過去分析資料/地方都市が「郊外化」すると、住みやすい?・・・(4)
「第1種低層住居専用地域(容積率60%/建蔽率40%)」指定になっている
仙台市太白区四郎丸字神明地区、、、【本ブログ管理者撮影】
↑
商業系の用途地域(建蔽率80%)指定されてる場所における住居環境イメージ、、、
【埼玉県春日部市粕壁東・・・本ブログ管理者撮影】
④ 中心市街地居住に対する
環境面の懸念
:
・「中心部」=「環境が悪い(特に採光・通風の面)」という固定観念について
(宮城県土木部住宅課「住宅需要実態調査報告」平成10年p.148‐149)
:
→用地地域別「日当たり・風通しなどの快適性に対する評価」にて不満意見の割合
第一種低住…(県全体)24.0%......(仙台都市圏)22.9%
中高住..............................20.1%
住居....................................28.3%
近隣商業....................................36.8%
商業地域……( 同 )....42.8%..........................................39.3%
:
→敷地面積別「日当たり・風通しなどの快適性に対する評価」にて不満意見の割合
40㎡以下....................................54.9%..........................................49.9%
50~90..........................................34.4%..........................................34.4%
100~140....................................35.6%
150~190....................................32.6%
200~240....................................26.1%
250~290....................................23.8%
:
→建蔽率別「日当たり・風通しなどの快適性に対する評価」にて不満意見の割合
40%................................................23.4%...........................................23.1%
50%................................................20.8%
60%................................................27.7%...........................................27.4%
70%................................................18.7%...........................................17.2%
80%................................................31.0%...........................................28.3%
:
→容積率別「日当たり・風通しなどの快適性に対する評価」にて不満意見の割合
60%................................................22.8%...........................................22.5%
80%................................................21.0%
200%.............................................27.9%...........................................27.1%
300%.............................................24.1%
400%.............................................21.1%...........................................21.8%
500%........................(仙台市以外、県内該当無し→ 68.5%)
▲
用途地域別を見ると、
確かに、中心市街地(=商業地域)の評価が悪い結果になっているが、
建蔽率・容積率別データを見ると、
70/400までであれば、
採光・通風の面での不満度は低い(30%以下である)ので、
要は、
周囲と共存できるような
何らかの統制が必要な
「建て並びかた」
の問題であり、
中心市街地(商業地域)であるか低層住宅街(郊外)であるかは、
それほど深刻に考える問題ではないと思われる。
:
なお、大都市圏である仙台の方が、
過疎地域まで含む県全体の値よりも低不満度値が多いのは、
住民の「慣れ」「諦め」に関する要因だろうか?
▲
また、敷地面積40㎡以下の極小敷地になると、
著しく不満度が高く(50%前後に)なっていることが
敷地面積別データによって明らかであるので、
このようなケースに対しては、
いわゆる「共同建て替え」「連続建て」等、
土地利用の統合化・権利関係の整理を行い、
建物全体の総床面積のうち、
住居として利用する空間内部における採光および通風に
必要なまとまった空地を、
敷地内に生み出していく更新事業を推進する必要があると思われる。
▲
ちなみに、
大野輝之、レイコ・ハベ・エバンス著「都市開発を考える―アメリカと日本」
(岩波新書1992年、p.128)によると、
日本の場合、
冬至の日に
2時間日照を確保する場合における容積率の上限は200%、
4時間ならば150%・・・という数値が知られており、
東京の高層住宅地として有名な高島平団地(板橋区)の場合は、
これら条件に鑑み容積率190%で設計されているのだそうだ。
もともとは商業地域(400/80)指定だが、狭小敷地の「共同建替え」により、
容積率183~242%、建蔽率58%~70%に抑えて設計された
埼玉県上尾市愛宕地区 ■本ブログ内関連記事参照 【本ブログ管理者撮影】
商業系と住居系の「中間(用途混合)」を狙った幕張ベイタウンの設計
・・・第2種住居地域(容積率300%、建蔽率60%)指定になっています。。。
■本ブログ内関連記事参照 【千葉市美浜区打瀬/本ブログ管理者撮影】
京都の職住共存地区(建蔽率80%指定)における将来イメージ像
*
巽和夫・町家型集合住宅研究会編
『町家型集合住宅-成熟社会の都心居住へ-』p.237、学芸出版社、1999年…より引用
⑤ おわりに
★
「歩いて行ける範囲への凝集」を基本コンセプトとし、
採光・通風に配慮した建蔽率・容積率の事前設定等
(すなわち「立て並び方」)の統制を伴った中心市街地へ居住誘導政策は、
行政・住民の双方にとって無駄なコストの節約、
および背負うリスクを軽減した、
効率の良い資金・エネルギーの使い方を再検討する機会を与える可能性がある。
:
特に、その街において実際に生活を営む住民に対して、
住環境を改善する参考として、本記事掲載データが活かされることを期待したい。
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