過去分析メモ/完全クルマ社会に依存した郊外の一戸建ての生活は、本当に便利で快適か?…(1)
仙台郊外(宮城県名取市増田)の国道4号バイパスにて、、、/本ブログ管理者撮影
① 自由自在に動ける自動車交通の限界
たとえば、宮城県渋滞対策連絡協議会
(国交省・当時のJH=現NEXCO東日本・宮城県警・県内関係自治体などが所属)
によって、宮城県を対象に
平成14年2月に行なわれた渋滞アンケート(約10,000名の回答)によると、
宮城県内における渋滞指摘箇所は約500箇所。
:
その500箇所にのぼる渋滞指摘箇所のうち、同協議会は、
旅行速度調査や渋滞長調査によって
DID地域(国政調査によって人口密度4000人以上/K㎡の地域が連続)
の内部における最大渋滞長1km以上、または最大通過時間10分以上の交差点と、
その関連交差点を含めた箇所を渋滞ポイントとして選定。
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さらに上記にプラスして
DID地域外においては最大渋滞長500m以上、
または最大通過時間5分以上の交差点と、
その関連交差点を含めた渋滞ポイントの計53箇所を、
宮城県内において特に渋滞の激しい「主要渋滞ポイント」として選定し、
渋滞緩和に向けた対策メニュー(案)を作成した。
:
この53箇所の「主要渋滞ポイント」は、
仙台市および隣接する名取市、多賀城市、利府町等の大都市圏だけでなく、
大河原町や石巻市、古川市、気仙沼市、迫町など
郡部を含めた県内全域に及んでいる。
②道路を拡張すれば、渋滞は解消するのか?
確かに、郡部においては道路拡張や新規のバイパス整備によって
走行環境は著しく改善される場合も考えられるだろう。
:
しかしながら、上記の渋滞ポイント53箇所の中には、
既にバイパス整備や道路拡張事業が終了している箇所も含まれている。
そのような箇所では、既に沿線には隙間無く商業施設が建ち並び、
これ以上道路拡幅の余地は無いように思われる(↑写真)。
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また、近年は地方行政(特に財政)を取り巻く環境が厳しく、
簡単に道路建設のための債券を発行できる情況には無い。
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このため、上記の渋滞ポイント53箇所のうち、17箇所
(仙台市、名取市、多賀城市、岩沼市、亘理町、松島町、利府町に跨る交差点)
の改善対策メニュー(案)は、
従来からの「道路拡幅」「バイパス整備」による短期の局所的な改善政策ではなく、
「今後5ヵ年以降にわたる長期政策として、
TDM政策(時差通勤や公共交通への乗換え等を推進する政策)など
交通転換方策について検討し、自動車交通の抑制および平準化を進めます」
というソフト面での施策によって置き換えられている。
:
すなわち、これは、行政による「道路拡張の放棄
(これ以上の自動車流入に対して、
道路拡幅による従来からのハード面での施策だけでは、
既に、お手上げ…という状態)」であり、
言い換えれば、自由自在に動ける自動車交通の限界を示しているのではないか?
:
現実に、本ブログ管理者の実家から2㎞先に位置する国道バイパスとの交差点も、
最大通過時間10分以上の「主要渋滞ポイント(関連交差点)」として指摘されており、
バイパス沿線への買物や、
バイパスを越えた先に位置するJR駅へのアクセス
(通勤・通学・通院、特に緊急車両の通行など)に支障を来たしている。
:
このような、
現実の地方都市在住者が
意思表示した
データを示されても、
まだ、
「地方都市は、
電車や
バスが不便な地域でも、
道路が空いているので、
クルマを保有すれば、
好きな時間に
自由自在に動けるから、
非常に便利だ!」
と言い切れるだろうか?
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上のような考え方をする人の頭の中には、交通弱者
(すなわち、クルマに乗れない人、クルマを購入する財力が無い人など)
の立場からの視点を、まったく含んでいないと思われる。
クリックすると地図が大きくなります。。。。
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本ブログ管理者実家付近の地形図(図面左手を南北に国道4号バイパスが貫く)
昼間は「がら空き」でも、朝晩のラッシュ時には混雑して通り難い
国道4号バイパスと都市計画道路(南仙台駅四郎丸線)の交差点・・・・・
*本ブログ管理者撮影
↑仙台郊外の住宅団地における公共交通事情/宮城県宮城郡利府町しらかし台
*本ブログ管理者撮影
( ■本ブログ内関連記事参照
)
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