とんとん・にっき

とんとん・にっき」にお立ち寄りいただき、ありがとうございます。




*写真の上でクリックすると、より大きな画像をご覧になれます。


*コメントはいつでも受け付けています。




1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

「本でも読んでみっか」、2024年(1月~6月)のまとめ!

「本でも読んでみっか」、2024年(1月~6月)のまとめ!

 
1月
 
2月
 
3月
 
4月
 
5月
 
6月
 
過去の関連記事:
 

「映画もいいね」、2024年(1月~6月)のまとめ!

「映画もいいね」、2024年(1月~6月)のまとめ!

1月
 
2月
 
3月
 
4月
 
5月
 
6月
 
過去の関連記事:
 

島田潤一郎の「長い読書」を読んだ!

 

島田潤一郎の「長い読書」(みすず書房:2024年4月16日第1刷発行)を読みました。

 

もっと、読書が好きになる

「本を読み続けることでなにを得られるのか。」喜びだけではない、読書という体験の全体をつぶさに描く無二の散文集。

 

「本を読みなさい。ぼくのまわりに、そんなことをいう人はいなかった。」

小説を読みはじめた子ども時代。音楽に夢中でうまく本を読めなかった青年期から、本を作り、仕事と子育てのあいまに毎日の読書を続ける現在まで。

吉祥寺のひとり出版社「夏葉社」を創業し、文学をこよなく愛する著者が、これまで本と過ごした生活と、いくつかの忘れがたい瞬間について考え、描いた37篇のエッセイ。

本に対する憧れと、こころの疲れ、ようやく薄い文庫本が読めた喜び。小説家から学んだ、長篇を読むコツ。やるせない感情を励ました文体の力。仕事仲間の愛読書に感じた、こころの震え。子育て中に幾度も開いた、大切な本…。

本について語る、あるいは論じるだけではなく、読むひとの時間に寄り添い、振り返ってともに考える、無二の散文集。

「僕は学校帰りや仕事の帰り、本屋や図書館で本を眺め、実際に本を買い、本を読んだあとの自分を想像することで、未来にたいするぼんやりとした広がりを得た。

 

目次

本を読むまで

本を読むまで

大きな書棚から

家に帰れば

「追憶のハイウェイ61」

バーンズ・コレクション

江古田の思い出

遠藤書店と大河堂書店

大学生

「風の歌を聴け」

本を読むコツ

文芸研究会

Iさん

すべての些細な事柄

「アリー、僕の身体を消さないでくれよ」

大学の教室で

本と仕事

「言葉と物」

「なしくずしの死」

「ユリシーズ」がもたらすもの

沖縄の詩人

リフィ川、サハラ砂漠

遠くの友人たち

「魔の山」

H君

団地と雑誌

本づくりを商売にするということ

「ちいさこべえ」と「ちいさこべ」

アルバイトの秋くん

本と家族

リーダブルということ

「アンネの日記」

「彼女は頭が悪いから」

子どもたちの世界

宿題

ピカピカの息子

そば屋さん

山の上の家のまわり

長い読書

 

過去の関連記事:

島田潤一郎の「あしたから出版社」を読んだ!

一人出版社「夏葉社」代表 島田潤一郎さん 「小さな声」届ける情熱と挑戦

島田潤一郎の「古くてあたらしい仕事」を読んだ!

「古くてあたらしい仕事」夏葉社・島田潤一郎さん

 

朝日新聞:2024年6月29日

「精選女性随筆集 須賀敦子」を読んだ!

 

「精選女性随筆集 須賀敦子」(文春文庫:2024年7月10日第1刷)を読みました。

 

文春文庫創刊50周年記念 精選女性随筆集シリーズ第11弾!
イタリアを愛し稀有な人生を歩んだ彼女の、魂の旅路を辿る名随筆

あらゆる感情と丁寧に接し、言葉という品格をまとわせる。
そんな須賀敦子の、深く、しなやかな知性がここに象られている。
――ヤマザキ マリ
須賀敦子の文章は、不思議だ。
ものの匂いも色も音も、
まるで目の前で再現されているように、
ありありと感じられる。
――川上弘美・まえがきより

1960年代、イタリアでコルシア書店の仲間たちと運命的な出会いがあった。最愛のペッピーノと結婚、霧の街ミラノに暮らす。知り合った人々との邂逅を慈しみ、優しい眼差しと誠実さに溢れる独自の表現で、多くの人々に愛されるエッセイを紡いだ。まだ海外渡航が珍しい時代、果敢に道を切り開いた著者の名随筆。解説・岡本太郎

 

目次

     幸福 川上弘美

第一部 イタリアの友人

      遠い霧の匂い

      マリア・ボットーニの長い旅

      夜の会話

      カラが咲く庭

      オリエント・エクスプレス

      電車道

      マリアの結婚

      重い山仕事のあとみたいに

第二部 文学と人生

      プロローグ(『ユルスナールの靴』)

      死んだ子供の肖像

      しげちゃんの昇天

      チェザレの家

第三部 ペッピーノへの手紙ほか

      芦屋のころ

      となり町の山車のように

      大洗濯の日

      ヤマモトさんの送別会

      なんともちぐはぐな贈り物

      書簡「1960年 ペッピーノ・リッカ宛」より

      (翻訳・岡本太郎)

解説 岡本太郎

略年譜

 

須賀敦子:

1929(昭和4)年、兵庫県生まれ。聖心女子大学文学部卒業。53年よりフランス、イタリアに留学し、71年に帰国。91年、「ミラノ 霧の風景」で女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞。著書に「コルシカ書店の仲間たち」「トリエステの坂道」「ユルスナールの靴」など。訳書にN・ギンズブルグ「ある家族の会話」「マンゾーニ家の人々」、A・タブッキ「インド夜想曲」「島とクジラと女をめぐる断片」など。98年3月逝去。

 

川上弘美:

1958(昭和33)年、東京都生まれ。お茶の水女子大学理学部卒業。94年「神様」で第1回パスカル短篇文学新人賞を受賞。96年「蛇を踏む」で第115回芥川賞を受賞。2001年「センセイの鞄」で谷崎潤一郎賞、07年「真鶴」で芸術選奨文部科学大臣賞、14年「水声」で読売文学賞、16年「大きな鳥にさらわれないように」で泉鏡花文学賞を受賞。19年紫綬褒章受章。「森へ行きましょう」「某」など著書多数。

 

過去の関連記事:

若松英輔の「霧の彼方 須賀敦子」を読んだ!

松山巌の「須賀敦子の方へ」を読んだ!

大竹昭子の「須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京」を読んだ!

池澤夏樹さん、須賀敦子を語るイベント!

 

河出文庫「須賀敦子全集」全8巻 2000年5月

編集委員:丸谷才一・池澤夏樹・松山巌

須賀敦子の、記憶の集成。

その稀有な人生の軌跡、施策の道程、文学のすべて。

2018年4月頃、購入したものの、まったく手がつけられていません。

 

 

 

第171回芥川賞・直木賞が決まった!

第171回芥川賞・直木賞が決まりました。

芥川賞受賞者は、朝比奈秋さんの「サンショウウオの四十九日」と、松永K三蔵さんの「バリ山行」です。(直木賞は未読)

 

 

 

今回、僕が読んだ候補作

(「サンショウウオの四十九日」は入手できず未読)

芥川賞候補作・尾崎世界観の「転の声」を読んだ!

芥川賞候補作・向坂くじらの「いなくなくならなくならないで」を読んだ!

玄侑宗久の「桃太郎のユーウツ」を読んだ!

 

玄侑宗久の「桃太郎のユーウツ」(朝日新聞出版:2023年12月30日第1刷発行)を読みました。

 

篠田節子:

理不尽な一撃で、よって立つ風土そのものが奪われた。静かな絶望と人生を取り戻すためのささやかな戦い。「寓話」とは呼ぶまい。地域に根を下ろした作家の切実な問いかけだ。

 

道尾秀介:

六つの短編はどれも第一級のクオリティを持つ。配列順に異様さを増し、最終話の「桃太郎のユーウツ」で、誰もが忘れがたい放心を味わうことになるだろう。

 

福島在住の僧侶作家が震災、コロナ禍のもとで、大きなユーウツと見え隠れする希望を描く6つの作品集。

 

ユーウツな桃太郎はどこへ行く、

鬼とはいったい誰なのか。

 

どんな大事件も元を辿れば個人的あるいは社会的ユーウツに行き着くのではないか。放置されて積み重なり、増殖しつづけたユーウツこそが、やがて諸刃の剣として自殺や無差別殺人なども引き起こすのではないだろうか。(「あとがき」より)

 

目次

セロファン

聖夜

火男おどり

うんたらかんまん

繭の家

桃太郎のユーウツ

あとがき

 

蛇足ながらとして、六作について現在の心境を書き留めておきたい、とある。

 

「セロファン」は、それこそ私の僧侶としての日常からの呟きと言っていい。「セロファン」については本気で「なくなれば」と思うこともあるが、多彩な経験のうちにやがて叫びは封印されていく。しかし葬儀業界の諸氏には是非とも真剣に代替案や対応策を考えてみてほしい。

「聖夜」では、震災から五年という半端な環境が深海のように福島県民を包む。客のいない日帰り温泉でたまたま聖夜と知り、イエスに思いをはせる住職夫妻だが、彼らが求めるのはむしろちんどん屋・・・。神に讃美者が必要だったように。

「火男おどり」は百万円のお賽銭をめぐるちょっと異様な話。これも震災による避難の常態化、そしてコロナ禍による接触忌避の孤独な時がなければ生まれなかったに違いない。孤独を一時的にでも解消する贅沢な手立てを見取っていただければと思う。ただ物語終焉のあとには、さらに深い孤独が待っている気配も…。

「うんたらかんまん」はもとより主人公の父が間違えれ覚えた咒文だ。ここでは人間、とりわけ男のなかに潜む覇権への欲望、修羅の気配を、一つの事件にかかわる男二人の出遭いのなかで書いてみたいと思った。書き終えて掲載されるとまもなく、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったのである。私は奇しくも時代とのシンクロを感じた。

「繭の家」も異様な近未来の物語だ。しかし近未来とは、「今」に潜む微かな気配の拡張だろう。「独り暮らし基本法」の下、国に直接管理されるヒトはいかにして命の交流を保つのか。博打のように求められるアニマだが、成否は予測不能である。むろんこんな世界になってほしくはないが、他人と会話できない子供の増加は明らかにそれを予感させる。

「桃太郎のユーウツ」は、輪廻による蓄積のなかで、「ユーウツ」がついに爆発する瞬間までの物語である。標題作に選んだのは、おそらくこのタイトルが最も現代を映していると思えたからだろう。元総理がテロに遭うこの話は、今となれば山上徹也被告人による安倍元総理射撃事件を想起させる。ここでは、桃太郎という周知のキャラを設定することで、ユーウツの根本解明よりも鬱積から爆発へ向かう行動を中心に描写した。おそらく読者諸氏のなかには、もっともっと原因不明で対処法もわからないユーウツが巣くっているに違いない。桃太郎であるがゆえに迷わずに済む局面でも、あなたは迷いに迷い、そしてテロは起こさないだろう。しかし激変する「人新生」に暮らす以上、我々がユーウツであることは避けられないのではないか。

 

この作品を書いたのは2016年、日本ではまだ微かなテロの予兆だけが感じられる時代だ。しかし今や鬱積したユーウツがいつどこで爆発してもおかしくない。ユーウツとは最も遠く離れた桃太郎までがユーウツな時代なのである。

 

玄侑宗久:

1956年福島県三春町生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。さまざまな仕事を体験後、京都天龍寺専門道場に入門。現在は臨済宗妙心寺派福聚寺住職。2001年「中陰の花」で芥川賞。2014年、震災に見舞われた人びとの姿と心情を描いた「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。作品に「阿修羅」「四雁川流景」「荘子と遊ぶ―禅的思考の源流へ」「無常という力―「方丈記」に学ぶ心の在り方」「新版 さすらいの仏教語」「やがて死ぬけしき―現代日本における死に方・生き方 増補版」ほか多数。2007年、柳沢桂子との往復書簡「般若心経 いのちの対話」で文藝春秋読者賞、2009年、妙心寺派宗門文化章、2012年、仏教伝道文化賞、沼田奨励賞受賞。

 

過去の関連記事:

玄侑宗久の「さすらいの仏教語 暮らしに息づく88話」を読んだ!

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観た!その3

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観てきました。

見てヨシ、推してヨシ、あおいでヨシ!

歌川国芳(1797~1861)は多彩なジャンルで活躍し、現代人にも人気の浮世絵師です。これまでさまざまに紹介されてきましたが、本展では史上初めて、国芳の団扇絵だけをご覧いただきます。
団扇は、江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品でしたが、同時にデザインを楽しむお洒落のアイテムでもあり、また歌舞伎ファンにとっては大事な推し活グッズでもありました。この団扇を作るための浮世絵、すなわち団扇絵も実は人気が高く、国芳も積極的に手がけていたのです。消耗品であることから現存数が少ないなか、本展では初展示作品、約100点を含む220点をご紹介します。目にも楽しく涼しげな、そして知られざる国芳団扇絵の世界を存分にお楽しみください。

ここがレア! ① 世界初! 団扇絵の美品が揃う

実用品である団扇絵はボロボロになるまで使われる運命にありました。しかし今回ご紹介するのは彫摺が良く保存状態も優れた作品ばかりです。団扇絵の美品が揃うだけでも非常に珍しいのですが、くわえて国芳の魅力の深堀りもできる貴重な機会といえるでしょう。

ここがレア! ② これも国芳!? 初展示作品が約100点

代表作「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」や「猫の曲まり」だけでなく、約100点の初展示作品も見どころです。これらには役者絵や美人画、またお店の宣伝用に作られたものや謎解き尽くしのものなどが含まれており、江戸の人々が日常で触れた情報や娯楽、また国芳の細やかな仕事ぶりを伝えてくれます。

ここがレア! ③ 実は役者絵も美人画も人気

ユーモラスな戯画やパワフルな武者絵のイメージが強い国芳ですが、団扇絵の題材として多いのは意外にも役者絵と美人画。暮らしのなかで使う団扇絵には親しみやすいテーマを選んでいたことがうかがえます。とりわけ女性たちのいきいきとした表情が大きく描かれた作品は見応え充分。江戸っ子に愛された愛嬌いっぱいの国芳美人をご覧ください。

ここがレア! ④ 推し活グッズの原点、ここにあり!?

団扇は現代の推し活で欠かせないグッズですが、実は江戸時代も同様でした。人気役者を描いた団扇絵が根強い人気を誇っていたのです。当時の人々も大好きなスターの姿を日用品に取り入れることで、応援するだけでなく、彼らと日常をともにする感覚も楽しんだのでしょう。その熱い思いにも触れてみてください。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 戯画とさまざまな題材

第2章 役者絵

第3章 美人画

 

展覧会は前後期で全点展示替えをしますが、ここでは前後期にかかわらず、図録に従い載せることにします。

 

以下、その3として、「第3章 美人画」を。

 

第3章 美人画

 

「当世三婦苦対 湯あがり」

 

「蜻蛉を見る美人」

 

「五行之内 提灯の火性」

 

「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」

 

「東都七福弁天 浅草地内多福弁天」

 

「女扇姿まま ねかひかありさう」

 

「当盛七人笑女 たのしみわらひ」

 

「艶曲揃 安宅の松」
 

「今様六夏撰 昼寝」
 

「美人月花雪」

 

「にぎわいぞろい 花のにぎわい」

 

以上です。

 

「国芳の団扇絵

猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」

2024年5月31日発行

編集:太田記念美術館

発行:太田記念美術館

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

過去の関連記事:

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その1

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その1

太田記念美術館で「深掘り!浮世絵の見方」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観た!

太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!

太田記念美術館で「歌川広重 山と海を旅する」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!(前期)

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」(後期)を観た!

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」を観た!(前期)

太田記念美術館で「広重おじさん」(後期)を観た!

太田記念美術館で「広重おじさん図譜」(前期)を観た!

太田美術館で「浮世絵と中国」を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」(後期)を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」を観た!

太田記念美術館で「はこぶ浮世絵 クルマ・船・鉄道」を観た!

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

太田記念美術館で「赤―色が語る浮世絵の歴史」を観た!

太田記念美術館で「信じるココロ 信仰・迷信・噂話」を観た!

大田記念美術館で「江戸の恋」を観た。

太田美術館で「歌川国芳」(後期)を観た!

太田記念美術館で「歌川国芳」(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「青のある暮らし―着物・器・雑貨」を観た!

太田記念美術館で「ハンブルク浮世絵コレクション展」(後期)を観た!

太田記念美術館で特別展「江戸園芸 花尽し」(前期)を観た!
太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た
「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」を観る!

 

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観た!その2

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観てきました。

見てヨシ、推してヨシ、あおいでヨシ!

歌川国芳(1797~1861)は多彩なジャンルで活躍し、現代人にも人気の浮世絵師です。これまでさまざまに紹介されてきましたが、本展では史上初めて、国芳の団扇絵だけをご覧いただきます。
団扇は、江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品でしたが、同時にデザインを楽しむお洒落のアイテムでもあり、また歌舞伎ファンにとっては大事な推し活グッズでもありました。この団扇を作るための浮世絵、すなわち団扇絵も実は人気が高く、国芳も積極的に手がけていたのです。消耗品であることから現存数が少ないなか、本展では初展示作品、約100点を含む220点をご紹介します。目にも楽しく涼しげな、そして知られざる国芳団扇絵の世界を存分にお楽しみください。

ここがレア! ① 世界初! 団扇絵の美品が揃う

実用品である団扇絵はボロボロになるまで使われる運命にありました。しかし今回ご紹介するのは彫摺が良く保存状態も優れた作品ばかりです。団扇絵の美品が揃うだけでも非常に珍しいのですが、くわえて国芳の魅力の深堀りもできる貴重な機会といえるでしょう。

ここがレア! ② これも国芳!? 初展示作品が約100点

代表作「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」や「猫の曲まり」だけでなく、約100点の初展示作品も見どころです。これらには役者絵や美人画、またお店の宣伝用に作られたものや謎解き尽くしのものなどが含まれており、江戸の人々が日常で触れた情報や娯楽、また国芳の細やかな仕事ぶりを伝えてくれます。

ここがレア! ③ 実は役者絵も美人画も人気

ユーモラスな戯画やパワフルな武者絵のイメージが強い国芳ですが、団扇絵の題材として多いのは意外にも役者絵と美人画。暮らしのなかで使う団扇絵には親しみやすいテーマを選んでいたことがうかがえます。とりわけ女性たちのいきいきとした表情が大きく描かれた作品は見応え充分。江戸っ子に愛された愛嬌いっぱいの国芳美人をご覧ください。

ここがレア! ④ 推し活グッズの原点、ここにあり!?

団扇は現代の推し活で欠かせないグッズですが、実は江戸時代も同様でした。人気役者を描いた団扇絵が根強い人気を誇っていたのです。当時の人々も大好きなスターの姿を日用品に取り入れることで、応援するだけでなく、彼らと日常をともにする感覚も楽しんだのでしょう。その熱い思いにも触れてみてください。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 戯画とさまざまな題材

第2章 役者絵

第3章 美人画

 

展覧会は前後期で全点展示替えをしますが、ここでは前後期にかかわらず、図録に従い載せることにします。

 

以下、その2として「第2章 役者絵」から。

 

「名古屋山三 中村芝翫
不破伴左衛門 関三十郎」

 

「放駒長吉 嵐吉三郎
濡髪長五郎 沢村訥升」
 

「床夏月 中村歌エ門 市村羽左エ門」

 

「高師直 中村歌右エ門
ゑんや判官 市村羽左エ門」

 

「夕寿豆美」

 

「八代目市川団十郎の立場の太平次
二代目尾上菊五郎の孫七女房およね」

 

「三代目岩井粂三郎の足利光氏」

 

「初代坂東しうかの足利光氏」

 

「三浦屋揚巻」

 

「夏の夜げしき 八代目市川団十郎」

 

「与三郎 おとみ」

 

この後、「第3章 美人画」が続きます。

 

「国芳の団扇絵

猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」

2024年5月31日発行

編集:太田記念美術館

発行:太田記念美術館

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

過去の関連記事:

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その1

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その1

太田記念美術館で「深掘り!浮世絵の見方」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観た!

太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!

太田記念美術館で「歌川広重 山と海を旅する」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!(前期)

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」(後期)を観た!

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」を観た!(前期)

太田記念美術館で「広重おじさん」(後期)を観た!

太田記念美術館で「広重おじさん図譜」(前期)を観た!

太田美術館で「浮世絵と中国」を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」(後期)を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」を観た!

太田記念美術館で「はこぶ浮世絵 クルマ・船・鉄道」を観た!

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

太田記念美術館で「赤―色が語る浮世絵の歴史」を観た!

太田記念美術館で「信じるココロ 信仰・迷信・噂話」を観た!

大田記念美術館で「江戸の恋」を観た。

太田美術館で「歌川国芳」(後期)を観た!

太田記念美術館で「歌川国芳」(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「青のある暮らし―着物・器・雑貨」を観た!

太田記念美術館で「ハンブルク浮世絵コレクション展」(後期)を観た!

太田記念美術館で特別展「江戸園芸 花尽し」(前期)を観た!
太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た
「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」を観る!

 

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観た!その1

太田記念美術館で「国芳の団扇絵 猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」を観てきました。

見てヨシ、推してヨシ、あおいでヨシ!

歌川国芳(1797~1861)は多彩なジャンルで活躍し、現代人にも人気の浮世絵師です。これまでさまざまに紹介されてきましたが、本展では史上初めて、国芳の団扇絵だけをご覧いただきます。
団扇は、江戸っ子にとって夏の暑さをしのぐための必需品でしたが、同時にデザインを楽しむお洒落のアイテムでもあり、また歌舞伎ファンにとっては大事な推し活グッズでもありました。この団扇を作るための浮世絵、すなわち団扇絵も実は人気が高く、国芳も積極的に手がけていたのです。消耗品であることから現存数が少ないなか、本展では初展示作品、約100点を含む220点をご紹介します。目にも楽しく涼しげな、そして知られざる国芳団扇絵の世界を存分にお楽しみください。

ここがレア! ① 世界初! 団扇絵の美品が揃う

実用品である団扇絵はボロボロになるまで使われる運命にありました。しかし今回ご紹介するのは彫摺が良く保存状態も優れた作品ばかりです。団扇絵の美品が揃うだけでも非常に珍しいのですが、くわえて国芳の魅力の深堀りもできる貴重な機会といえるでしょう。

ここがレア! ② これも国芳!? 初展示作品が約100点

代表作「鏡面シリーズ 猫と遊ぶ娘」や「猫の曲まり」だけでなく、約100点の初展示作品も見どころです。これらには役者絵や美人画、またお店の宣伝用に作られたものや謎解き尽くしのものなどが含まれており、江戸の人々が日常で触れた情報や娯楽、また国芳の細やかな仕事ぶりを伝えてくれます。

ここがレア! ③ 実は役者絵も美人画も人気

ユーモラスな戯画やパワフルな武者絵のイメージが強い国芳ですが、団扇絵の題材として多いのは意外にも役者絵と美人画。暮らしのなかで使う団扇絵には親しみやすいテーマを選んでいたことがうかがえます。とりわけ女性たちのいきいきとした表情が大きく描かれた作品は見応え充分。江戸っ子に愛された愛嬌いっぱいの国芳美人をご覧ください。

ここがレア! ④ 推し活グッズの原点、ここにあり!?

団扇は現代の推し活で欠かせないグッズですが、実は江戸時代も同様でした。人気役者を描いた団扇絵が根強い人気を誇っていたのです。当時の人々も大好きなスターの姿を日用品に取り入れることで、応援するだけでなく、彼らと日常をともにする感覚も楽しんだのでしょう。その熱い思いにも触れてみてください。

 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 戯画とさまざまな題材

第2章 役者絵

第3章 美人画

 

展覧会は前後期で全点展示替えをしますが、ここでは前後期にかかわらず、図録に従い載せることにします。

 

まずはその1として、「第1章 戯画とさまざまな題材」から。

 

第1章 戯画とさまざまな題材

 

「道外忠臣蔵五段め」

 

「猫の百面相 忠臣蔵」

 

「猫の源氏 賢木」

 

「諸鳥やすうりづくし」

 

「流行うきよひやうたん もんがくひやうたん」

 

「流行うきよひやうたん 
へうたんからこま・へうたんなまず・花見のすいづつ」

 

「おぼろ月猫の盛」

 

「流行六戯撰」

 

「船弁慶」

 

「かちかち山」

 

「永代橋」

 

この後、「第2章 役者絵」、「第3章 美人画」と続きます。

 

「国芳の団扇絵

猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」

2024年5月31日発行

編集:太田記念美術館

発行:太田記念美術館

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

過去の関連記事:

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(後期)を観た!その1

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その2

太田記念美術館で「月岡芳年 月百姿」(前期)を観た!その1

太田記念美術館で「深掘り!浮世絵の見方」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」を観た!

太田記念美術館で「美人画 麗しきキモノ」(前期)を観た!

太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!

太田記念美術館で「歌川広重 山と海を旅する」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!

太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」を観た!(前期)

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」(後期)を観た!

太田記念美術館で「江戸にゃんこ」を観た!(前期)

太田記念美術館で「広重おじさん」(後期)を観た!

太田記念美術館で「広重おじさん図譜」(前期)を観た!

太田美術館で「浮世絵と中国」を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」(後期)を観た!

太田記念美術館で「闇と光―清親・安治・柳村」を観た!

太田記念美術館で「はこぶ浮世絵 クルマ・船・鉄道」を観た!

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

太田記念美術館で「赤―色が語る浮世絵の歴史」を観た!

太田記念美術館で「信じるココロ 信仰・迷信・噂話」を観た!

大田記念美術館で「江戸の恋」を観た。

太田美術館で「歌川国芳」(後期)を観た!

太田記念美術館で「歌川国芳」(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!
太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「青のある暮らし―着物・器・雑貨」を観た!

太田記念美術館で「ハンブルク浮世絵コレクション展」(後期)を観た!

太田記念美術館で特別展「江戸園芸 花尽し」(前期)を観た!
太田記念美術館で「芳年―『風俗三十二相』と『月百姿』―」展を観た
「ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展」を観る!

 

芥川賞候補作・坂崎かおるの「海岸通り」を読んだ!

 

芥川賞候補作・坂崎かおるの「海岸通り」を読みました。

 

執筆者紹介には作家。84年生まれ。「ニューヨークの魔女」(「スピン」第4号)、とあります。

 

はじめにこう切り出します。

サトウさんはこのバス停に午後二時ごろに来る。たいていは。二時半のこともあれば、三時近くになることも。あるいはその日は来ないということもあるのだが、二時より前にやって来ることはない。サトウさんのごはんはとてもゆっくりだからだ。柔らかい豆腐の味噌汁とか、細かく刻まれた大根とぶりの煮物とか、そういったものを丁寧に丁寧に噛んで食べる。一度数えてみたら、箸で一口入れてから、四五秒かけて咀嚼していた。そのくせ、歯は丈夫で、入れ歯でないことが彼女の自慢のひとつだった。「あたしの母親の実家は牛乳屋だったからね」というのがサトウさんが自身の歯を語るときのエピソードのひとつだ。「人生で必要なのはカルシウムだよ」彼女の口づさむ「カルシウム」は外国語というより他の星の言葉のにおいがする。彼女はそうやって朝ごはんとか昼ごはんとかを楽しんだあとで散歩を始めるので、そんな時間にしか来ないのだ、と思う。

 

海辺にあるこのホームは、きららえん、という保育園のような音をしているが、「雲母園」という雄大な漢字が入り口に記されている。入所者数は少なく、建物はそう大きくないが、庭が広く、四季折々の木々が植わり、遠くに水平線が見える。はっきりとはしない。もさもさとしている常緑樹の隙間から、その薄青い線がのぞいているだけだ。その庭の端っこに、ニセモノのバス停はある。

 

雲母園の清掃業務は、おそらく他の老人ホームに比べてみれば楽なのだろうと思う。第一に施設の広さがあまりない。三階建てだが、一軒家を少々大きくした感じの、二世帯住宅の紛い物みたいな風体で、掃除をすべき箇所がそもそも少ない、というのは楽だ。

 

わたしは週に三日働いている。通常は九時からだが、早番は七時、遅番は十字と、シフトによって変わる。入居者の部屋や、共用の場所の掃除が主だ。今までずっと企業のビル清掃として派遣されて来たので、最初は戸惑った。そもそもけっこうキレイなのだ。もちろん、食べこぼしもあるし、チューブを使っている人はそこからの汚れもある。トイレは便や尿が目立つ。でも、嘔吐処理は介護職員がする決まりになっているし、高齢者は活動範囲が狭いから、やはり他の現場に比べると清掃箇所が雑多で多いとは思わない。その代わりに、入居者には気を遣う。

 

というようなゆったりとした時間も、さすがの人手不足でそろそろ限界に近くなり、だから、マリアさんが来たときは、よっぽど人がいなかったんだな、という感想がはじめに来た。今日は会社の事務所来てと言われて紹介されたのが彼女で、「お、黒いな」という言葉が頭に浮かび、これは口に出しちゃいけないやつだと、きゅっと唇に力を入れた。「アフリカ人?」「アフリカという国はない」私の質問に、ぴしゃりと三島さんは答えた。エリアマネージャーの彼女は、ときどきそういう、刀で切ったような物言いをする。「そもそも、肌の色と国籍は関係がない。黒人はアフリカだけに住んでいるわけではない」マリアさんは三島さんの様子に少し困った表情を浮かべていたが、「ウガンダからキマシタ」と、カタカナでぴょこりとお辞儀をした。

 

雲母園の庭は冬模様になっていた。この町に雪はめったに降らないので、シマトネリコのような常緑樹を除けば、庭の風景は淡く淡く鼠色のようになっていく。サトウさんもあまりバス停には来なくなった。それでもわたしは素数のバス停の時刻表を磨き、ときどきはベンチに座ってバスを待ってみた。待つ、という行為は不思議だ。だれかを待つとき、それは自分が主役でありながら、そこに行為らしい行為は見えない。ただぼっと立っているか、座っているか、あるいは普通の生活を送っているか、それだけにしか見えない。そのだれかが現れるまで、その人は、だれにもわからない。見えない行為を、ずっと続けていかなければならないのだ。いつもの生活の間に、いつものルーティーンの陥穽に。だからたぶん、私は、待つ、ということが嫌いなのだ。ベンチから立ち上がる。水平線を見ようとして、霧がかかったそれは、見えない。

こういう金太郎飴みたいな毎日はありがたかってのだけれど、春が近くなってきて、状況は変わった。コロナだ。

 

辞めてくれ、と言ったのはエリアマネージャーの三島さんで、言われたのは私で、でも、それが言われたのは自分だとはぜんぜん思わなくて、つい辺りを見回して、神崎さんの姿を探してしまった。ときどき、落ちにくい汚れを見つけたときは彼女を思い出すが、彼女はいない。「結論から言うと、久住さんには辞めてもらうことになる」。

 

終わりはこうです。

サトウさんは窓の向こうを見ている。明るい光が彼女の顔を舐めるように照らし、眩しくないのだろうか、彼女はずっと、その照らされている景色を見ている。「ミサキ」サトウさんはそう口を開いた。「ミサキが見える」窓の向こうには建物や堤防があるだけで、海も、岬も、灯台もない。でも、わたしは、「そうですね」と返事をした。「そうですね」と繰り返した。

それからサトウさんは振り向き、じいっと、わたしの顔を見た。バスは、海岸を遠く、走っている。

 

テーマは介護施設の清掃人、現実的でまったく過不足がなく、平易で安定した文章で、淡々と描いています。気負いはなく、が、それだけで、もの足りなさは拭えません。通常であれば上位に位置しますが、芥川賞候補作としてはどうでしょうか。

 

これで今回の芥川賞候補作は、どうやっても購入できない、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)以外、読んだことになります。

 

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>