January-1(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「そっかあ。 頑張って、自分を奮い立たせたんだろうなー」


奏はたこやきをふーふーと冷ましながら口に入れた。


「浩斗はすっごい意地っ張りというか、負けず嫌いというか。 自分が負けて帰ってくるなんてことありえない!っていう感じだもん。 なんかハッとしたのかも・・、」


「・・言葉も通じなくてさ。 ぜんぜん違う環境に行くんだもん。 勇気いるよ。 いくら家族が一緒って言っても自分の世界作って行かないといけないわけだし。 すごいよなー、」



二人は浅草神社に少し遅い初詣に出かけた。


「なんか。 もうすぐ3年生になっちゃうのかーって、」


ひなたは珍しく後ろ向きな言葉を発した。


「あー、そうだね。」


「ヤだなー。 いきなり進路のこと学校とか親からガンガン言われたりするんだろーなー。 来年の今頃、地獄なんだろーなー」


絶望的なことばかり言うひなたがおかしくてクスっと笑った後


「あんだけ、彼にハッパかけたんだから。 ひなたもちゃんとやらないとね、」


奏はいつものように大人の意見を述べた。


「いいよねー。 高遠くんは音高に推薦とかで行くんでしょ?」


何だか悔しくて少し嫌味っぽく言ってしまった。


「えー?」


奏は気の抜けた返事をしながらたこ焼きを食べた。


「エリちゃんのママの大学の付属の高校とか、」


奏は無言になってパクパクと食べ続けた。


そして自分の分を食べ終わってさっさとビニール袋にゴミをしまった。



「・・聖朋には行かないよ、」


ポツリと言った。


「え? なんで? だってあんな大きいコンクールで優勝したし・・。」


「・・藝高に挑戦してみようかと思って、」


奏はひなたを見た。


「えっ・・・」


ひなたはたこ焼きを口いっぱいに入れたまま固まった。


「・・そりゃ、無謀かなとは思うけど、」


彼女が固まっているので、慌ててそう付け加えてしまった。


「・・・げ・・・ゲイこう?」


目がテンになっていくのがわかった。


しばしの沈黙の後、


「藝高って! 国立東京藝術大学付属高校のことだからね!!」


彼女があらぬ想像をしているのがわかって、テーブルをバンっと叩いた。


「げ、藝大? あ、藝大ね、」


ほーっとしている表情がダダモレだった。


「まったく、何を勘違いしてるんだか、」


「だってさ、ゲイ高なんて言うから!」


確かにこの世界では普通の通俗名であっても、ひなたのように全くの素人から見たら


ピンとこないのもわかるけれども。


奏は大きなため息をついた。


「で? その『藝高』って難しいの??」


話が本線に帰って来た。


「・・そりゃ。 国立だもん。 ひと学年にひとクラスしかなくって。 ピアノだけじゃなくていろんなジャンルの音楽をやってる人たちが集まる。 もちろん東京だけじゃなくて、地方からも来たりする。 すんごい才能がある人たちばっかり。 生半可じゃないよ、」


「・・ピアノだけのテスト?」


「一応、三科目プラス実技と面談。 ・・まだお母さんや沢藤先生にも相談してないんだけどー」


「そんな難しいところ、受けるの?」


「ピアノはね。 ある程度のレベルになると。 めっちゃお金かかるからね、」


「え・・」


ひなたは思いもしないことを言いだした奏をぼんやりと見た。



さて、またひなたと奏に新たな展開がやってきます・・


ひなたと奏のエピソードはここら辺からどうぞ!→→→




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