無事入籍も済ませたさくらと葦切。
北都邸でのパーティーも終え、年も明けてさくらの故郷・博多でも式を挙げることになりました。
そんな幸せいっぱいの二人ですが・・
というところからのスタートです。
よろしくお願いします！
「ほんなごときれいねえ。」
「うん。 きれいきれい、」
叔母と母は顔を見合わせて笑った。
「・・でしょ？ 東京でパーティーした時も青森の時も。 みんな大絶賛だったとよ。」
さくらは鏡の前で満足そうに頷いた。
とにかく年末近くに東京で結婚パーティーを開き、その後、年末も年末の30日に葦切の青森の実家に帰り、
近所の神社で簡単に式を挙げ、
そして年が明け。
正月休みの間、博多の神社で式を挙げよう
ということになり、さくらは実家に帰っていた。
あの例の振袖を着付けしてもらい支度をし終えて
母も叔母もその着物の美しさにうっとりしていた。
「ほんなごていい着物は違うねえ。 おじいちゃんとお父さん、頑張ったね、」
叔母の言葉に
「ちょっと。 中身がいいから着物も映えるんですから、」
さくらはつっこんだ。
そこに父がやって来た。
さくらは自慢げに
「どう？」
父を見やった。
一瞬言葉が出てこなかった父は
「・・奮発して設えたんやから。 似合うてもらわんと困る、」
素直にほめずにそう言った。
「みんなにも褒めてもらって。 やっぱり着てよかったー、」
さくらはつくづく着物の袂の柄を見て言った。
「いや、若干の違和感は否めんて、」
横から弟の大我にちゃちゃを入れられ
後ろから頭をひっぱたいた。
「いってえ・・。 もー、なんね。 いい年こいて・・」
「ふん。 あんたにだけは言われとうなか！」
「もー、あんたたちいい年して・・」
母に諫められた。
「じいちゃんも呆れとる。 『おまえ、今頃それ着っとか！』って。 もう49日も済んどらんのに、式なんか挙げて、」
父のボヤキは収まらなかった。
「それはええんじゃない？ おじいちゃん、誰よりさくらちゃんの結婚楽しみにしとったとよ・・。 忙しくてそうそう帰ってこられんやろし。 そうこうしてるうちに子供でもできたら、」
叔母の言葉に
「いやそれはないって・・。」
さくらは笑った。
「え、子供作らんの？」
「そういうわけじゃないけど。 ほら、お互い若くもないしそんなすぐ子供できるわけもなか。 まあ自然に任せて・・。」
「あっという間に40になってしまう・・。 忙しいかもしれんけど、ほんなごとちゃんと考えて、」
母は心配そうにため息をついた。
「ま。 なるようになるって。 また奏のコンクールで今月香港に行くんよ。」
「あーあ。 孫の顔が早く見たかー、」
「もー。 親のテンプレ発言やめてよー、」
「は？ てんぷら？」
「・・耳も遠くなったとね・・。 お母さん、ボケたらいかんよ、」
「失礼な、」
母娘のやりとりにみんな笑った。
さくらの父以外は・・
さて。年末年始でさくらと葦切の結婚行事で大忙しですが・・
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