過去分析メモ/中小地方都市における中心市街地の現況・・・(5)
賑わっている近隣商店街のイメージ、、、
■谷中銀座にて、、、(東京の下町の事例だが・・・本ブログ内関連記事参照)
(6)中心市街地居住政策による効果の測定
たとえば、最寄品商業への影響の面から、、、、、
・都道府県ごと「勤労者世帯の家計収支(1世帯・1ヶ月当たり)」の「食料品支出」
(例・宮城県80,942円→世帯平均人員2.96人→人口1人当り27,345円→年間328,140円)
* 「県勢」2000年版 p.322、326
:
・宮城県内主要流通業の企業別売上データ*雑誌「仙台経済界」別冊03年1月 p.73)
→特に、食品主体のスーパーの例
(東北西友のうち仙台近郊の14店+ウジエ宮城県内34店)
・・・平均すると売り場面積1㎡当り年間100万円以上の売上高(3.05人分)
・・・すなわち、500㎡の都心型ミニスーパー1店の誘致に必要な人口は1,525人
↓
この人口を徒歩5分圏内半径400m円内に集めようとすると、
必要人口密度は30人/ha)
・宮城県の商圏調査より(2003年版←2002年調査)
→買物先選択理由「近い」を挙げた人は県内平均値で24.8%
(上記より必要人口は6,149人、密度121人/haへ増加・・・
すなわち、近所の客が来るのを待つのみの「殿様商売」には
最低限これだけの人口密度が必要)
:
→以下、
「価格」16.8%(24.8+16.8=41.6%→3,666人・73人/ha)、
「品質」13.2%(54.8%→2,783人・55人/ha)、
「一箇所で買える」12.3%、「品数」12.1%、「駐車場」7.6%、、、、、
:
という具合に経営努力を加えることによって、
必要人口は減少
(根強い支持を受け固定客によるリピートが増加)すると考えられる。
↓
それでも、
★ 中心市街地居住人口の増加が、最寄商業活性化に結び付く可能性は有るか?
★ 新規出店は厳しい場合でも、既存店舗の継続を援護する可能性は有る?
★ 住宅戸数からみた都市施設
仙台(青葉)城址の隅櫓・・・仙台市青葉区川内
美しい町家街区への評価に関連して
→例えば、仙台商工会議所「仙台のイメージアンケート報告書」平成15年 p.6
:
Q.関東在住者へ
「仙台が魅力有る都市に発展するために必要なものは何ですか?(複数回答)」
→城下町の風情有る街並み(42.2%)、温泉(39.8%)、名産品(32.2%)
:
*観光ニーズの高い「城下町風情」を
町家意匠継承型の中心市街地居住政策で創り出す可能性?
:
*都会(仙台)でも商業集積ではなく城下町風情が要求される。
他の中小の城下町ならなおさら尚更では?
(7)以上を軸に、
本ブログでは、今後も数箇所ケーススタデイ地域を選定し
中心街居住誘導政策と街並み修景政策に一提言を行なっていきます。
:
【主な検討事項】
①居住環境の改善(緑地・空地、特に育児に不可欠なもの)
②商業機能の活性(日常の食料品、身近な居住者サービス)
③建築物の個別性と連続性の両面を持った町家街区
(一戸建て志向と美しく魅力ある街並みとの両立)
↓
特に②と③に着目して考察。
☆
【検討・研究方法】
時系列整理(国政調査・事業所統計・商業統計・市街地形成)
↓
現況(街並み・商業・地域の問題)
↓
政策提言
☆
【留意事項】
民間の高層マンション需要がある都市か否か?
:
たとえば
仙台や郡山・盛岡などの拠点都市と、その通勤圏である塩釜・古川・須賀川などと、
石巻レベル以上の都市の都心部、およびそれ以外の地方都市を区別。
↑
岩手県奥州市江刺(旧・江刺市)の中心市街地にて本ブログ管理者撮影
☆
例えば東北地方の場合、
人口10万以下で第2次産業従業者比率の高い都市(白石・角田など)は、
大きな工場の立地が郊外なので、「職住隣接」の観点から言っても、
自然発生的な中心市街地内の大規模高層マンション需要はほとんど無いと思われる。
:
第3次産業従業者比率の高い人口10万以下の都市(*例・奥州市水沢など)でも、
既に仙台レベルの都市でさえ「支店経済」は曲がり角の状態[河北新報の報道]で、
特に中小都市の支店は閉鎖の傾向にある
↓
新規の民間参入が見込めなければ、既存の公的サービスにおける更新計画に着目
↓
「借り上げ公営住宅」によって
郊外の交通不便地における老朽公営住宅の更新計画とリンクさせた
中心市街地へ居住誘導を進める方法以外は可能性無し?
☆
上記に記した(主な検討事項①)についても、
公園街路化、連続建て形式、共同建て替えにより
まとまった空地・緑地の確保が促進されると、尚良いことについて言及。
:
また、連続建て形式は、一戸建ての利点である建物構造の独立性が保たれたままで、
ファサードが統一された美しい街並みの連坦を促すことができる。
:
さらに、町家型集合住宅は京町家の利点(中庭・坪庭)を採り入れることによる
住環境改善効果が見込める事に言及するのが望ましい?。
☆
また、防災面では、
例えば宮城県は「地震の巣」なので、周期的に起こる震度6程度までの耐用性が必要?
最後に、
[ 住宅の中だけで人々の暮らしが完結するわけではない。住宅の外部に出た場合、
まず必要になるのが移動手段である。必要となるあらゆる施設、
サービスに円滑にアクセスするためには、移動手段のネットワーク化も必要である。
その場合、アメリカでは、すべての人たちが自動車に乗って生活しているわけだが、
日本の社会では、これからすべての生活者が自動車に依存して生活するということは、
日本の都市の中の道路の整備状況をみても不可能である。
したがって、歩行者道路のネットワークを、まず住宅の周りに作っていく。
そして、その徒歩圏ネットワーク上に、たとえば運動施設や医療施設のみならず、
商業、レクリエーション、サービスのための施設や公園といったものを
一体として整備していかなければ、結局は自立した生活ができないことになってしまう。
(青木仁「快適都市空間をつくる」p.160-161) ]
ピーター・カルソープ(倉田直道・倉田洋子訳)
「次世代のアメリカの都市づくり―ニューアーバニズムの手法」
学芸出版社2004年p.71―76より引用、、、
図:三春町中心部における公共施設の集積(1996年)
出典:
山川 充男
「大型店立地と商店街再構築:地方都市中心市街地の再生に向けて」
2004年 八朔社 p.210 ■本ブログ内関連記事参照
:
特に、やってはいけないことは、
[ 住宅だけがバリアフリーになっていても、
一歩外へ出ると、家の前を幹線道路が走っていて、
幹線道路の向こう側にある施設に行くには、
横断歩道か歩道橋を渡らなければならないといったケースを想定してみよう。
横断歩道は、ある程度以上に足腰の弱った高齢者にはとても怖くて渡れないし、
横断歩道橋の階段はとても上れない。
このようなことでは、
住宅の内部や住宅直前のアプローチが仮にバリアフリーになっていたとしても、
その人の生活にとって、決して自立した生活の場とはならないのである。
(青木仁「快適都市空間をつくる」p.161) ]
:
要約すれば、
[ 安全・安心・健康だけではなく、快適な生活圏を作るという発想である。
個々人の生活領域の単位ごとに、
その中で少なくとも最低限必要なサービスがセットとして供給されている
というような環境を、都市の中に、
その現状を再編成すること通じで創出することが重要なのである。
(青木仁「快適都市空間をつくる」p.163) ] と、いうことである。
↓
本ブログにおいては、今後もこの視点に立った記事を作成していきます・・・・・
*
本ブログ内関連記事
↓
■過去分析メモ/中小地方都市における中心市街地の現況・・・(1)
■過去分析メモ/中小地方都市における中心市街地の現況・・・(2)
■過去分析メモ/中小地方都市における中心市街地の現況・・・(3)
■過去分析メモ/中小地方都市における中心市街地の現況・・・(4)
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