金髪坊主は仲間の一人をゲームセンターの中に行かせた。
誰かを呼びに行かせたようだった。
俺はふと、昔の事を思い出した。
丹至と出会ったのも古びたゲームセンターの前だった。
しかしそんな感慨にふけっている間もなく、中から男が一人出てきた。
茶髪で、髪を後ろに縛っている細眉の男だ。
「あれ?」
俺がそう言うと、テルも「あ!」と声を上げた。
その男も少し驚いた顔をしている。
そして男は少し笑ってこう言った。
「なんやねんほんまお前等」
この男は坂東高校のリョウキ。
俺達を袋叩きにした坂東高校の不良グループのトップであるマサシとは一線をおいている不良だ。
マサシ達にリベンジしようと浅草に乗り込んだ俺は、何故かリョウキ達と出会ってしまい、タイマンを張る事になった。
結果、痛み分けになったが、お互いに変な親近感を持っていた。
「リョウキ先輩、知ってるんスか」
金髪坊主がリョウキに言った。
「まぁ…そんなところやな」
リョウキは「お前等、何しに来たんや。お、そこに俺を殴った奴もおるやん」と言ってヒロシを見た。
ヒロシは俺の後ろに隠れた。
「なんでもいいんだけどさ、おたくらの番長さんどこ?ぶん殴りに来たんだけど」
俺がそう言うと、相手は騒ぎ始めた。
「だーっとれや。お前等、こいつら中坊やぞ?分かっとるんか?」
リョウキは騒ぐ後輩達に向かって言った。
金髪坊主達は俺達を同じ高校生だと思ってここに連れて来たのだろう。
驚いた顔をしていた。
テルが老けていたせいだろう。
「ダサ。中学生相手に先輩頼みッスか?」ヒロシが俺の後ろに隠れながら言った。
口だけは達者だ。
するとまた金髪坊主達が騒ぎ始めた。
俺はリョウキに向かって言った。
「わざわざ東京から来てんだからさ、とりあえずマサシ出せよ」
すると、リョウキの目つきが変わった。
~つづく~
井口達也
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※登場人物おさらい
坂東高校
マサシ(坂東高校番長)
リョウキ(ナンバー2)
絵美(達也の恋人?)
菜穂(テルとヒロシが惚れた女)
ヤスシ(達也を奈良まで運んでくれたトラックの運ちゃん)
達也(狛江の馬鹿)
テル(狛江のカバ)
ヒロシ(狛江の九官鳥)
森木(狛江のダンディ)
ワン公(狛江の土佐犬)
ルパン(狛江の怪盗)
ヒデくん(鼻毛が出てる人)
ミカ(ヒデくんの彼女でありヒロシの実姉)
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