・・・ああ、ダルい・・
ひなたは明らかに魂が抜けていた。
だいたい。
給食の後の合唱コンの練習って。
おなかいっぱいだっつーのに
でっかい声で歌うとか
マジ無理。
先生もちっとは考えてくんないとさ・・
「志藤！ ちゃんと歌えや！！」
指揮者役の学級委員長に怒られた。
「うっ・・歌ってるってば！！」
慌てて言い返したが
誰が見ても明らかにサボっていることがわかってしまった。
歌とか。
友達とカラオケは行くけど、別に歌うのが楽しいとかじゃなくて
みんなとワイワイやるのがおもしろいから行くんであって
別に好きじゃない。
パパがああいう仕事してるっつーのに
ほんとあたしって音楽に興味ゼロ。
と、またもぼんやりしていたため楽譜を落としてしまった。
横にいた男子生徒がそれを拾ってくれた。
「ハイ、」
「あ・・ありがと、」
ちょっと緊張した。
彼は1週間ほど前に転校してきた。
中2だっていうのに、見た目はもう高校生みたいに大人っぽくて。
彼が紹介される時、思わずクラス内の女子の心拍数が一気に上がった空気が感じ取れるようなイケメンだった。
静岡から来たって言ってたけど
すっごく都会的なニオイがする。
そして、今も思ったけど
すっごく指が長くてキレイなことが
このイケメンな顔よりも先に気になっていた。
男で指がキレイな人って
なんか
グっとくる・・
こーゆーの
指フェチとかって言うのか・・
パパの手とちょっと似てる。
彼の名前は
高遠 奏
『かなで』って
変わった名前。
そしてもう一人。 思わせぶりなひなたのクラスのイケメン転校生・高遠奏が登場します。
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