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アマゾンプライムビデオで、入江悠監督の「あんのこと」を観た!

 

アマゾンプライムビデオで、入江悠監督の「あんのこと」を観ました。

 

新宿の武蔵野館へ観に行こうと思ったのですが、上映時間が遅いので躊躇していました。

ふと他人のブログでアマゾンプライムで「あんのこと」を観たということが書いてあったので、調べてみたらなんなくアマゾンプライムに行くことができました。

 

全編暗い映画でしたが、佐藤二朗が素晴らしい演技でよかったです。

稲垣吾郎は、役柄がしっかり固まっていないようで、残念でした。

主人公が立ち直りかけたのですが、最後は悲惨な結果の終わり方でした。

 

以下、KINENOTEによる。

 

解説:

実在する1人の少女の壮絶な人生を綴った新聞記事に着想を得た人間ドラマ。売春とドラッグに溺れ、荒んだ生活を送る20歳の杏は、刑事の多々羅に補導されたことがきっかけで更生の道を歩み出す。ジャーナリストの桐野も加わり、少しずつ変わり始めるが……。出演は、ドラマ『不適切にもほどがある!』の河合優実、「さがす」の佐藤二朗、「正欲」の稲垣吾郎。監督は、「映画 ネメシス 黄金螺旋の謎」の入江悠。

 

あらすじ:

売春やドラッグに溺れる20歳の香川杏(河合優実)は、ホステスの母親と足の悪い祖母と3人で暮らしている。子どものころから酔った母親に殴られて育ち、小学4年生で不登校になった。12歳で母親の紹介で初めて体を売り、荒んだ生活を送るなか、人情味あふれる型破りな刑事・多々羅(佐藤二朗)に補導されたことがきっかけで更生の道を歩み出す。多々羅の友人でジャーナリストの桐野(稲垣吾郎)も加わり、杏の薄暗闇の世界が少しずつ変わり始めるが、コロナ禍に見舞われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SOMPO美術館で、フィロス・コレクション「ロートレック展 時をつかむ線」を観た!その2

「ロートレック展 時をつかむ線」チラシ
 
フィロス・コレクション「ロートレック展 時をつかむ線」を観てきました。
 
展覧会の構成は、以下の通りです。
 
第1章 素描
第2章 ロ-トレックの世界
   カフェ・コンセール、ダンスホール、キャバレー・・・
第3章 出版
   書籍のための挿絵、雑誌、歌曲集
第4章 ポスター
第5章 私生活と晩年
 
その2は、第2章から始まります。
 
第2章 ロートレックの世界
    カフェ・コンセール、ダンスホール、キャバレー・・・

 

 

「ムーラン・ルージュのお祭り」1893年

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
以上で第2章を終わります。
この後、第3章から第5章まで続きます。
 
フィロス・コレクション
「ロートレック展 時をつかむ線」
図録
編集:SOMPO美術館
    日テレイベンツ
発行:日テレイベンツ
 
過去の関連記事:
三菱一号館美術館で「トゥールーズ=ロートレック展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ロートレックコネクション」展を(再び)観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ロートレックコネクション」展を観た!
六本木ムーラン・ルージュ「ロートレック展」を観た!
 

SOMPO美術館で、フィロス・コレクション「ロートレック展 時をつかむ線」を観た!その1

「ロートレック展 時をつかむ線」チラシ
 
SOMPO美術館で、フィロス・コレクション「ロートレック展 時をつかむ線」を観てきました。
 

展覧会の構成は、以下の通りです。

 

第1章 素描 

第2章 ロ-トレックの世界    

   カフェ・コンセール、ダンスホール、キャバレー・・・ 

第3章 出版    

   書籍のための挿絵、雑誌、歌曲集 

第4章 ポスター 

第5章 私生活と晩年 

 

その1は、第1章から始まります。

 

ポール・セスコー
「アンリ・ド・トゥールッド=ロートレック」
1892年頃

 

ポール・セスコー
「杖を持って立つトゥールズ=ロートレック1
894年頃

 

モーリス・ギベール
「ロートレックによるロートレック」
1894年頃

 

第1章 素描

 

「アマゾン『女騎手』」1876年

 

「座る女性」制作年不明

 

「司祭」1879年
 

「騎手]1880年

 

「アルフォンス・ド・トゥールーズ=ロートレック
伯爵の肖像」1888年頃
 

「ポスター『快楽の女王』のための習作」
1892年
 

「帽子の男、横向き」制作年不明
 
以上で第1章を終わります。
この後、第2章から第5章まで続きます。
 
フィロス・コレクション
「ロートレック展 時をつかむ線」
図録
編集:SOMPO美術館
    日テレイベンツ
発行:日テレイベンツ
 
過去の関連記事:
三菱一号館美術館で「トゥールーズ=ロートレック展」を観た!
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パソコンが壊れた!

ということで、お休みをいただきました。

青い日記帳の「すごすぎる 絵画の図鑑」を読んだ!

 

青い日記帳の「すごすぎる 絵画の図鑑」を読んでみました。

 

学校では教えてくれない!美術のすごすぎるひみつ
「なぜ『モナリザ』は名画と言われてるの?」「ムンクの絵を見ていると不安になる理由は?」「絵の価値はどうやって決まるの?」…etc.

国内外の美術展を詳細にレビューし、圧倒的な支持を誇る著者が「名画がなぜ名画と呼ばれるのか?」を解き明かします。意外と知られていない絵画や画家の驚きのエピソード、関連作品についての資料もふんだんに! 子どもから大人まで楽しく、ためになる一冊です。

 

目次

はじめに

キャラクター紹介

1 すごすぎる名画のはなし

1 「モナ・リザ」って何がすごいの?

2 苦しそうな人間や動物がたくさん。ピカソ「ゲルニカ」の秘密

3 これぞ記念写真の元祖!?レンブラント「夜警」

4 ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」はなぜマンガチックか?

5 富士山オタク!?が引き出した魅力 葛飾北斎「神奈川沖浪裏」

6 モテモテ画家が描いた美しい聖母 ラファエロ「美しき女庭師」

7  ”ほのぼの”なのにじつは怖い ボス「快楽の園」

8 ドラマチックな人生だから描かれた、ゴッホ「ひまわり」

9 貴族の生活をのぞき見! フラゴナール「ぶらんこ」

10 動物たちを空に浮かべたい! シャガール「アレコ」

11 謎めいた作家の大傑作! 俵屋宗達「風神雷神図屏風」

12 絵画史に爆誕した”光と闇”の表現 カラヴァッジョ「エマオの晩餐」

13 街中で鑑賞できる名画! 岡本太郎「明日の神話」

14 まるでイリュージョン! ルーベンス「キリスト降架」

15 地味すぎ? いえいえすごいんです! 雪舟「秋冬山水図」

16 じっくり見ると違和感。セザンヌ「リンゴとオレンジのある静物」

17 金に魅せられた作家が描く愛 クリムト「接吻」

18 マンガのルーツ? カワイイ動物大集合「鳥獣人物戯画」

19 30年間で約300点 「睡蓮」で表現したかったこと

20 ファミレスでもおなじみ? ミケランジェロ「天地創造」を深読み

2 すごすぎる技法のはなし

21 見えない点を探せ! 絵画をドラマチックに変える遠近法

22 日本人が大好きな印象派は どこが新しかったの?

23 技法の発明王! 江戸時代の絵師・伊藤若冲に注目

24 古今東西の名画には 安定感のある構図がお約束

25 見たまま描くだけが名画にあらず! アンバランスの力

26 これぞ究極のコピペ! 尾形光琳のデザインセンス

27 デジタル画像の先駆け!? スーラの点描画

28 キャンバスだけではない! こんな場所、こんな材料で描く絵画

29 トレカの起源は 東洲斎写楽の大首絵にあり!?

30 ポスター画家たちの 一瞬で心をとらえる技術

31 黄色はまさかの牛のアレ! 絵具の意外な材料

32 江戸にもたらされた 青の革命

3 すごすぎるテーマのはなし

33 絵画の歴史――人は絵で何を伝えようとしたか?

34 まるでドキュメンタリー!? ブリューゲルの”群集構図”

35 日本の美人画は 当時のアイドル写真だった!

36 ポップアートが日用品を アートに格上げした

37 西洋で ”ジャポニスム”が 盛り上がった本当の理由

38 ムンクの絵を見てると 不安になる3つの理由

39 花の描き方で知る 西洋と東洋の違い

40 宗教画の目的は 聖書の絵本化だった!

41 車輪でひかれたから!? 知ると楽しいアトリビュート

42 画家ってみんなナルシスト? 自画像が意外に多いワケ

43 近頃よく聞く” ゆるふわ”日本画ってなあに?

44 みんなと同じでなくてもOK! 好きを貫いたアンリ・ルソー

45 大変だけれど喜びもある ミレーが描いた、たくさんの農民

46 写真の普及が 抽象画を発展させた

47 スペインきっての有名画家は じつは宮廷画家だって知ってた?

48 眺めて、解いて、みんなが夢中! 推理して楽しむ判じ絵

49 たくさん描いて稼ぎまくり! ”少女画=ルノワール”のワケ

50 名画、それともただの落書き? バンクシーの絵のすごさとは

51 これぞ世界に誇れる日本のコンテンツ、妖怪画

52 どこまでが絵なの? ついだまされるトリックアート

53 西洋画にヌードが多い 本当の理由

54 テーマは精神世界 より内面を描いた画家ルドン

4 すごすぎるアート界のはなし

55 美大がなかった時代に どうやって画家になったの?

56 お金持ちが 絵画を買うのはなぜ?

57 背景に天使の絵が出現! 修復でよみがえったフェルメールの名作

58 絵の価値って どうやって決まるの?

59 名画に降りかかった禍 戦争に巻き込まれた絵

60 正直、”現代アート”が よくわかりません!

61 名画の事件簿 「マネとマネ夫人像」切り裂き事件

62 名画だった絵が突然ニセモノに! 美術館もだまされた贋作事件

 

なんか好きがとても大切! 絵画の楽しみ方5つのアプローチ

3分でわかる!西洋絵画史

さくいん

参考文献・写真提供

 

著者

青い日記帳:

Tak(たけ)の愛称でブログ「青い日記帳」主宰。1年に300以上の展覧会に足を運んでレビューを行うほか、美術の本質を見極めながら、広くて深くてしなやかな美術鑑賞法を発信。「敷居が高かった美術鑑賞が身近になった」「絵の見方がわかるようになった」などと好評を得ている。著書に「いちばんやさしい美術鑑賞」「失われたアートの謎を解く」(ともに筑摩書房)、「カフェのある美術館」(世界文化社)、「美術展の手帖」(小学館)、「フェルメールへの招待」(朝日新聞出版)がある。

 

監修 

川瀬祐介:

国立西洋美術館主任研究員。専門は17世紀を中心とするスペイン・イタリア美術史。企画した展覧会に「カラヴァッジョ」展、「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」展など、著書に「マンガで教養 はじめての西洋絵画(朝日新聞出版)」などがある。

 

過去の関連記事:

青い日記帳監修の「失われたアートの謎を解く」を読んだ!

青い日記帳「いちばんやさしい美術鑑賞」を読んだ!

「いちばんやさしい美術鑑賞」出版記念パーティに行ってきました!

「フェルメールへの招待」を読んだ!

「フェルメールへの招待」出版記念パーティに行ってきました!

僕が初めてTakさんと出会った時。2007年8月のことでした。

「暑気払い」という名のオフ会!

 

 

 

 

趙景達の「朝鮮民衆の社会史――現代韓国の源流を探る」を読んだ!

 

趙景達の「朝鮮民衆の社会史――現代韓国の源流を探る」(岩波新書:2024年8月20日第1刷発行)を読みました。

 

なかなか読み応えのある本でした。難解に陥らずに、軽快で読みやすく仕上がっています。

 

以前読んだ「近代挑戦と日本」で、「本書には続編がある」として、いずれ刊行されるので、今少しお待ち願いたい、と述べたのがこの本かどうか?

趙景達の「近代朝鮮と日本」を読んだ!

 

韓国は儒教国家と称されるが、それは事実の半面に過ぎない。歴史の基底には、道徳を重んじ上昇志向の強いエリート層とは別に、力弱い周辺的存在たちが生きる世界があり、多様な共同体や信仰、祭礼、文化が根づいている。日常と抗争のはざまにある苦楽を交えた生活が社会を動かすエネルギーを生んでいく。その道程を描く。

 

目次

 まえがき
第1章 朝鮮社会の儒教化
 1 儒教国家の誕生とその理念
  朱子学革命と民衆
  統治システムと理念
  民衆の儒教化
  賑恤と平均
 2 儒教社会の現実と両班
  儒教的民本主義の現実
  両班と科挙
  民衆の両班志向
  両班文化
  両班批判と士の精神
第2章 民衆の生活と文化
 1 村と食の文化
  朝鮮の村
  村の秩序と共同組織
  相互扶助の精神
  「民人は食を以て天となす」
  流民と盗賊
  勤倹農民はいたか
 2 村の賑わい
  村祭と二重文化
  正月の祭りと娯楽
  労働と農楽
  酒幕に集う人々
  場市の概況
  場市の喧噪
 3 民衆の精神世界
  正統と異端
  巫俗の位相
  仏教の位相
  道教の位相
  迷信と占卜
  墓地風水と山訟
第3章 周縁的民衆の世界
 1 賤民社会の諸相
  賤民とは何か
  奴婢という身分
  消え行く奴婢
  万神に仕える者たち
  賤民化する僧侶
  芸能民の諸相
  仮面劇と唱劇
 2 最下賤民白丁の悲哀
  起源と由来
  白丁と一般民衆
  白丁の生活
  身分と宿命
 3 褓負商の社会
  褓負商とは何か
  起源と歴史
  忠誠・団結・規律
  褓負商と一般民衆
第4章 女性のフォークロア
 1 宮女と妓生
  囚われの宮女
  妓生の由来
  妓生の社会
  官妓存廃論
  妓生の格式
 2 女性と婚姻
  婚姻の風俗
  儒教と女性
  働く女性
  早婚の悲劇
  女性の再婚
 3 女性の自由と宗教
  大らかな女性たち
  アジールとしての寺院
  女性宗教としての巫俗
  閔妃と巫女真霊君
第5章 民衆運動の政治文化
 1 不穏の時代
  飢饉・疫病・変乱
  困窮する民衆
  『鄭鑑録』の世界
  民訴の時代
  勢道政治下の民衆
  民衆宗教東学の誕生
 2 民乱の時代
  民乱と両班
  三南大騒乱
  民衆の国王幻想
  民衆の外国人観
  異端東学の教説
 3 民衆反乱のフォークロア
  反乱の大義
  農民軍の進撃
  地上天国の到来
  逸脱する農民軍
  女性戦士=李召史の悲劇
  全琫準と民衆
第6章 近代化と民衆
 1 甲午改革と民衆
  一君万民政治
  賤民の解放
  奴婢の解放
  真霊君の追放
  警察と民衆
  断髪令と民衆
 2 新しい政治文化の誕生と民衆運動
  大韓帝国と独立協会
  女性運動の始まり
  褓負商団の解体と独立協会
  公論と民訴の行方
  士意識の拡散
  辺境の反乱
 3 民衆の迷走と覚醒
  大韓帝国の警察支配と民衆
  近代文明と民衆
  女性の近代教育
  民衆ナショナリズムの高揚
  義兵と民衆
  キリスト教の大復興運動と民衆
第7章 周縁的民衆の覚醒
 1 義賊の時代
  活貧党の誕生
  義賊の出自と掟
  活貧党の作法
  活貧党と民衆
  反逆の論理
 2 褓負商の近代
  褓負商団の再興
  増長する褓負商
  排外主義と愛国
  褓負商団の消滅
 3 白丁の近代
  解放と迫害
  高宗と賤民
  異形の白丁吉永洙
  白丁の国民化
 4 近代化と女性
  「賢母良妻」論の成立
  女性の国権回復運動
  妓生の愛国精神
  大韓帝国期の妓生
第8章 民衆の行方と現代
 1 三・一運動と民衆
  韓国併合と民衆
  三・一運動の興起
  祝祭としての三・一運動
  旧白丁の三・一運動
  三・一運動と女性
  儒教的民衆観の転回
 2 儒教国家の過去と現在
  儒教国家の現実
  這い上がりと分かち合いの社会
  現代韓国の政治文化
 あとがき
 主要参考文献

 

趙景達(チョキョンダル):
1954年東京生まれ
1977年中央大学文学部卒業.1986年東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退.同大学人文学部助手を経て千葉大学文学部助教授・教授となり,2020年3月定年退職
専攻―朝鮮近代史・民衆史・思想史
著書―『近代朝鮮と日本』(岩波新書,2012年)
   『植民地朝鮮と日本』岩波新書,2013年)
   『朝鮮の近代思想』(有志舎,2019年)
   『近代朝鮮の政治文化と民衆運動』(有志舎,2020年)
編著―『近代日朝関係史』有志舎,2012年)
   『儒教的政治思想・文化と東アジアの近代』(有志舎,2018年)
共編―『岩波講座 東アジア近現代通史』(2010年)
   『原典朝鮮近代思想史』(岩波書店,2021-22年)

 

過去の関連記事:

新城道彦の「朝鮮半島の歴史 政争と外患の六百年」を読んだ!

金時鐘の「朝鮮と日本を生きる」を読んだ!

趙景達の「近代朝鮮と日本」を読んだ!

 

堀江敏幸の「中継地にて 回送電車Ⅵ」を読んだ!

 

堀江敏幸の「中継地にて 回送電車Ⅵ」(中央公論新社:2023年10月25日初版発行)を読みました。

 

最初の「回送電車」には、言い得て妙、「文学の諸領域を軽やかに横断する散文集」とあります。全編、力の入っていない文章は、また読んでみたいと思わせます。堀江敏幸の作品は「なずな」を最後に読んでいません。

 

練習問題を解いているあいだが

最も幸福だと知ったとき、

少年少女はすこしだけ大人に近ずく

 

言葉と音と時間の

不可思議をめぐる五十二篇。

十一年ぶりの回送電車が

夜中の踏切を通過する

 

本を読み、読んで書き、また読んで言葉と対話した想いを人に伝えよう。

再現にないこの沃野に身を委ねる喜びが

自分だけのものであってはならないのだから。(「言葉の池をつなぐ」より)

 

目次

いちはやき遅れ

割れない言葉

揺れる言葉の甲板で

きくいむしのはなし

蛍を踏みにじること

自転車に御乗んなさい

露店市を切り裂く怖れ

うてなの錬金術

私はあたまをかかえた

勝手にしやがれ

遠まわりの思想

発語のくちびる

春のなかに春はない

結びし水の解け出すところ

叩くこと

心をつぐ言葉

一向要領を得ないもの 小説の日本語

なにもしないという哲学

片付けた顔を見ているひと

「探りを入れること」『明暗』の書き出しから

雑木林の用足し 小沼丹の周辺から

減速して、左へ寄って 片岡義男小論

鞠足の発する言葉

「あ」の変幻

うそぶくことについて

文字変換

温かいホットケーキの逆説

面白い

一語とおなじ一文の力

言葉の池をつなぐ

歌でも読む様にして

平日にかがやくもの 寿岳文章「平日抄」

消印のない手紙

棒で結ばれた心

重ねない慎み

貼って剥がしてまた貼ること

なんと言ったらいいのか

ただそれだけを見つめている

見なければならないもの

三本のオレンジの木

「いいおぢいさんでした」吉田秀和追悼

水天宮のモーツァルト

感謝の言葉しか浮かんでこない

架空の「私」、転倒の詩 アントニオ・タブッキ追悼

礼状の礼状 長島良三さんを悼む

品定めの人 杉本秀太郎さんを悼む

往生を済ませていた人 古井由吉追悼

いま暇ですか、時間はありますか 菅野昭正追悼

最初で最後の頼みごと

中継地にて

美しく逢うこと

  初出一覧

 

堀江敏幸:

1964年生まれ。作家。

主要著書:「おぱらばん」「熊の敷石」「雪沼とその周辺」「河岸忘日抄」「正弦曲線」「なずな」「その姿の消し方」「曇天記」「傍らにいた人」

 

過去の関連記事:

堀江敏幸の「なずな」を読んだ!

堀江敏幸の「未見坂」を読んだ!
堀江敏幸の「熊の敷石」を読んだ!
堀江敏幸の「雪沼とその周辺」を読んだ!
堀江敏幸の「めぐらし屋」を読んだ!

 

木田元の「哲学散歩」を読んだ!

 

木田元の「哲学散歩」(文春文庫:2017年9月10日第1刷)を読みました。

 

前半は読むのに苦労しましたが、なぜか後半はすらすらと読めました。とはいえ出てくる哲学者の名前はほとんどわからないままでした。

 

徹底した皮肉屋ソクラテス、衣装に凝り過ぎてプラトンの眉を顰めさせたアリストテレス、著者が惹かれてやまない性格最悪のハイデガー・・・古代ギリシャの哲学から20世紀現代思想迄の代表的な哲学者の思想とエピソードを、自身の哲学体験を交えながら分かりやすく紹介。インテリジェンスがにじみ出る名エッセイ。解説・保坂和志

 

目次

はじめに

哲学散歩 第一回 エジプトを旅するプラトン

哲学散歩 第二回 エンペドクレスのサンダル

哲学散歩 第三回 ソクラテスの皮肉

哲学散歩 第四回 忘恩の徒? アリストテレス

哲学散歩 第五回 書物の運命 これもまた?

哲学散歩 第六回 哲学史のなかのアレクサンドロス大王

哲学散歩 第七回 アウグスティヌスをめぐる謎

哲学散歩 第八回 プラトニズムとユダヤ思想

哲学散歩 第九回 「薔薇の名前」遺聞

  間奏  悠久の旅(Ⅰ)

  間奏  悠久の旅(Ⅱ)

  間奏  悠久の旅(Ⅲ 補遺)

哲学散歩 第十回 火焙りにされた最後の哲学者ジョルダノ・ブルーノ

哲学散歩 第十一回 デカルトをめぐる女性たち

哲学散歩 第十二回 私のカント体験記

哲学散歩 第十三回 ライvヴァルたち――シェリングとヘーゲル――

哲学散歩 第十四回 ある師弟――ショーペンハウワーとニーチェ――

哲学散歩 第十五回 哲学者と女性

哲学散歩 第十六回 哲学と心理学の縄張り争い

哲学散歩 第十七回 ある交友――ハイデガーとヤスパース――

哲学散歩 第十八回 マッハを想う

哲学散歩 第十九回 哲学の青春――ニザンとサルトル――

哲学散歩 第二十回 ダヴォスの対決――カッシーラーとハイデガー――

哲学散歩 第二十一回 ある訣別――ハイデガーとレーヴィット――

解説 木田元を木田元たらしめたもの 保坂和志

 

木田元:

1928年生まれ。東北大学文学部卒業。同大学院特別研究生前期・後期課程修了。中央大学文学部教授を経て、同大学名誉教授。著書に「現象学」「ハイデガーの思想」「反哲学入門」「哲学は人生の役に立つのか」「わたしの哲学入門」「ハイデガー拾い読み」など。2014年8月逝去。

 

TOHOシネマズ日比谷で、中尾浩之監督の「シサム」を観た!

 

TOHOシネマズ日比谷で、中尾浩之監督の「シサム」を観てきました。

 

以下、KINENOTEによる。

 

解説:

寛一郎主演で、江戸時代前期の北海道を舞台に贈る時代劇。アイヌとの交易品を主な収入源とする松前藩藩士の息子・孝二郎は、使用人の善助に殺された兄・栄之助の敵討ちを誓い、善助を追って蝦夷地へ。その頃、蝦夷地では和人への反発の動きが強まっていた。共演は「Winny」の三浦貴大、「レジェンド&バタフライ」の和田正人。「世界は今日から君のもの」の尾崎将也が脚本を手掛け、「劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日」の中尾浩之が監督を務めた。

 

あらすじ:

江戸時代前期。北海道の南西部にある松前藩は、アイヌとの交易品を主な収入源としていた。松前藩藩士の家に生まれた孝二郎(寛一郎)は、兄・栄之助(三浦貴大)とともにアイヌとの交易で得た品を他藩に売る仕事をしていた。ところがある夜、使用人の善助(和田正人)の不審な行動を目にした栄之助が、善助に殺害される事件が発生する。敵討ちを誓い、善助を追って蝦夷地へ向かう考二郎。その頃、蝦夷地では、和人に対する反発の動きが強まっていた……。

 

 

 

 

 

 

過去の関連記事:

下高井戸シネマで「せかいのおきく」を観た!

吉本ばななの「下町サイキック」を読んだ!

 

吉本ばななの「下町サイキック」(河出書房新社2024年7月30日初版発行、2024年9月10日2刷発行)を読みました。

 

8月初めに購入した本、なかなか読めなくて、やっと読みました。

 

「友おじさん、どうして人は色とか

お金とかに目がくらむの?」

「人はいつだって、今の人生をとにかく

変えたいと思っているからだよ。」

 

目に見えないものが見える中学生のキヨカと、

近所に住む友おじさんの、

ささやかだけれど大切な連帯。

暮らしの哲学が詰まった最新長編!

 

近所のみんなと作る餃子、日々のそうじ、

お母さんと夕食を食べながらするおしゃべり、

道端で出会った名犬――。

まだいたい、この世界に。

 

今はもうなくなりつつある、私の知っていた下町ルール。とても独特で、しかもよく機能していたあの人生観。あれを今のうちに記録しておこうと思ったのです。良いことばかりではありませんでした。人間の生々しさに満ちた時代の、おどろおどろしいものを内包したルールです。だからこそ当時に下町は、この世からはみ出してしまった行き場のない人たちをなんとなく、薄ぼんやり、誰もむりせずに包み込んでいたのですね。

でも、あのとんでもないながらも人間力だけでなんとかしていた時代をちょっとだけ書いておきつつ、主人公のキヨカちゃんの内面のデリケートさ、生きて生きがたいほど強いサイキック能力が、「好きな人や日常で会う人の人数の多さで散らされてかなり普通に、病まずに生きていける、むしろ周りの人にとって長所となっているくらいだ」というのもまたテーマです。大人が痩せがまんしてでもちゃんと大人だと、子どももちゃんと子どもでいられるのです。(「あとがきと謝辞」より)

 

新しいものが何も入ってなかったらもう引退したほうがいいな、と思っていましたが、少しだけまた新しい方向に踏み出せたなと思いつつ、ちょっと時代にとって早すぎたやも。(「あとがきと謝辞」より)

 

吉本ばなな:

1964年東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年「キッチン」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年「ムーンライト・シャドウ」で泉鏡花文学賞、89年「キッチン」「うたかた/サンクチュアリ」で芸術選奨文部科学大臣賞新人賞、同年「TUGUMI」で山本周五郎賞、95年「アムリタ」で紫式部文学賞、2000年「不倫と南米」でドゥマゴ文学賞、22年「ミトンとふびん」で谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版され海外での受賞も多数。近著に「はーばーらいと」など。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

 

朝日新聞:2024年8月14日

 

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