太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。 | とんとん・にっき

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観た。

「浮世絵動物園」チラシ

 

「太田記念美術館」外観

 

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(後期)を観てきました。

 

前期はこちら。

太田記念美術館で「浮世絵動物園」(前期)を観た!

 

2022年7月30日(土)~9月25日(日)

前期 7月30日(土)~8月28日(日)
後期 9月2日(金)~9月25日(日)※前後期で全点展示替え

 

動物だらけの江戸の町へようこそ!

2010年、2027年に開催し好評を博した「浮世絵動物園」展が、2022年夏、再び帰ってきます。浮世絵にはペットの猫や犬、日々の営みを助けた馬や牛など、人間と暮らしを共にした応物はもちろん、おめでたい鶴や亀、地震を起こすとされた鯰、さらには舶来の珍獣たちまで、さまざまな生き物が登場します。また浮世絵師たちの想像力は、擬人化された動物たちが仕事や勉強に精を出す姿をいきいきと描き出し、虎子石のような不思議な珍獣も生み出しました。そして北斎、広重、国芳、芳年など時代を代表する絵師たちも個性的な動物表現を見せています。
本展では、あらゆる生き物が登場する役160点の浮世絵を紹介いたします。そのバラエティ豊かな作品を通して、江戸に生きる人々と動物たちとの多彩で濃密な関係性にも触れてみてください。

かわいい! おもしろい! ちょっとヘン? ―豊かな動物表現をご覧あれ

浮世絵にはさまざまな動物が登場します。ペットとして愛される猫や犬、日々の営みを助けた馬や牛など身近な動物はもちろん、おめでたい鶴や亀、舶来の象や豹、はては地震を起こすとされた鯰までもが描かれます。また浮世絵師たちは、想像力を駆使し擬人化した動物たちの姿を生き生きととらえ、虎子石のようにこの世に存在しない珍獣も生み出しました。まさに浮世絵は、動物表現の宝庫といえるでしょう。
本展では約160点の作品をご紹介し、バラエティに富む動物表現を存分にお楽しみいただきます。この夏は美術館で、かわいらしくてちょっとヘンテコな、浮世絵の動物たちと触れ合ってみるのはいかがでしょうか。

 

歌川芳豊
「中天竺馬爾加国出生新渡舶来大象之図」

浮世絵だから見えてくる 江戸っ子と動物のディープな関係

浮世絵にはペットを溺愛する今と変わらない人々の姿が描かれます。一方で、犬に魚を盗まれる魚屋や馬に乗った旅人など、現在では見られなくなった人と動物との暮らしぶりも伝えてくれます。さらに日々のあらゆる一コマを切り取る浮世絵では、木菟を描いて疱瘡除けの効果を期待した「疱瘡絵」、飼い主のかわりに伊勢参りをしたと伝えられる犬の姿も描かれました。時に現代人の想像を超える動物たちの活躍ぶりをご紹介いたします。

 

歌川国芳「木莵と春駒」

伝説の霊獣・ナゾの珍獣

雨を呼ぶ霊力があるとされた龍、普賢菩薩の乗り物とされた白象、妖狐や化け猫など、伝説や物語に登場する空想上の生き物たちも浮世絵では大活躍。しかしそれだけではありません。虎と石が合体した虎子石や、すべての干支が合体した不思議な生き物も登場するのが浮世絵です。伝統的な動物表現はもちろん、絵師の自由なイマジネーションに支えられた愉快な作品も楽しむ、江戸っ子の感性にも触れてみてください。

 

歌川芳員
「東海道五十三次之内 大磯だハらへ四り」

踊りも仕事もおめかしも ―躍動する擬人化動物―

動物を描いた浮世絵のなかでも人気が高いのが擬人化作品です。本展でも、相撲をとる兎、商売や勉強をする猫、喧嘩や宴会芸をする鳥、踊るタコなど、多彩な作品をご覧いただきます。人間のように振る舞う動物たちの姿はとても微笑ましくてユーモラス、おまけに当時の生活風俗も教えてくれます。その魅力をご堪能ください。

 

歌川芳藤「兎の相撲」

巨匠からマイナー絵師まで ―40人の共演―

北斎晩年の代表作「雨中の虎」、猫の絵の中でも屈指の人気を誇る広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」など、実力派絵師の名作も本展の見どころです。また今回、ご紹介する絵師は40人にのぼります。巨匠だけでなく、キュートな擬人化動物が得意な歌川芳藤、虎子石の生みの親で抜群のユーモアセンスを見せる歌川芳員など、知られざる動物絵の名人たちの作品もお楽しみいただきます。

 

歌川広重
「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」

 

見どころの作品

菊川英山「虎図」
 

虎は、生息していなかったにも関わらず、日本で古くから親しまれた動物です。龍と対峙する荒ぶる姿で描かれることもありますが、本作では、竹の背後からギョロリとした大きな目に笑うような口元、ふっくらとした肉球を備えた、とても愛嬌のある虎が登場します。なお縦長の画面は浮世絵版画で広く用いられた大判サイズを縦に2枚つなげたもの。
この形式は「掛物絵(かけものえ)」とも呼ばれ、周囲に表装を施し掛軸のようにして鑑賞されることもありました。江戸っ子たちが室内に飾り、大人も子供も楽しむには、本作の虎はちょうどよい親しみやすさだったのかもしれません。

 

その他の作品(後期)

 

月岡芳年「風俗三十二相 うるささう
寛政年間処女之風俗」明治21年(1888)3月
 

小林清親「カンヴァスに猫」明治13年(1880)

 

梅堂小国政「猫」明治24-34年(1891-1901)頃

 

歌川広重「木曽街道六拾九次之内
捨丸 軽井沢」天保7-8年(1836-37)頃

 

歌川芳形「東海道 桑名」文久3年(1863)

 

葛飾北斎「富岳三十六景
相州梅沢左」天保1-4年(1830-33)頃

 

喜多川歌麿
「猿回し 版本」寛政1年(1789)

 

葛飾北斎
「雨中の虎」嘉永2年(1849)

 

歌川広重「牡丹に蝶」天保3-4年(1832-33)頃
 
歌川芳藤
「しん板猫のたわむれ踊のをさらゐ」
明治1-10年(1868-73)頃
 

歌川芳藤
「しん板猫のあきんどづくし」
明治1年(1868)8月

 

作者不詳「桃太郎と金太郎」
慶応4年/明治1年-明治2年(1868-69)頃

 

歌川国芳「五十三駅 岡崎」弘化4年(1847)頃

 

月岡芳年
「月百姿 金時山の月」
明治23年(1890)10月

 

作者不詳
「雷光の図説 豊年魚」慶応2年(1866)6月
 

歌川芳虎
「家内安全ヲ守十二支之図」
安政5年(1858)6月

 

「太田記念美術館」ホームページ

太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (ukiyoe-ota-muse.jp)

 

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