Suger white(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「え、やめる?」

 

さくらは少し驚いて彼の方に振り返った。

 

「ええ。 ここのところ忙しくてなかなか通えないし。 さくらさんも生徒さん増えたり、奏くんのことでも忙しくなってきたようですし、」

 

葦切は彼女に出してもらった紅茶を一口飲んだ。

 

「まあ・・そうですけど。 せっかく弾けるようになってきたのに、残念ですね・・」

 

葦切がさくらにピアノを教えてもらうようになってから数か月。

 

葦切の方からやめることを切り出してきた。

 

「ぼくは。 趣味ですから。 さくらさんの指導を必要としている生徒さんはたくさんいると思うんです、」

 

「趣味の方もいますよ。 少しですけど、」

 

「いや、ぼくのために使う時間はそういう人たちに回してください。 それに、」

 

「え?」

 

葦切はカップをかちゃんと置いて

 

「ピアノ。 教えてもらわなくも。 こうして会えるようになったので、」

 

本当に恥ずかしそうに赤くなってうつむいた。

 

「・・・・」

 

何を言っているのかわからず一瞬きょとんとしてしまったが

 

「あ、あー…。 まあ、そう、ですかね・・」

 

さくらもその意味がわかってちょっと恥ずかしくなってきた。

 

「やっぱり。 あたしに会うための口実だったんですか?」

 

少しからかうように言うと

 

「えっ…。 まあ・・よこしまな気持ちと言われたらそれまでですけど9割は。 その理由です・・」

 

葦切の声がどんどん小さくなってくる。

 

そんな彼の顔が本当にかわいくて。

 

もう40も半ばになろうとしている男性とは思えないほど

 

ピュアで純情で。

 

つきあうようになってからは、さくらは彼の

 

かわいさ

 

に正直メロメロだった。

 

「ま。 そうですね。 今は理由もなく。 こうして会うこともできますもんね、」

 

テーブルに肘をついて両手で頬を抑えてさくらは幸せそうに

 

うふふふ

 

と笑った。

 

お互い忙しいので、なかなか二人の時間が作れないけれど

 

こうしてどちらかの家でゴハンを一緒に食べたり、お茶を飲んだりして

 

とりとめのない話をして。

 

もう、こんな穏やかな幸せってある?

 

と、さくらは人生始まって以来くらいの平穏な日々に身をゆだねていた。

 

 

「あ、そう言えば。 ぼく、新聞の取材を受けることになっちゃったんです、」

 

唐突に葦切はそう切り出した。

 

「は? 新聞?」

 

後片付けをしていたさくらは驚いて振り返った。

 

「いや、大したことじゃないんですけど。 毎朝新聞の文化欄に。 先月の定期公演の企画ものがすごく評判良くて、そのことについて取材させて欲しいって言われて。 最初は斯波さんが受けるはずだったんですが…」

 

葦切もテーブルを拭きながら言った。

 

「斯波さん、あんまりそういうのが好きじゃないとか言い出して。 でも、いい宣伝になるだろうしってことで・・ぼくにってことになっちゃって、」

 

「はああ。 斯波さんっぽいというか。 でも、すごいですね。 全国紙ですよ、」

 

「はあ。 ぼくもあんまりそういうのが得意じゃないので。 大丈夫か心配です・・」

 

「向こうは取材のプロですから。 大丈夫ですよ。 そうかー・・ご実家にも教えてあげないと、ですね。」

 

「それも、照れくさい・・」

 

「瑠依くんにも!」

 

瑠依の名前を出したとたん、

 

「あ、」

 

葦切はまた何かを思い出したように顔を上げた。

 

なんだかんだでさくらと葦切はラブラブですが…

 

 

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