吉原馬雀の奇妙な冒険

吉原馬雀の奇妙な冒険

元・三遊亭天歌でしたが、吉原朝馬門下となり、高座名が変わりました。

吉原馬雀(よしわら ばじゃく)です。

 

 

 

 

 おつかれさまです。吉原 馬雀です。


 2024年6月26日(水)に開催された一般社団法人落語協会の会員(社員)総会のレポートです。


 まずハラスメント対策についてです。


 「令和6年の事業計画書」の「会員育成」の項目には、昨年に引き続き「定期的にコンプライアンス等の勉強会を開催する。」との記述が盛り込まれました。


 過去2022年12月と2024年2月の開催に続いて、引き続き定期的な開催はありがたいことだと思ってます。


 とりわけ今年の11月1日よりフリーランス保護新法が施行され、私たちの業界にも少なからぬ影響があります。この中では、パワハラ防止法以上に個々の会員に対するハラスメント対策が求められています。


 落語協会について言えば、すでに問題相談窓口があるため、窓口の一層の周知と会員の相談に対する担当者の対応マニュアルの整備が今後必要となります。(現状マニュアルはありますが、もっぱら事務員を想定したものになっています。)



 今年の総会で私が注目していたのは、会員の議決権の行使方法についてです。


 こちらについても、今年はコンプライアンスにかなう運営がなされていて、良かったと思います。


 これまでの総会では、理事会より推薦された役員が総会にて承認されるにあたって、推薦者一同を会員が拍手一括で承認される方法が採られていました。


 これは一般社団法人法上、各組織に求められる定款内に定めるルールに反していました。


 一般社団法人落語協会の定款第18条第3項にて「理事又は監事を選任する議案を決議するに際しては、各候補者ごとに第1項の決議を行わなければならない。」とあります。


 この点、今年は各候補者各自ごとに、承認決議が採られていました。


 また拍手一括承認についても、議決権の軽視として従来は問題でした。


 同条第1項によると、「社員総会の決議は、正会員議決過半数有する正会員出席席した当該正会員の議決権の過半数をもって行う。」とあります。


 拍手一括では過半数が得られているのか否か正しく議決権の確認ができません。(ちなみに議長からは今までの総会では省略をして承認決議を取っていたと説明がありました。)


 この点も、今年は挙手制で各会員が賛成の意思を示すよう改善がされました。


 なおかつ落語協会では全会員のおよそ3分の2が委任出席である状況のため、委任された議決権数も決議には影響が大きいです。挙手制だと正しくカウントができるのかを、私は事前に質問状にて質問をしていました。結果、この点も今年は改善がされていました。


 委任された会員が、賛成の挙手の際には札(委任された議決権の数が表示されている)をかがけて、委任された票数が明確になるようになりました。


 会員より承認された今回の各役員人事についても、私個人の一番の懸念事項が解消され、個人的には良かったと思ってます。


 世間的には会長人事に注目が集まっています。ちなみに会長人事については、会員からの承認決議が無く「おやっ?」と思った方もいたようですが、現在の落語協会の定款では、会員が会長を決めることができません。


 定款第20条第2項にて「会長、副会長及び常任理事は、理事会の決議によって理事の中から選定する。」とあるためです。そのため、会長を理事会で選出するのは問題の無い運用です。


 将来的に、会長を会員から選出する運用にするのならば、一般社団法人法上の議案にて上記定款の変更を会員一同にはかる必要があります。



 感想ですが、今年の総会は従来と比べ、 定款を無視した独善的運用は解消されて、改善されたと思ってます。各会員の権利を尊重してこそ、社団法人として本来の適切な運営が図られるからです。



  最後に今後の総会運営について私個人が考える課題です。


 推薦役員の選出根拠についてですが、現状の細則根拠のみでは、外部理事や色物(落語家以外の芸種)の理事を理事会が推薦することは本来なら困難と考えます。


 細則(定款よりもさらに細かい運用規則)の第5条第1項にて「この法人の役員(理事及び幹事)に選ばれる者は、真打に昇進した後10年を経た者で、真打としての実績を認められた者でなければならない。」とあるためです。これはあまりにも限定的すぎて、他の解釈を許さないものです。


 また「真打としての実績」が役員選定の上で加味されるのも時代錯誤だと思ってます。高座と実務は切り離されて評価されるものだからです。


 それと真打について言えば女性真打はどうしても若手に集中しているので、推薦される役員のコンプライアンス意識は大前提ですが、役員のジェンダーバランスも考える上では上記規定が弊害となっていると思ってます。


 この規定は理事会で変更できるものですので、見直 しのタイミングが来ていると個人的には思ってます。


 あと今回の総会開催前に、各会員から3名まで役員の推薦を募集したのはすごく画期的だと思うのですが、私の確認した情報では、理事会にはどの候補に推薦がきたのかまでしか情報が知らされなかったようです。どの候補に「何票まで」推薦が来たのかまでシェアしないと、せっかく会員から意見を募っても本来の目的が形骸化してしまっているのではないでしょうか?


 あと議決権について言えば、年功序列の組織上、若手の議決権についてやはり挙手制だと同調圧力がかかりやすいので、書式による投票のほうが組織の性質上望ましいと思ってます。


 というわけで、以上個人的な所感でした。


 あと落語協会の会員の皆様におすすめしたいのが、定款や細則を読んでいただきたいということです。特に細則にはこんな事まで決まってるのかということが結構驚くと思います。 正会員ならば事務局にて入手可能です。


 公益社団法人上方落語協会はネット上でダウンロードできるようになってますね。こっちのほうが便利で良いですね。


 最後までお読みくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

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