太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観た!
太田記念美術館で「葛飾応為『吉原格子先之図』―肉筆画の魅力」を観てきました。
※葛飾応為の作品は「吉原格子先之図」1点のみの展示となります。
葛飾応為(生没年不詳)は江戸時代の浮世絵師で、葛飾北斎の娘でもあります。世界で十数点しか作品が確認されていないのにもかかわらず、北斎とも異なるその印象的な作風は多くの人を魅了し続けています。中でも代表作として知られる「吉原格子先之図」は、遊廓である吉原の光と闇を美しく描いた名品。本展では約3年半ぶりの出品となる同作とともに、太田記念美術館所蔵の肉筆画を多数展示いたします。
肉筆画とは、浮世絵師が筆で紙や絹などに直接描いた作品のこと。浮世絵師と彫師、摺師の協力で制作され、多くの枚数が摺られる版画とは異なり、絵師が直接仕上げる一点ものです。太田記念美術館所蔵の肉筆画コレクションは、古くは菱川師宣から喜多川歌麿、葛飾北斎、明治時代の小林清親に至るまで、浮世絵の長い歴史や幅広いジャンルを偏りなく含むことで知られています。応為の作品とともに、さまざまな絵師たちによる肉筆画の競演をお楽しみください。
本展の見どころ
1 「吉原格子先之図」を約3年半ぶりに公開
葛飾応為の希少な作品の中でも、代表作の一つとして知られる「吉原格子先の図」を約3年半ぶりに公開。西洋画のような陰影を駆使した描写により、江戸の遊廓である吉原の夜をドラマチックに描き出した名品です。客たちが手に持つ提灯や妓楼の室内の明かりなど、いくつもの光源が画面内に描かれ、光に照らされた人々の姿が、闇の中で幻想的に浮かび上がります。美しくほどこされた色彩やグラデーションなど、応為の卓越した筆致をお楽しみください。
2 北斎・歌麿・清親 ―浮世絵師たちの生の筆致を知る
浮世絵の中でも、版画は絵師、彫師、摺師の協力で制作され、数多くの枚数が摺られました。そのため同じ題名の作品が、世界中の美術館や博物館に収蔵されていることも少なくありません。それに対して肉筆画は、北斎や歌麿、清親ら浮世絵師たちが、紙や絹に描いて仕上げた貴重な一点もの。肉筆画からは、細緻な描線、美しいグラデーションなど、絵師の生の筆致を知ることができます。ぜいたくに使われた顔料の美しさも見どころの一つです。
3 人物、風景から物語まで ―さまざまなテーマで描かれた作品を紹介
肉筆画で最もよく描かれるモチーフとして、一人立の女性を描いた、いわゆる美人画が挙げられますが、多くの絵師とジャンルを含む太田記念美術館の肉筆画コレクションの中には、美人画だけにとどまらず、幅広いテーマで描かれた作品を見出すことができます。そこで本展では、「人を描く」「市井を描く」「風景を描く」「物語を描く」という4つのテーマに分けて作品を紹介。女性の風俗の変遷から諸国の名所の様子、江戸庶民に親しまれた物語まで、さまざま視点から肉筆画の魅力をご紹介いたします。
1F
Ⅰ 人を描く
Ⅱ 市井を描く
Ⅲ 風景を描く
Ⅳ 物語を描く
覗きケース
「太田記念美術館」ホームページ
太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)
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