NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(6・業種別編⑥)
建築金物店の成長立地は1戸建て住宅が建設されているところ・・・
一般家庭用金物は郊外や衛星都市のベッドタウン需要が大きい。
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【家庭用金物】
ジャー・ポット、鍋用品、台所用品、調理用品、台所雑貨、卓上用品、浴室用品、洗濯用品、トイレ用品、清掃用品、荒物、日曜大工用品、ガラス器、陶器、趣味の陶器、漆器、ホーロー製品、暖房用品、贈答品、室内装飾品と置物、室内小物、犬用品、園芸用品、釣具、鍵など、、、
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【建築用金物】
電動工具、大工道具、建築材料、計量器、上棟用品など、、、
【書誌情報】
山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」誠文堂新光社1981年
(ISBN4-416-78100-8/NDC671)278頁
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■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(2・業種別編②)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(3・業種別編③)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(4・業種別編④)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(5・業種別編⑤)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(6・業種別編⑥)
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■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(21・環境別編⑨)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(22・補論編①)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(23・補論編②)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(24・補論編③)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(25・補論編④)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(26・補論編⑤)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(27・補論編⑥)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(28・補論編⑦)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(29・補論編⑧)
■「NOTE/山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」…(30・補論編⑨)
(p.260)
金物荒物店の商業立地
・近隣型店舗の商品構成比/工具金物30%、台所用品50%、日用雑貨20%
・背景人口3291人、最寄店購入比率60%
・購買理由/近い、便利、品質
・売上坪効率275万円
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【近隣型立地の特徴】
・家庭の主婦だけが対象?
・台所用品、浴室用品、大工用品、雑貨…という品揃えの店が多い
(販売力が極めて低い不採算店)
↓
・商店数が100店以上集結している近隣型商店街の中にある店は、暖房器具、家庭金物、食器類、園芸やDIY商品などを扱い、家庭文化用品店として盛業
・商店街からやや離れて、道路に面している店は、一般家庭用と建築用、業務用金物類を扱っており、職人や建築会社との取引で大きな売上高を上げている
:
【地区中心型立地の特徴】
・DIY分野を広げる
(簡単な家具の設備用品、台所や浴室、その他手作りの棚など、芝生の手入れ用品、清掃用品、ペンキ、セメント、日曜大工材料と用品など家庭内の諸々の需要を総合的に提供する「ホームセンター」的な店が望ましい)
:
【地域中心型立地の特徴】
・さらなる家庭用金物と建築用金物の総合化
(広い地域の需要に対応する総合力を身につけた店→スーパー対策)
↓
さらに大型化すると、レジャーを中心に、AV・オーディオ、野球用品、シューズ、スポーツ用品、CD・DVD、玩具、カバン、時計、カー用品などの文化用品等を充実
(広い駐車場を持ち、国道や県道の交通の便利な場所に立地し、地域商圏の完全吸収を図る戦略で成功している例が多い)
↓
家庭用和洋食器、業務用食器、趣味の陶器、ギフトの4部門を強化
(食器の高級専門店化)
:
【広域中心型立地の特徴】
・闇雲な売り場面積拡大ではなく、専門化を図る
(例/飲食店の多い歓楽街などを商圏に持つ場合は、板前用の調理刃物の専門店、鍋類などの食器中心の専門店化)
↓
高級化
(近隣型や地域中心型とはまったく違った特化・専門店化)
美容院の立地は、駅前のビルの2階であれば、乗降客数1万人以上必要
この場合、通勤のOLが多く、
後背地の駅勢圏にニュータウンがあればさらに有利…
(写真は東武東上線「朝霞」…61,358人/日、本ブログ管理者撮影)
(p.262)
美容院の商業立地
・背景人口765人
・椅子1台当たり売上効率371万円(昭和53年)
・利用動機/近くて便利50%、用事のついで20%、その他(店が好き等)30%
・最寄性が強いので、できるだけ集客力のある商店街などに位置して、商店街やスーパーなどが吸収する客を自店で拾うという商法が成功しているらしい、、、
(買物などの「ついで」の場所でなければ不利)
↓
常にフリー客の増加・商圏拡大策が必要
後背地が住宅地で、そこに女性が集まりやすい地点を選考
チェーン展開の場合、同じタイプの商業地に連珠式に出していく方が成功?
:
【近隣商店街立地における特徴】
・メインストリートの中に位置することが大事
(サブストリート立地はNG!)
・または駅やバス停前の集中道路の角地
(近隣型では2階立地はNG!)
・客層はヤングと40歳代狙い
:
【地区中心型立地における特徴】
・大型店の前、共同店舗のテナントが良い
(地区中心型では2階立地はNG!)
・人通りの流れの真ん中から端の間を狙う
:
【地域中心型立地における特徴】
・駅ビル、デパートの中、バスターミナルからよく見える角地の2階が有利
(市の中心商店街や大型ショッピングセンター内立地)
・大型ショッピングセンターの中の2階の衣料品コーナーに近い場所は有利
(客数の少ない4・5階立地はNG!)
↓
但し、ビル内立地の場合、外からその美容院が良く目立つなら良いが、目立たない狭い道路であれば固定客依存で苦しい?
↓
・社交場としての雰囲気作り(農村立地)
・親近感と都会に劣らない技術(住宅街・地区中心型立地)
・特徴、個性を持って強い印象を客に与える(地域中心駅前立地)
・グレードの高いファッション性を持った店(都心商業地立地)
↑
飲食業は、料亭、ホテル内のレストランなどが衰退して、家計費依存需要のファーストフード、ファミリータイプのレストランが急成長・・・
(米国型「3回に1回は外食」のライフスタイルに近付く、、、)
:
【ファミリーレストラン/客層】
家族連れ…50%、グループ…35%、1人…15%
:
【ファミリーレストラン/クルマでの所要時間】
5分以内(1次商圏)…55%
10分(2次商圏)…20%
15分(3次商圏)…5%
15分以上(商圏外)…20%
↑
ファーストフードも、ある意味“コンビニエンス”なので、
コンビニエンスストアや、ガソリンスタンドと併設または近接が有利…
(山下勇吉著「商業立地のチェックポイント120」p.265より引用)
:
狙うべき客層は「往き」のクルマか?、「帰り」のクルマか?
(狙うべき客層のクルマの流れの左側に立地選定するのがポイント)
↓
道路が広い場合、自店の立地位置が面する車線方向は?、、、
「上り」/朝の通勤客、夕方セールスマンの帰社客狙い
「下り」/住宅への帰り客狙い
:
同じタイプの店をチェーン展開する場合は、都心部、下町、郊外の住宅地など、その立地、客層によって、店舗やプライスゾーンを差別、、、
営業時間も、例えばブルーカラー・勤労者の多い立地の焼き鳥屋が、昼間の2時間+夜17時から23時まで営業するのは、最も経営効率の良い商法。。。
【固定客の吸収モデル/商圏設定、吸収人口の計算】
・ハフのモデル、コンバースのモデル
(↑いろいろと批判はあっても、いちおう基礎なので本記事でも採り上げ)
・家屋調査や異業種の品揃え価格帯調査
(居住者の質・所得→客単価想定の基準設定と外食需要の把握)
+
【流動客の吸収モデル】
・大量交通機関の利用状況
・商店街などの通行量調査、車両通過台数調査
・後背地の会社、工場、学校などの大きな施設数→昼間人口の把握
(p.32)
コンバースの法則
:
例題①
今、人口5万人のC市に住んでいます
左隣3kmの位置に人口7万のB市、
右隣2kmには人口10万のA市が有ります。
中間のC市は両隣の市から、どれだけ客を誘引されてしまうでしょうか?
(公式)
Ba/Bb=(Pa/Pb)(Db/Da)^2
Ba=A市によって誘引される中間の市からの比率
Bb=B市によって誘引される比率
Pa=A市の人口
Pb=B市の人口
Da=中間の市からA市までの距離
Db=中間の市からB市までの距離
↓
先ずは右辺から、、、
Ba/Bb=(10/7)(3/2)^2
Ba/Bb=1.43×2.25
Ba/Bb=3.22
↓
右辺の値=3.22を、A市とB市で配分すると、、、
3.22/1+3.22=0.76→A市が76%誘引(B市が24%誘引)
:
例題②
上と同じ事例なのですが、
一見すると人口が少ない小都市に思えるB市ですが、
実は単に行政区域面積が狭いだけで、駅前に百貨店(繁華街)があります。
現実に近いC市からB市への買回り品流出比率はどの程度でしょうか?
(公式)
Bb/Bc=(Pb/Hc)(x/d)^2
(自市に大都市繁華街がある場合は3乗)
Bbは自分の市からB市へ出向く比率
Bcは自分の市で買う比率
PbはB市の人口
Hcは自分の市の人口
dはB市までの距離
xは慣性距離計数=自分の市から主として流出する場合の流出市(この事例の場合はA市)との距離、その県平均、あるいはタイプ(任意入力数値)
↓
先ずは右辺から、、、
Bb/Bc=(7/5)(2/3)^2
Bb/Bc=1.4×0.44
Bb/Bc=0.62
↓
右辺の値=0.62を、B市とC市で配分すると、、、
0.62/1+0.62=0.3827…→B市へ38%流出(地元C市62%吸収)
(p.40)
ハフのモデル
:
(公式)
j : 商業地
Pij : 居住地 i の消費者が、商業地 j を選択する確率
αj : 商業地 j の魅力度
Kj : 商業地 k の商業力(販売額や売場面積など)
Dij : 居住地 i と、商業地 j の間の距離(時間距離)
λ : 距離 Dij にかかるべき数で、市場特性や消費特性を示す。
(地域や商品・人によって、距離の抵抗感が異なる現象を表現する)
*
上記のλは買い回り品よりも最寄り品の方が大きくなる
(つまり最寄り品はできるだけ近い店舗で買う、買い回り品は遠くても品揃えのよい店舗で買うという特性を表現する係数)
また、距離Dijは、物理的な距離ではなく、時間距離
:
例題③
本来の商業調査の場合、
店舗数20店以上、売場面積200坪以上の商業地を「商業集積」として扱うが、
ここでは、説明の為に、お馴染み ■本ブログ内架空都市 を使って
非常に簡略化したモデルで試算してみたい。
↓
下の地図で右端にある「下御礼野」地区の住民が、
駅南口にある市の最繁華・最近代化商店街を選好する確率を
簡単に試算してみたい。
各商業集積の魅力度は、非常に簡単に計算する為に、今回は、
各商業集積における
最大規模の商業施設(SC)における売場面積と同一値とする。
(距離も本来は時間距離を当てるが、今回は実距離とする)
*
各商業集積のプロフィール
1、駅南口(最大SCの売場面積18000㎡、下御礼野からの距離1700m)
2、駅北口( 〃 6000 、 〃 1700 )
3、上御礼野( 〃 500 、 〃 2600 )
4、中御礼野( 〃 300 、 〃 1700 )
5、下御礼野( 〃 1500 、 〃 0・100 )
6、スカイタワー( 〃 16000 、 〃 2150 )
↓
Pij=(18000/1700^2)/{(18000/1700^2)+(6000/1700^2)+(500/2600^2)+(300/1700^2)+(1500/0^2)+(16000/2150^2)}
Pij=0.006228/(0.006228+0.002076+0.000074+0+0.003461)}
Pij=0.006228/0.011839
Pij=0.526→下御礼野地区の駅南口まで買物出向比率52.6%
(地元商店街で調達不能な商品の場合)
↓
Pij=(18000/1700^2)/{(18000/1700^2)+(6000/1700^2)+(500/2600^2)+(300/1700^2)+(1500/100^2)+(16000/2150^2)}
Pij=0.006228/(0.006228+0.002076+0.000074+0.15+0.003461)}
Pij=0.006228/0.161839
Pij=0.0384826→下御礼野地区の駅南口まで買物出向比率3.8%
(地元商店街…100m以内で調達可能な商品の場合)
*
6、スカイタワー= ■ビジネス街型
■ヤング・ヤングミセス・ヤングアダルト型
【補足】
*
上記「買物出向比率」に実居住人口を掛け、「吸収人口」とすると、
年商予想=吸収人口×当該商品1人あたり年間消費額
:
*
この状態で(例えば)北部の工業地帯(大規模工場跡…下御礼野地区から実距離2700m地点)に大規模SC(売場面積50000㎡級)が出ると仮定すると・・・
現在の市最大の繁華街である駅南口への出向比率は(地元商店街で調達不用の商品に限定すると)
Pij=(18000/1700^2)/{(18000/1700^2)+(6000/1700^2)+(500/2600^2)+(300/1700^2)+(1500/0^2)+(16000/2150^2)+(50000/2700^2)}
Pij=0.006228/(0.006228+0.002076+0.000074+0+0.003461+0.068)}
Pij=0.006228/0.079839
Pij=0.078→下御礼野地区の駅南口まで買物出向比率は
僅か7.8%まで減少!!
↓
北部郊外の大規模SC進出に対する駅南口商店街の影響度
=(1-進出後0.078/進出前0.526)×100
=75.2%減の大打撃!!!!!
:
っと、概算できるのである。。。
(郊外SC巨大モールができると地元商店街「壊滅」→納得できる数値)