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ヒューマントラストシネマ渋谷で、荻上直子監督の「波紋」を観た!
ヒューマントラストシネマ渋谷で、荻上直子監督の「波紋」を観ました。
観たい映画がなかなかなくて、やっと探し当てた映画が「波紋」でした。
荻上直子監督の作品。主人公が新興宗教にはまるというもの。
主役の筒井真理子が、独壇場で素晴らしい。
以下、KINENOTEによる。
解説:
「彼らが本気で編むときは、」の荻上直子が「よこがお」の筒井真理子を主演に迎え、自身の脚本を映画化。新興宗教を信仰し、日々庭の手入れを欠かさない須藤依子。ある日、長いこと失踪したままだった夫・修が突然帰ってくるが、がん治療の費用を助けて欲しいという。共演は、「レンタネコ」以来の荻上組参加となる光石研、「PLAN75」の磯村勇斗。
あらすじ:
夫がいなくなって十数年、“緑命会”という新興宗教を信仰し、日々庭の手入れを欠かさず、祈りと勉強会に勤しみながらひとり穏やかに暮らす須藤依子(筒井真理子)。そんなある日、自分の父の介護を押し付けたまま失踪した夫・修(光石研)が、突然帰ってくる。がん治療に必要な高額の費用を助けて欲しいというのだ。さらに、息子・拓哉(磯村勇斗)が、障害のある彼女を結婚相手として連れて帰省。依子のパート先では癇癪持ちの客に大声で怒鳴られる……。自分ではどうにも出来ない辛苦が降りかかる依子は、湧き起こる黒い感情を宗教にすがり、必死に理性で押さえつけようとするのだが……。
「水戸芸術館 誕生の背景をたどる」!
朝日新聞に、磯崎新の代表作で追悼企画、ということで、「水戸芸術館 誕生の閉経をたどる」という記事が載っていました。
僕も先日、観てきました。
朝日新聞:2023年5月30日
過去の記事から…。
「水戸芸術館」を観る
なんと言っても水戸芸術館は、水戸市制100周年を記念して建てられた、高さ100mのチタンパネル製の正三角形57枚を三重螺旋状に組み合わせた構造のシンボルタワーでしょう。馬の背状の水戸市の市街地のどこからでも見えます。特に千波湖からの眺めは抜群に素晴らしいです。そんなわけで、水戸芸術館に行って来ました。たまたまエントランスホールで展示されていた「田澤純写真展・タワーのある風景」を観ることができました。上の写真がその一つです。
建物の設計は磯崎新、1990年2月に竣工、芸術館の開館は1990年3月22日です。文化による町おこしを意図し、市の年間予算の1%(約9億円)を活動資金にするという制度を日本で初めて導入しました。また美術・音楽・演劇の各部門には「芸術監督」が任命され、それぞれ活動されています。現代美術ギャラリーは通常の美術館と異なり、コレクションはほとんど持たずに企画展示に予算を集中しています。吹き抜けのエントランスホールでは、パイプオルガンのコンサートが定期的に行われています。また、3本のケヤキと建物に囲まれた広場は、市民の憩いの場として定着しています。
吉田文彦の「迫りくる核リスク <核抑止>を解体する」を読んだ!
吉田文彦の「迫りくる核リスク <核抑止>を解体する」(岩波新書:2022年11月18日第1刷発行)を読みました。
ウクライナ侵攻以降、核兵器が使用されるかもしれないというリスクが急激に高まり、このリスクはアジアにも迫ってきている。核保有が核を使用しないことになるという〈核抑止〉が長年言われてきたが、著者はその現実を一つ一つ明らかにし〈核抑止〉を解体する。そして未来のために、今何をすべきなのかを提言する。
目次
はじめに
第一部 ウクライナ危機のインパクト
第1章 「核による恫喝」があぶりだしたもの
プーチン大統領の「掟破り」
「核による恫喝」の衝撃
「核のタブー」への打撃
ハイリスク地域の拡大
核軍縮混迷
NPTへの不信
核抑止の脆弱性論
核抑止依存の強化論
「核の共有」
強固になった二項対立的な構図
第2章 核不拡散条約と核兵器禁止条約
NPTの第六条と第四条
NPTへの評価
核拡散防止で相次いだ試練
NPTのふたつの顔
核兵器禁止条約の採択・発効
NPTとTPNWをめぐる四つの選択肢
ウィーン宣言
NPT再検討会議の頓挫
核抑止依存派と批判派の間の深い溝
第二部 核抑止に潜む巨大リスク
第3章 グローバル巨大リスク
「想定外」にしてはいけない
人間由来の、人類の存亡にかかわる脅威
核兵器禁止条約が示したこと
「すべての人類の安全保障」
核兵器の人道上の影響
非人道的な影響の「鳥瞰図」
破滅リスクと常に隣り合わせ
賽は投げられた
第4章 常在する偶発的な核戦争のリスク
世界が震撼したキューバ危機
機械の誤作動が、米国大統領補佐官に破滅を覚悟させた
システムエラーによるソ連核報復の危機
誤解にもとづいてソ連が核の臨戦態勢へ
科学実験ロケットを核攻撃と誤解して報復準備に動いたロシア
「誤解ゼロ、誤警報ゼロ」は夢物語
「人間は間違いを犯し、機械は壊れる」
第5章 新興リスクの台頭
核戦争の発生リスクと結果リスク
サイバー攻撃によるリスク
宇宙システム攻撃によるリスク
対宇宙能力での軍拡競争
AI導入と、核・通常戦力両用システムに潜むリスク
通常戦力の攻撃が核戦争につながる大誤算
地球寒冷化のリスク
「地域的な核戦争でも地球寒冷化」の予測
逃げ場のないグローバルな惨事
第6章 北東アジアでの核使用のリスク
北東アジアでの「核使用想定ケース」研究
二五の「現にありうる」核使用想定ケース
北朝鮮による「核使用想定ケース」
米国による「核使用想定ケース」
ロシア・中国による「核使用想定ケース」
第三部 核抑止を解体する
第7章 核抑止の限界と脆弱性
冷戦期は核抑止で安定したのか
懐疑的な立場
「非合理的な判断は想定外」という脆弱性
常に相手は合理的な判断をするのか
リスクの多様化が進む世界
警報下発射態勢
ふたつの宣言
新興技術による新たなリスク
核抑止依存への疑念が拡がる
核戦争の結果と「不都合な真実」
「戦略的安定」とは
軍備管理をともなわない核抑止
第8章 核抑止での日本の役割
「お任せ核抑止」から、「自分もかかわる核抑止」へ
懲罰的抑止と拒否的抑止
ミサイル防衛
懸念される悪影響
現実化する懸念
「懲罰的抑止」でのかかわりが拡大する
日米間の拡大核抑止
国際人道法上での問題点
日米間の差
米国の核使用への同意
核先制使用と「約束の罠」
日本はどうするのか
「核の共有」と新たなリスク
第四部 新たな安全保障へ
第9章 ポスト核抑止への戦略
核時代における逆説
「フクロウ派」のアプローチ
軍備管理コミュニティの努力と知識
変化する脅威に対応する
安全保障としての軍備管理
軍備管理の手段の多様化
政策レベルでの「発明」へ
交渉対象外だった兵器の軍備管理
米中、米中ロによる「戦略的安定」
核の危険を低減できるのか
「核兵器不使用の記録」を永遠に
第10章 「人新世」で核兵器を淘汰する
長崎からの言葉
ふたつの「発明」
「人新世」での安全保障
「人間の心」
心のなかの核武装解除
みんながスーパーパワー
「すべての人類の安全保障」の効用と限界
地球の未来
核兵器を「人類の敵」に
核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない
「使えない兵器」へと追い込んでいく
「最小限抑止」の暫定的な活用
「ゼロ抑止力」
レイキャビクでの米ソ首脳
レイキャビクの教訓
「困難な問題」への知恵
「ストックホルム宣言」の宿題
おわりに
主要参考文献
吉田文彦:
1955年京都市生まれ.東京大学文学部卒業,朝日新聞社入社.ワシントン特派員,ブリュッセル支局長などを経て,2000年より論説委員,論説副主幹.その後,国際基督教大学(ICU)客員教授,米国のカーネギー国際平和財団客員研究員などを経て,2019年から長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)センター長・教授.2018年から国際学術誌『Journal for Peace and Nuclear Disarmament』(Taylor & Francis)の創刊編集長.大阪大学にて博士号(国際公共政策)取得.
主な著書は『核解体』(岩波新書),『証言・核抑止の世紀』(朝日選書),『核のアメリカ』(岩波書店).共編著は『第三の核時代』(長崎大学核兵器廃絶研究センター).
神奈川県立近代美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その3
神奈川県立近代美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その3
企画概要
戦後日本彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家・佐藤忠良(1912−2011)。東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学び、従軍とシベリア抑留を経て復員したのちは、新制作派協会(現・新制作協会)を基点に一貫して具象彫刻の道を歩みました。また、力強く現実感をたたえた素描力を生かし、絵本や挿絵でも広く活躍しています。
本展はその傑作として知られる彫刻《群馬の人》と《帽子・夏》、今なお読み継がれるベストセラー絵本『おおきなかぶ』の3作品がいかにして誕生したのか、各年代の代表作を制作年順に紹介するとともに、佐藤が蒐集し生涯手元においた西洋美術のコレクションを手がかりとして、その創造の秘密に迫ります。
展覧会の見どころ
1.「佐藤忠良」を再読する
日本人の手で初めて日本人の顔を表現したと評された《群馬の人》、身体と衣服の造形のバランスを追求し独自の様式に至った《帽子・夏》。佐藤が一貫して作り、描いたのは、人間でした。社会における芸術の役割とは何か、人はなぜ人間の姿を作るのか、自らに問い続けた 「佐藤忠良」という作家を読み直す展覧会です。
2.蒐集と創作-コレクションからみえるもの
フランス近代彫刻に魅せられて彫刻を志した佐藤は、敬愛する西洋作家の作品を蒐集し、その仕事を注意深く観察することから創作のヒントを得てきました。本展では佐藤忠良コレクション(宮城県美術館蔵)から、彫刻家のオーギュスト・ロダンやマリノ・マリーニやジャコモ・マンズー、画家のエドガー・ドガ、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、ベン・シャーンらの作品を展覧します。
Ⅰ <群馬の人>―フランス近代彫刻から学んだもの
Ⅱ <帽子・夏>―イタリア近代彫刻への共感と空間の追求
Ⅲ <おおきなかぶ>―画家・佐藤忠良の足跡
その3として
Ⅲ <おおきなかぶ>―画家・佐藤忠良の足跡
「平和のちかい」紙紙芝居原画
佐藤忠良(画)、稲庭桂子(脚本)、教育紙芝居研究会(製作)
1952年5月刊、日本紙芝居幻灯株式会社
「おおきなかぶ」絵本原画
佐藤忠良(画)、アレクセイ・トルストイ(作)、内田莉莎子(訳)
1962年5月刊、「こどものとも」74号、福音館書店
佐藤忠良の画で刊行された絵本
「生誕110年傑作誕生・佐藤忠良」
図録
監修:三上満良
編集:宮城県美術館
群馬県立館林美術館
いわき市立美術館
神奈川県立近代美術館
制作:印象社
発行:SDアート©2022
過去の関連記事:
神奈川県立近代美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その2
神奈川県立近代美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その2
企画概要
戦後日本彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家・佐藤忠良(1912−2011)。東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学び、従軍とシベリア抑留を経て復員したのちは、新制作派協会(現・新制作協会)を基点に一貫して具象彫刻の道を歩みました。また、力強く現実感をたたえた素描力を生かし、絵本や挿絵でも広く活躍しています。
本展はその傑作として知られる彫刻《群馬の人》と《帽子・夏》、今なお読み継がれるベストセラー絵本『おおきなかぶ』の3作品がいかにして誕生したのか、各年代の代表作を制作年順に紹介するとともに、佐藤が蒐集し生涯手元においた西洋美術のコレクションを手がかりとして、その創造の秘密に迫ります。
展覧会の見どころ
1.「佐藤忠良」を再読する
日本人の手で初めて日本人の顔を表現したと評された《群馬の人》、身体と衣服の造形のバランスを追求し独自の様式に至った《帽子・夏》。佐藤が一貫して作り、描いたのは、人間でした。社会における芸術の役割とは何か、人はなぜ人間の姿を作るのか、自らに問い続けた 「佐藤忠良」という作家を読み直す展覧会です。
2.蒐集と創作-コレクションからみえるもの
フランス近代彫刻に魅せられて彫刻を志した佐藤は、敬愛する西洋作家の作品を蒐集し、その仕事を注意深く観察することから創作のヒントを得てきました。本展では佐藤忠良コレクション(宮城県美術館蔵)から、彫刻家のオーギュスト・ロダンやマリノ・マリーニやジャコモ・マンズー、画家のエドガー・ドガ、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、ベン・シャーンらの作品を展覧します。
Ⅰ <群馬の人>―フランス近代彫刻から学んだもの
Ⅱ <帽子・夏>―イタリア近代彫刻への共感と空間の追求
Ⅲ <おおきなかぶ>―画家・佐藤忠良の足跡
その2として
Ⅱ <帽子・夏>―イタリア近代彫刻への共感と空間の追求
「生誕110年傑作誕生・佐藤忠良」
図録
監修:三上満良
編集:宮城県美術館
群馬県立館林美術館
いわき市立美術館
神奈川県立近代美術館
制作:印象社
発行:SDアート©2022
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神奈川県立近代美術館葉山で「生誕110年傑作誕生佐藤忠良」を観た!その1
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企画概要
戦後日本彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家・佐藤忠良(1912−2011)。東京美術学校(現・東京藝術大学)で彫刻を学び、従軍とシベリア抑留を経て復員したのちは、新制作派協会(現・新制作協会)を基点に一貫して具象彫刻の道を歩みました。また、力強く現実感をたたえた素描力を生かし、絵本や挿絵でも広く活躍しています。
本展はその傑作として知られる彫刻《群馬の人》と《帽子・夏》、今なお読み継がれるベストセラー絵本『おおきなかぶ』の3作品がいかにして誕生したのか、各年代の代表作を制作年順に紹介するとともに、佐藤が蒐集し生涯手元においた西洋美術のコレクションを手がかりとして、その創造の秘密に迫ります。
展覧会の見どころ
1.「佐藤忠良」を再読する
日本人の手で初めて日本人の顔を表現したと評された《群馬の人》、身体と衣服の造形のバランスを追求し独自の様式に至った《帽子・夏》。佐藤が一貫して作り、描いたのは、人間でした。社会における芸術の役割とは何か、人はなぜ人間の姿を作るのか、自らに問い続けた 「佐藤忠良」という作家を読み直す展覧会です。
2.蒐集と創作-コレクションからみえるもの
フランス近代彫刻に魅せられて彫刻を志した佐藤は、敬愛する西洋作家の作品を蒐集し、その仕事を注意深く観察することから創作のヒントを得てきました。本展では佐藤忠良コレクション(宮城県美術館蔵)から、彫刻家のオーギュスト・ロダンやマリノ・マリーニやジャコモ・マンズー、画家のエドガー・ドガ、パブロ・ピカソ、アメデオ・モディリアーニ、ベン・シャーンらの作品を展覧します。
Ⅰ <群馬の人>―フランス近代彫刻から学んだもの
Ⅱ <帽子・夏>―イタリア近代彫刻への共感と空間の追求
Ⅲ <おおきなかぶ>―画家・佐藤忠良の足跡
以下、Ⅰはその1、Ⅱはその2、Ⅲはその3として載せます。
Ⅰ <群馬の人>―フランス近代彫刻から学んだもの
「生誕110年傑作誕生・佐藤忠良」
図録
監修:三上満良
編集:宮城県美術館
群馬県立館林美術館
いわき市立美術館
神奈川県立近代美術館
制作:印象社
発行:SDアート©2022
過去の関連記事:
大林宜彦監督の「北京的西瓜」を観た!
大林宜彦監督の「北京的西瓜」を観ました。
TUTAYAで借りてDVDで観ました。
大林監督がこのような映画を撮るとは、一種、驚きでした。
日中友好、掛け声だけで現実が伴っていないのが通常の姿ですが、この映画は、町場の八百屋さんですが、中国人留学生に対して支援し、店がつぶれるほどのめり込んでいて、頭が下がる思いです。ベンガルもよかったですが、奥さん役のもたいまさこが素晴らしい演技で、感動しました。
以下、KINENOTEによる。
解説:
ある八百屋夫婦と在日中国人留学生たちとの心暖まる交流を描く。林小利と久我山通原作の実話に基づいた映画化で脚本は石松愛弘が執筆、監督は「異人たちとの夏」の大林宣彦、撮影は「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」の長野重一がそれぞれ担当。
あらすじ:
船橋市郊外の青果業・八百春の主人の春三(ベンガル)は、李中山(呉越)という中国留学生と知り合ったことから、彼らの苦しい生活を見兼ねて、援助の手を差し伸べた。最初は軽い気持ちでやった春三だったが、次第にエスカレートしていきついには自らの生活までをも犠牲にしてしまうのだった。留学生たちは彼を「日本のお父さん」として慕うが、春三が忙しくなればなるほど、女房の美智(もたいまさこ)の負担は重くなり、挙句の果て店や家庭の危機にまで発展してしまった。「このままでは店が潰れてしまう!」と留学生たちは店を手伝うようになり、春三や美智は感涙にむせた。そして数年が過ぎ、中国に帰った李中山から国際電話が入り、彼らの招待で春三と美智は中国へ向かった。しかし、実話とは違い1989年に製作されたこの映画では、中国へ行くことはできなかったのだった。
高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼―油彩画誕生からマネまで」を読んだ!
高階秀爾の「カラー版 名画を見る眼―油彩画誕生からマネまで」(岩波新書:2023年5月19日 カラー版第1刷発行)を読みました。
累計82万部、50年以上ずっと読み継がれてきた
西洋美術史入門の大定番
15点の名画を大きくカラーにして、参考図版63点を新たに収載。
最新の研究成果を注で加えた決定版。
ゼフュロスの手がクロリスの身体に触れた瞬間、彼女の口から春の花が溢れ出てはらはらとこぼれ落ちる(ボッティチェルリ「春」)
フェルメールの世界は、まるで厚いガラスで隔てられているかのように、沈黙のなかに沈んでいる(フェルメール「絵画芸術」)
この裸婦くらい、発表された時に大きな騒ぎを惹き起こした作品は、西洋美術史の上ではちょっと他に例が少ない(マネ「オリンピア」)
名作はどのように生まれたのだろうか? 本書は、西洋絵画の本質について一歩進んで理解したいとする人びとの願いに応えて執筆された、西洋美術鑑賞の手引きである。一枚の絵に隠された芸術家の意図、精神性を探りながら歴史を一望する。Ⅰ巻では、油彩画の誕生からマネまで、一五人の画家と一五の名画を丁寧に解説する。
Ⅱ巻は6月に刊行される。
目次
Ⅰ ファン・アイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」
――徹底した写実主義
Ⅱ ボッティチェルリ「春」
――神話的幻想の装飾美
Ⅲ レオナルド「聖アンナと聖母子」
――天上の微笑
Ⅳ ラファエルロ「小椅子の聖母」
――完璧な構成
Ⅴ デューラー「メレンコリア・Ⅰ」
――光と闇の世界
Ⅵ ベラスケス「宮廷の侍女たち」
――筆触の魔術
Ⅶ レンブラント「フローラ」
――明暗のなかの女神
Ⅷ プーサン「サビニの女たちの掠奪」
――ダイナミックな群像
Ⅸ フェルメール「絵画芸術」
――象徴的室内空間
Ⅹ ワトー「シテール島の巡礼」
――描かれた演劇世界
ⅩⅠ ゴヤ「裸体のマハ」
――夢と現実の官能美
ⅩⅡ ドラクロワ「アルジェの女たち」
――輝く色彩
ⅩⅢ ターナー「国会議事堂の火災」
――火と水と空気
ⅩⅣ クールベ「画家のアトリエ」
――社会のなかの芸術家
ⅩⅤ マネ「オランピア」
――近代への序曲
あとがき
『カラー版 名画を見る眼Ⅰ』へのあとが
高階秀爾(タカシナ シュウジ):
1932(昭和7)年,東京に生まれる.53年,東京大学教養学部卒業,同大学大学院で美術史を専攻.54-59年,パリ大学附属美術研究所で近代美術史を専攻.国立西洋美術館主任研究官,文部技官などを経て,79年,東京大学教授.92年,国立西洋美術館館長(-2000年).現在,大原美術館館長.
著書『フィレンツェ』(中公新書,1966年)
『芸術空間の系譜』(SD 選書,1967年)
『 ルネッサンスの光と闇』(三彩社,1971年,中公文庫,全2 冊,2018年)
『 近代絵画史』(中公新書,全 2冊,1975年,カラー増補版:2017年)
『芸術のパトロンたち』(岩波新書,1997年)
ほか多数.
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ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」はなぜ傑作なのか?―聖書の物語と美術
高階秀爾の「増補・日本美術を見る眼 東と西の出会い」を読んだ!
フィリップ・カウフマン監督の「存在の耐えられない軽さ」を観た!
フィリップ・カウフマン監督の「存在の耐えられない軽さ」を、TUTAYAで借りてDVDで観ました。
ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」、実は読んでいました。その文庫本を観ると、真っ黒になるほど鉛筆で横線を引いてあるのが残っていました。そんなに熱心に本を読んでいたのかと、自分でも驚きでした。
始まりは、こうです。
永劫回帰という考えは秘密に包まれていて、ニーチェはその考えで、自分以外の哲学者を困惑させた。われわれがすでに一度経験したことが何もかももう一度繰り返され、そしてその繰り返しがさらに際限なく繰り返されるであろうと考えるなんて! いったいこの狂った神話は何をいおうとしているのだろうか?
以下、KINENOTEによる。
解説:
激動の68年のプラハを舞台に有能な脳外科医の若者が体験する波乱の人生を描く。製作はソウル・ゼインツ、エグゼクティヴ・プロデューサーはバーティル・オールソン、監督は「ライトスタッフ」のフィリップ・カウフマン、ミラン・クンデラの原作を基にジャン=クロード・カリエールが脚色。撮影はスヴェン・ニクヴィスト、オリジナル音楽はマーク・アドラー、アラン・スプレット選曲によりレオシュ・ヤナーチェクの楽曲が全篇に配されている。編集はB・シアーズ、ヴィヴィアン・ヒルグローヴ、ステファン・A・ロッターが担当。出演はダニエル・デイ・ルイス、ジュリエット・ビノシュほか。
あらすじ:
68年のプラハ。トマシュ(ダニエル・デイ・ルイス)は、有能な脳外科医だが、自由奔放に女性とつき合っている独身のプレイボーイ。画家のサビーナ(レナ・オリン)も、そんな彼の数多い女ともだちの1人。2人が逢う時は、必ず、サビーナが大切に保存している祖先から伝わる黒い帽子と楕円形の鏡がそばに置かれていた。ある日トマシュは出張手術に行った先でカフェのウェートレス、テレーザ(ジュリエット・ビノシュ)と出会う。トマシュの本を読む姿に惹かれたテレーザは、トマシュのアパートに押しかけ、2人は同棲生活を始める。トマシュにとっては、初めての女性との深いかかわりだった。トマシュとサビーナの計らいで写真家としての仕事を始めたテレーザ。トマシュは、相変わらずサビーナとも逢い、一方で、共産主義の役人たちを皮肉ったオイディプス論なども書いていた。やがてソ連の軍事介入--チェコ事件が始まり、サビーナは、プラハを去り、ジュネーブへと旅立つ。追いかけるようにしてトマシュとテレーザもジュネーブヘ向かう。相変わらず女性と遊んでいるトマシュにイヤ気がさし緊迫したプラハへと戻ってしまうテレーザ。大学教授フランツ(デリック・デ・リント)と交際していたサビーナもアメリカへと去る。テレーザを追ってプラハに戻ったトマシュだったが、プラハは以前のプラハではなかった。オイディプスの論文が原因で外科医の地位もパスポートも失ったトマシュは、テレーザと共に田舎に行き、農夫としてひっそりと暮らし始める。カリフォルニアで新生活を始めていたサビーナのもとに1通の手紙が届いた。それはトマシュとテレーザが事故で突然死んだという知らせだった。
「存在の耐えられない軽さ」
1998年11月25日第1刷
2005年6月6日第10刷
著者:ミラン・クンデラ
訳者:千野栄一
発行所:株式会社集英社