常総NT(計画81~122人/ha、現況42~85人/ha)
⑦日本の自動車/道路密度
⑧住民1人当たり歳出額と人口密度
⑨限界容積率(日照との関係から、、、)
■NOTE/大野輝之、他「都市開発を考える―アメリカと日本」・・・3
■居住環境を考えた場合における限界容積・建蔽率(郊外は住みやすい?)
■仙台藩町家の特徴から町家型再開発における最大許容(?)密度を検討
⑩欧米都市との比較
■市域人口215万のパリは199人/ha、同じ人口規模の名古屋は66人/ha…
■東京は欧米他都市に比べて中心部の人口密度が低く、外周部が高い・・・
↑
【出典】日本経済新聞2017.5.1(19面)
日本の都市は戦後ほぼ一貫して膨張してきたが、人口集中地区内の人口密度は2割低下し、店舗面積2000~3000m級の食品スーパーが立地する周辺人口(1万~3万人・・・コンビニだと3000~4000人)に充たなくなり生活必需品を扱う店舗の既成市街地からの撤退が加速。
俺は、小学校の高学年に配布される
社会科の地図帳(教科書)が大好きで、
時間が経つのを忘れて(飲食を忘れるくらいに)のめり込んだ、、、
過去に一度だけ、趣味が高じて(?)地図会社に勤めた事がある。
(結局・・・・・単純に、数字を、半ば強引に、
体育会系の「ノリ」で無理やり作り上げるだけの営業の仕事では、
知識欲が満たされず、疑問を感じて1年余りで辞めてしまったが・・・)
その時の地図会社の研修で、
生まれてはじめて東京都目黒区内の住宅街に、当時、車体に「109」って書いてあった銀色に赤帯の三菱ふそう製の路線バスから降り立ったのが、
今から12年前の秋であった。
故郷・仙台郊外に比べて、「適度な密集感」っていうか、「包まれ感」っていうか・・・・・・
都会暮らしにものすごい憧れを感じたのが、ちょうどこの頃だった。
「粗密(なんだけど)、でも、快適」ってな感じ・・・・・。
なぜ、地方の街と商店街が、つまらないのか?
なぜ、人は都会に憧れるのか?・・・
その理由を解き明かす鍵が、ここにあるのではないかと思った。
数ヶ月の研修が終わって、実家に帰ると、実家付近の住宅街景観を眺めて
なんともいえない「寂しさ」を覚えるのは、何故だろう・・・
★この、「モヤっと感」★が、
本ブログ管理者を、 ■社会人入学 へと駆り立てた(のかも??)。
↑
なぜならば、人口密度の高低は、そっくりそのまま・・・・・
自分が住む地域における生活環境に反映されるから(最低40人/ha以上必要?)、、、、、
【出典】辻本勝久「地方都市圏の交通とまちづくり~持続可能な社会をめざして~」
学芸出版社2009年、pp..46-47より引用
■十分な公共交通(便数)維持には最低75人/ha必要?(本ブログ内関連記事)
本ブログ管理者の■社会人入学 の背景には、過去の実生活体験・・・・・
すなわち、
"街並みが無計画・非効率的で見映えの悪い・・・&
公共交通が不便で交流人口も期待できない資産価値の低い地域”
に、実家が在るということの存在が、かなり大きい…
*
【本ブログ内関連記事↓】
■ちょっとだけ?地方交通論・・・・・小港鉄道乗車を機に考えた。。。。
ちなみに、
中心市街地と、郊外では、商業施設の設計要件(必要とされる敷地面積)が全く異なる。。
■(本ブログ内関連記事) NOTE「都市田園計画の展望16」 参照
*
例えば「牛メシ」の松屋 の場合・・・・・・
市街地(ビルインタイプ)は、
店舗面積18坪(ワンフロア)~35坪(複数層タイプ)
コレに対して
郊外ロードサイドでは、
敷地面積180坪~350坪(間口25メートル以上)
↓
なので・・・・・
「人が集まり、都市機能が集積、、、」といっても、
出来上がった街の「集積密度」は、
極端な話、
郊外は中心市街地の1/10
~1/20(僅か5~10%)に過ぎない。☆
↓
★中心市街地では、100メートル(1分弱)歩くと、
少なくとも10件以上のお店を見て回れるが・・・・
:
郊外では、多くとも、たった4件しか見れない ★
☆結果、 必然的に『移動距離』が長くなってしまう・・・☆
どこか、「核」になっている地域があって、
そこへ都市機能が集積していれば、
「核」へ向けて流行のミニバスを高頻度に走らせることが(独自採算で)できようが、
点在して広がれば広がるほど、ロス(損失・無駄)が大きく、便数が少なく不便で、自立経営も難しいような(日本の、どこの地方都市でも見られるような)非効率な公共輸送手段になってしまい、
住民は、渋滞があるのを承知で「1人1台(自転車感覚)」で自分の車を購入・・・・・
■商業地の地価推移と、軽自動車(世帯当たり)普及台数の相関 参照
*
ちなみに、前出の辻本准教授(和歌山大学経済学部)は、
東京都武蔵野市「ムーバス」成功の主因として
稠密な人口密度(市域全体・約130人/ha)を指摘、、、、(前掲書p.201)
- 地方都市圏の交通とまちづくり―持続可能な社会をめざして/辻本 勝久
- ¥2,625
- Amazon.co.jp
また、集積密度が低いと、、、
☆買うものが予め決まっている場合は、車を使って「1軒ピンポイント」で買い物を済ませられて便利だが・・・☆
☆反面、「色々お店を歩き回って買うものを決めよう
(それこそ、買い物の醍醐味だ!☆)派」には、物足りない・・・
↓
結果として、
そのような商業系の既成市街地(中心市街地)は、
「魅力不足!」ということで消費者から見捨てられる。。。..
歯抜けした中心市街地が消費者から見捨てられ
モール化された郊外に人が集まるのも、
同様の理由である。。。
( ■本ブログ内関連記事参照「彦根編」/店舗密度・・・【30店以上/100m】が「賑やかな商店街」の基準?? )
参考資料・・・
わが国主要都市(都道府県庁所在地&政令指定都市)DID人口密度と
一定距離内に各種生活施設がある住宅の比率との相関係数(前掲書p.47)
:
500m以内に公民館・集会所がある住宅の比率【0.06】
500m以内に緊急避難場所がある住宅の比率【0.45】
500m以内に郵便局・銀行がある住宅の比率【0.48】
500m以内に公園がある住宅の比率【0.49】
100m以内に幅員6m以上の道路がある住宅の比率【0.56】
500m以内に保育所がある住宅の比率【0.72】
500m以内に老人デイケアサービスセンターがある住宅の比率【0.73】
500m以内に医療機関がある住宅の比率【0.74】
500m以内に駅かバス停がある住宅の比率【0.76】
500m以内に駅がある住宅の比率【0.76】
500m以内に小学校がある住宅の比率【0.88】
500m以内に中学校がある住宅の比率【0.88】
*
出所:総務省統計局「平成15年住宅・土地統計調査」「平成17年国勢調査」
地方都市が「(大都市と比較して)環境が良い」とは、必ずしも言えない・・・・
なぜならば、公共交通網が貧弱な人口密度の低い都市ほど
クルマ交通に頼らざるを得ない。
すなわち、
人口密度が低い都市ほど
人口当たりのガソリン消費量が多く、地球環境に与える負荷が大きいから。。。
(前掲書P.21)
↑
人口密度は、地図で見た場合に「道路の網目の密度」で、ある程度の推測が可能
今和泉隆行『「地図感覚」から都市を読み解く』昌文社2019年(p.87-101)
↑
高度密集市街地の特徴(160人/ha)※東京都墨田区
・歩ける範囲に複数のスーパー、コンビニ、小中学校が存在
↑
都市密集市街地の特徴(120人/ha)※千葉県市川市
・徒歩や自転車圏内で日常的な用事が済み、鉄道やバスも整って全く不便を感じない
・チェーン店のほうが強い
↑
都市郊外住宅地の特徴(70人/ha)※千葉県八千代市
・公共交通があてになる最低限の人口密度
・チェーン店が目立つ様相
↑
都市郊外・農村山村混在地域の特徴(20人/ha)※千葉市花見川区犢橋町
・路線バスの本数が少なく、多くの人は車を使う
※但し、首都圏では少ない密度だが、人口10~20万人程度の地方都市では、中心市街地でもこの程度の人口密度
↑
農山魚村地域の特徴(1~5人/ha)※千葉市緑区~市原市
・全国平均の人口密度は3.3人/ha(2018年)
・農家だけでなく、事業所等が立地すると農山村集落の人口密度は高くなる傾向