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My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あ~~~! ったく、どこ行った!」



志藤はもうデスクの上を散らかし放題散らかして、慌てふためいていた。


「早くしないと。 もう社長も出られます、」

高宮はそんな彼を軽く諌めた。


「わかっとるっちゅーねん! 昨日までここにあったのに!」


「何でも栗栖さんにお任せ状態にしてるから。 彼女が休み始めてから書類も出すの遅くなったし・・」

高宮はブツブツ言った。


「うるせ! 黙ってろ!」



萌香は安定期に入るまで、長期休職している。


志藤は4月1日から正式に事業部を離れ、取締役だけの仕事になった。


事業部は萌香が抜け、自分が抜けて

非常に大変な事態になっている。



いくらもう関係がなくなったと言っても

やっぱり責任は感じるし・・・



志藤の慌てっぷりに、


「コレじゃないですか?」

高宮は冷静にクリアファイルを取り出した。


「コレだっ! 高宮! おまえは魔法使いか?」

志藤は満面の笑みで言った。



「・・・いいから早くしてください、」

高宮はため息をついた。



「ね、社長のついでにさあ。 栗栖が出てこれるまでおれの秘書もしてくれへん?」

志藤は足早に部屋を出て行く高宮を追いかけた。




真緒が秘書課のバイトから配置換えで事業部のバイトとなった。

今まで夏希がしていた雑用は彼女がやるようになり、海外とのコンタクトも真緒の仕事になった。




はあああ。




斯波は疲れて目の上にハンドタオルを置いて、椅子に座ったまま壁にもたれてぐったりとしていた。



志藤からの引継ぎもちゃんと終わっておらず。

夏希はまだまだ一人で仕事をさせるのも心配で、いちいちついてやったり。



「・・・んぶちょう・・・本部長!」



その声にはっとした。



「へ?」

慌てて目の上のタオルを取った。


「もう斯波さんが本部長なんですから~~~。」

夏希が立っていた。


「ああ・・・」



そう呼ばれるのも全然慣れないし。



今までも志藤の代わりに本部長クラスの仕事はしていたが

やはり正式に管理職になると、やることがたくさんあって。

自分の仕事もままならない。




「さっき。 絵梨沙さんからまた電話あったんですけど~~。 斯波さんがお留守の時に、」



「・・・・」



斯波は黙ってタバコを口にくわえた。



「なんか。 落ち込んでしまってるみたいで・・・」


「別に彼女に責任はない。 心配しないように言っておいて。」


「はあ・・」




その上。

真尋は今年の5月からおそらく1年間は、ウイーンを拠点にして仕事をする。



ありがたいことに世界各国から演奏会の依頼が来て、本人とも話し合って絵梨沙や子供たちも一緒にウイーンで生活をしながら仕事をすることになっていた。



しかし・・・・




「こんちわ。」

志藤はひさびさに真尋宅を訪ねた。


「志藤さん、」

絵梨沙が出てきた。



「あんまり顔色よくないなァ。 だいじょぶ?」

ニッコリ笑う。



「お聞きになったんですか? 斯波さんから・・・」

絵梨沙は心配そうに言った。



「ウン。 最初はな。 あいつも自分でなんとかしようと思って。 おれに相談はしてくれへんかったんやけど。 やっぱ相談されて、」

ソファに腰掛けた。



「・・本当に・・ご迷惑を、」



「何を言うてんねん。 てゆーか。 おれに相談して欲しかったのに。」

志藤は頬づえをついてニッコリ笑った。



「あまり。 志藤さんにご迷惑をかけては、と。」




寂しいもんやな。

事業部を離れたら

こうして彼女の相談に乗ってやれることもなくなるなんて。



志藤はつくづくそう思っていた。




PartⅤ、スタートです。

いきなり斯波はパニくり、そして絵梨沙の身に何か起きているようです・・


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