Blue Bird(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

あけましておめでとうございます!

 

本日から小説をぼちぼち再開していきます。

 

前回までの『part12』の続きなのですが、今回のお話は

 

奏のピアノの先生である篠宮さくらが主役となりますので、新たにpart13とさせていただきました。

 

向かって左のサイドバーの『これまでのあらすじ』にだいたいのことは記してありますが、なんだかよくわからない方は、part12から読んでいただくとわかると思います。

→→→part12のここらへん

 

では、どうぞよろしくお願いします!

 

 

 

「まあ。 しゃあないな。 この展開になると、」

 

志藤はひとつ小さなため息をついた。

 

斯波はその言葉に黙ったままになった。

 

その空気を打ち破るように

 

「・・もう。 大丈夫だよ。 あたしがいなくなっても。 みんな一人前になったしちゃんとやっといける、」

 

南はいつものように明るく言った。

 

真太郎が次期社長になる具体的な時期も決まり、幹部も大きく動く。

 

志藤は『取締役』から、『常務取締役』に昇進が確実となり

 

さらに新社長のサポートを求められる立場になる。

 

そして、真太郎の妻である南は

 

執行役員として一般社員とは一線を画す役職に就くことになった。

 

新社長の妻であるという立場よりも、彼女のその行動力、実行力、企画力、発言力が買われての抜擢だった。

 

自然の成り行きでクラシック事業本部からは退くことになる。

 

社長が倒れてから南はそちら側の仕事をするようになって事業部の仕事は減らしてはいたのだが、いざ彼女がいなくなると思うと

 

そこを仕切る斯波は不安でいっぱいになった。

 

元々口下手でとにかく言葉が足りなくて、部下をうまく使っていけるのかも当初は心配されていたものの、南がその潤滑油的役割を果たしみんなをまとめていくことができた。

 

全てツーカーで通じる彼女がいてくれたからこそ、事業部の長としてやってこれた。

 

斯波がずっと黙ったままだったので、志藤と南はそっと視線を合わせた。

 

「・・営業の方は結城と八神が頑張ってるし。 まあ・・加瀬もなんとかって感じやし。 オケの方は玉田が仕切ってくれるし、あのボーズはまだまだやと思うけど、なかなか気が利く子みたいやし。 心配することないって、」

 

志藤は何とか斯波を盛り立てる言葉を並べた。

 

「・・企画の方が手薄になります。 これは加瀬や有吏ではまだまだ。 自分も弱い所でもあるし、」

 

斯波はようやく口を開いた。

 

南がいつかこのようにここを離れていくことは前からわかっていた。

 

それでも。

 

やはり不安が先立ってしまう。

 

「じゃあ! 新しい人入れてもらおう!」

 

南はぽんと手を打った。

 

「簡単に言うなー。 いきなり即戦力になる人材なんかいない、」

 

斯波はジロっと南を睨んだ。

 

「まー、そらそうやけど。 うーん。 この世界に詳しくてー、そこそこ実績のある人。 どっかにいないかなあ、」

 

「夢みたいなこと言うな。 いい年こいて、」

 

志藤は煙草の煙とため息を一緒に吐いた。

 

「志藤ちゃんにも責任あるんやから。 ちゃんと考えてよ、」

 

「は? おれ?」

 

「いくら事業部離れたからって。 ちゃんとフォローしてやらなくちゃ。これからもクラシック事業部が未来永劫繁栄するように。」

 

「オーバーな・・」

 

「でも実際の話。 ウチの看板やった真尋とエリちゃんが事実上離れた状態になってるからね。 もうウチらがしてほしい仕事を彼らにしてもらうことはできないんやで。 志藤ちゃんがやってた頃よりも難しい状態になってることは確かやん、」

 

南の話は的を得ていた。

 

「ちゃんと。 探しますよ。 めっちゃスゴ腕の人を、」

 

志藤はそう言って煙草を灰皿に押し付けたが、

 

実際、なんのアテもなかった・・。

 

 

事業部は新しい局面にぶち当たっておりました…


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