July-1(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

今日からpart12の『番外編』スタートです。
これまでのいきさつはこの辺から・・・

ちょっと長いですが、もし興味おありの方は読んでみてください(^.^)




「は、福岡・・?に、ですか。」

奏はいきなりの話に思わず指ならしをしていた手を止めた。

「ウン。 急なんだけどさあ。 ヒライのコンクールの優勝者の招待演奏ってのがあってさ。 最初は学生は出ないことになってたんだけど。 なんか色々あったみたいでD級優勝の奏も出てくれないかってことになっちゃったの。」

さくらは頬杖をつきながら言った。

さくらは藤堂の事務所をやめて、週に3回の藝大の非常勤講師の他に本格的にピアノ指導の仕事を始めた。

以前のレッスン場は他の指導者たちと共同で借りていたのだが、思い切って独立し

場所も市ヶ谷のビルを借りて引越した。

奏も当然そこにレッスンに通うことになったのだが。


「って、いつですか?」

「7月の第2土曜日だって。 学校は? 休みか、」

「ええっと・・確かその週の金曜に期末テストが終わることになってて…。 休みだったと思いますけど、」

「福岡くんだりまで大変だけど。 行ってくれる? 博多でやるヒライ主催の音楽祭なんだけどさ。」

「え、あ、はい。 わかりました、」

「お母さんにも話といてね。 たぶん土曜の早朝にこっち出て飛行機で向かうから。 んで、終わるのが遅くなるから泊まりで。 日曜帰りになると思う。」

「ぼく、ひとりでですか、」

不安そうに言う奏に

「え、そーだよ。 飛行機で1時間ちょいで空港からはタクシーですぐだよ。 行けるでしょ、中3なんだからさ。 あとは主催者側のスタッフさんに頼んでおくし。」

さくらは普段非常に大人っぽい奏がそんな感じで言って来たのが少し意外だった。

「ま、行けますけど・・。 てか飛行機も乗ったことないし・・。 旅行もしたこととかあんまないってゆーか、」

「旅行したこと、ないの?」

「・・はあ。 小学校6年生の時に・・修学旅行で伊勢に行った時と・・この前、合宿で福島に行ったことがあるくらいで、」

さくらはふと奏のこれまでの家庭環境を思い起こした。

確かに。

母子二人暮らしで。

もう生活するだけで大変だっただろう。

旅行する暇も余裕もなかったのかもしれない…

「・・そっか。」

さくらはやや絆された。

「や、でも。 初めて飛行機に乗れるし。 楽しみです。」

奏はそう言ってうすぐに笑った。

なんてことない会話だったのだが。


この日は他の生徒のレッスンがなかったので、

「曲目はさ、この前の決勝で弾いたやつでいいと思うんだよね。 それはあたしから運営側に連絡しとくし、」

「ハイ、」

二人は話をしながらビルのドアから出て、鍵をかけようとした。

その時。

「・・あっれ・・??」

横から声がしてさくらはそっちを見やった。

「えっ!」

やってきたのは若い男だった。

その彼を見てさくらは尋常じゃないほど驚いて、思わず持っていたバッグを落としてしまった。

奏は異様な光景にその若い男とさくらを交互に見てしまった。

奏が演奏会で福岡に行くことになりました。おはなしはここからはじまりまーす。

ひなたと奏の出会いはこの辺からどうぞ→→→




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