NOTE/原田泰著「都市の魅力学」・・・(2) | ゆるポタで心リセット“おれ野_お散歩日記”by_✡CAMMIYA…ちょいマニアックで開運

NOTE/原田泰著「都市の魅力学」・・・(2)

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名古屋は豊かさに安住している??(名古屋市東区にて本ブログ管理者撮影)




★書誌情報/原田 泰 著「都市の魅力学」2001年文藝春秋(文春新書160)

都市は誰かの富を奪うことによって成立したわけではない。

大部分の都市は、富を創造することによって都市になったのである。

だから、東京や大都市の富を地方に移転することによって、東京や大都市に対抗する

という発想は、誤っているのではないだろうか

本書は、都市の力はどこにあるのかという問いから出発し、

様々な都市の生成と発展の歴史をたどり、そのメカニズムを明らかにする。

最後に、歴史的探求から得られた教訓から、都市政策と地域発展政策への示唆・・・

本書は理論の本ではなく、物語の本である。

本書で提案していることは、理論によってではなく、多くの都市の物語から得られた・・・

(「はじめに」冒頭文より抜粋引用)





たとえば、名古屋・・・(p.69)

【土地利用における名古屋の革新/p.69】

第1次世界大戦後は小作争議が多発…愛知県はその“先進県”

小作側は、

小作料不払い同盟の結成や小作地返還といった戦術を駆使しながら争う

(小作地返還とは、小作地を地主に返還するという運動)

地主は既に都市の住民となり、自ら耕作することもできないので、

小作地返還運動は小作側にとって有効な戦術

結局、地主側がとった戦術は、農地の都市化

農地を都市的利用に変え、都市地主となるか、

土地を金融資産に置き換えることがもっとも有利な解決策と考える

(そして、実際に有利だった・・・)

都市は、農地では到底望めないような富をもたらした

土地の利用転換から、都市の発展が生まれることが、名古屋を勇気付け

名古屋は東京と大阪に対抗する大都市にならなければならないという

「天下三分論」のような大都市指向型の意識を生む

(この記憶が、第2次世界大戦後の名古屋の都市開発に生きる…高い減歩率)

【戦後復興…佐藤正俊・田淵寿郎(当時の市長と助役)による都市計画/p.71】

空襲で焼け野原になった名古屋の戦後は、大掛かりな土地区画整理から始まる

・将来人口を200万人に設定(1946年の人口は57万人)

・自動車の激増を前提

道路幅は8mを原則

100m幅の道路を緑道として2本つくる

小学校の隣接地には小公園を設ける

減歩率40%!(地主から供出する土地の割合…他都市平均25%

 ↑

戦前期の(小作争議に対抗した)都市化の記憶が大きな影響を与える・・・

しかし、

その後の名古屋は、このような(革新的?)都市づくりの記憶を風化させる、、、

都市は土地を利用転換することによって発展するものであるのに、

農地の利用転換を止めてしまった。。。

名古屋は、都市のインフラを有効に使い切っていない都市?)

名古屋は、日本で唯一の

都市インフラを余らしている大都市

中心部の街路を時速70キロで車が走れ、

10分も電車に乗れば田園地帯が広がっている・・・

中心部には人が歩いていない、、、

東京の新宿では地上でも地下でも人が群がっている状態だというのに、

名古屋はせっかくのインフラを無駄にしているのではないか

名古屋の人口密度…6721人/K㎡(東京区部、大阪の2分の1)

【筆者による改善提案/p.72】

今日の名古屋は、インフラに余裕を持ち、

ほとんど追加的公共投資なしに倍の人口が住める!

(財政破綻を起こす心配は無い)

他地方からの移住者に、

広大な農地を宅地、商業地として安価に提供する事に徹すれば良いのでは?

この政策によって、名古屋の地価は下がり、

その下がった地価によって、東京と対抗する力が生まれる

(名古屋の郊外でニューヨーク郊外のような豪邸が持てれば、それは1つの「対抗力」)

都市は古いものと新しいもの、

そこにあるものとよそからきたものを組み合わせて発展するもの…(p.66)

(例)

森村市左衛門/ノリタケ・INAX創始者・・・江戸出身

大隅鉄工所/きしめん製造機から工作機械へ進出…佐賀県出身





石巻【平成2年】. 石巻0704019

海への入口…河口港から発展した宮城県石巻市(本ブログ管理者2007年撮影)

掲載地形図は5万分の1「石巻」×72%(平成2年)





たとえば、神戸&ベネチア・・・(p.84)

すべては

新しいことをしようという試みが

繁栄の元 であり、

そのような試みをなそうという勇気を与えたのは「海」なのだ。。。

商人は、

自分と同等のものと取引する。

この中で繁栄していくためには、

つねに新しい状況に対応し、

自分を防衛し、

利益を計算し、

危険を冒し、

新しい経験をしなければならない

(p.85)

しかし、

不機嫌に沈黙している農民から税を搾り取る領主は、

はるかに刺激の少ない人生を経験する。

ベネチアの貴族は、

やがてヨーロッパの土地貴族と同じような存在となった。

卓越した個人がいなくなってしまえば、

分断されたイタリアでは、

統一されたフランスの力には立ち向かうことができない。

海の富を陸の富に引き換えたときから、ベネチアと神戸の衰退は必然だった…

(神戸/山を削って埋立地にしたところに新都市を開発)





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