盛岡食いしん爺日記
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盛岡八幡宮に一直線に伸びる八幡町の通り。
昔は花街。
盛岡芸妓も多く街を彩っていた。
戦後は飲食店街として賑わいを見せた。
通りには幾つもの路地。
狭い路を囲んで飲食店が犇めいていた。
しかし、今は人通りが少ない。
ただ、盛岡八幡宮の元朝参りや秋の例大祭など行事のたびに大賑わい。
通りは人で溢れる。
Walk Don't Run · Johnny Smith
通りの真ん中辺りに番屋がある。
江戸時代に始まった南部火消の伝統。
大正時代になると、消防の屯所として建てられた。
紺屋町には当時の木造建築のまま残っている。
八幡の番屋は、大正の雰囲気を残して建て替えられた。
今も消防団の拠点。
この向かいに「蕎麦将軍」。
午前中の打合せが終わり、ある方と一緒に訪れた。
蕎麦将軍の大将は、
盛岡の名店蕎麦喰い処「やまや」で修業し2019年の冬に独立。
開店したものの半年後にはコロナ。
一時はテイクアウトで頑張り、のりこえた。
始めた頃は小上がりにテーブル席だった。
今では入り口の辺りにカウンター席もあり、
一人で来てもゆっくり味わえる。
豆腐の芯までタレが染み、ご飯にのせた「とうめし」は、
今や蕎麦将軍の名物。
旬の食材を活かしたそばを出してくれる。
今日は壁の貼り紙を見てすぐ決めた。
冬季限定があり、一緒の方も限定に弱いという。
ここの岩海苔がそばを覆い隠す花巻そばも人気だ。
そもそも花巻そばとは、
温かいそばにちぎった海苔をたっぷり散らす。
江戸時代、海苔が磯の花に例えられていたそうだ。
蕎麦将軍では、そこに冬季は牡蠣ときた!
考えたものだ。
前に大将が「いっつも、メニューのことばかり考えてしまいます」と話していた。
黒い海苔に浮かぶ牡蠣。
添えられた菊。
見た目も綺麗で食欲をそそられる。
蕎麦将軍の冬季限定で珍しい「牡蠣の花巻そば」はビジュアルも香りもいい。
写真を撮る間に「お先に!」と向かいの人は食べ始めた。
「美味しい、美味しい」と夢中で食べている。
さて、私も食べるとしよう。
風味豊かな牡蠣、今シーズンの初物。
美味しい~
「うむむ」
そばがちょっと違う。
そば粉を強く感じ、十割そばの様だ。
私にとっては益々好きなそばになっている。
美味しい!
食べ始めると箸が止まらない。
二人ともあっという間に完食。
レンゲでつゆも殆ど飲んだ。
いいタイミングで、そば湯が運ばれてきた。
つゆにそば湯を注ぐと、出汁の鰹節の香り。
学生時代、アパート暮らしを始めた頃だった。
近くのそば屋で、ざるそばを重ねて食べていた。
先に食べ終えたお客さんの前に、
あれは確か黒い器に入ったそば湯が置かれた。
なんだろうと見ていた。
すると蕎麦猪口にそば湯を注ぎ飲み始めた。
その時、初めてそば湯を知ったと話すと、
一緒の人は物心ついた頃から知っていたという。
私が父に連れられて行く時、
たいてい熱燗を一本飲んでからそばを食べていた。
それで、父と行くとそば屋には長くいた気がする。
しかし、何故かそば湯の記憶はなかった。
父は酒が好きだった。
若い頃は私も随分飲んだが、さほど美味しいとは思わなかった。
ここ数年で2度も入院し、アルコールは止めた。
ノンアルコールビールやワインで満足している。
父の遺伝子は全く入ってない様だ。
来るたびに新メニューや季節の味が楽しみな蕎麦将軍。
今日もご馳走様。















