「ただいま、」

 

ひなたはため息とともに帰ってきた。

 

「おかえりなさい。 お腹すいたでしょう。 ご飯できてるわよ、」

 

母が笑顔で迎えてくれた。

 

「・・うん。」

 

ひなたは荷物を置いて洗面所に向かおうとしたが

 

「・・いてて、」

 

顔をしかめた。

 

「どうしたの?」

 

「なんか。 昨日からちょっと痛くて、」

 

右ひざを抑えた。

 

「大丈夫? もう寒くなったから・・。ちゃんとサポーターしてる? 先生も少し気をつけなさいって言ってたし。」

 

母は心配そうにキッチンから出てきた。

 

「うん・・。 」

 

「部活も。 無理していかなくてもいいんじゃない?、」

 

「うーん・・でもあんまり休んでると・・。 別に何やってるってわけでもないんだけど、」

 

少し足を引きずるように洗面所に行った。

 

 

なかなか足が良くならないことはゆうこも気にしていた。

 

 

しょうがない

 

 

と言うひなただけれど、身体を動かすことが大好きな娘が、いまだ走ることもままならない状況が相当なストレスであることもわかっていた。

 

 

奏はなかなか寝付けなかった。

 

眠りに堕ちそうになると、練習でふっと止まってしまう瞬間がフィードバックしてきて、ハッと目が覚める。

 

 

怖い。

 

 

ピアノを弾いてきて初めてそう思った。

 

本当に最後まで弾けるんだろうか。

 

考えるだけで心拍数が上がる。

 

 

誰か。

 

 

なんだか誰かにすがりたい。

 

さくらには心配を掛けたくなくて、自分の不安をぶつけることができなかった。

 

志藤からの電話でも。

 

 

ひな・・

 

 

ひなたの顔が浮かんでは、消え。

 

コンクールの前日に彼女が

 

会いたい

 

と言ってくれたことが、すごく嬉しかった。

 

煮詰まれば煮詰まるほど

 

息苦しくて。

 

 

 

ひなたは翌朝起きて、そーっとベッドから降りた。

 

・・痛くない。

 

立ち上がって、ふっと笑みがこぼれた。

 

気候や体調によって朝ベッドから起き上がる時に膝が痛む時があるが

 

今日は痛くなかった。

 

ホッとしながら身支度を始めた。

 

 

学校に行く支度をしながら、机の引き出しから小さなリボンのついた箱を取り出した。

 

それを大事に鞄の内ポケットにしまう。

 

今日、部活を終えてから奏と会う約束をしている。

 

コンクールは見に行かれないけれど。

 

いつも気持ちは、彼のもとに。

 

 

このあとに奏に会えるのかと思うと、ひなたはいつもより部活に向かう気持ちが弾んだ。

 

「あ、持つよ。」

 

一緒にいた玲那がひなたが持っていた練習の手順を書いた大きなバインダーを持とうと手を出した。

 

「もーこのくらい持てるって。」

 

体育館の端を二人でしゃべりながら歩いていた。

 

そこに。

 

バスケ部の強いボールが飛んできた。

 

「危ない!」

 

その声にハッとすると同時に、反射的によけようとした。

 

その時。

 

右足に強く体重をかけてしまった・・

 

奏の誕生日に会う約束をしていたひなたですが、部活中に思わぬことが・・

 

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