Blue Bird(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

志藤がああいってくれたものの。

 

そんなにうまいことスゴ腕が見つかるなんて斯波も思っていなかった。

 

彼はもともとライター出身で、正直このような会社組織になじむ体質でもなかった。

 

それでも

 

事業部に来てそろそろ10年。

 

ここへきてたくさんのことを学び、そして人との関わりも学び

 

部下たちが頑張ってくれていることもあって順調に回っている。

 

事業部創設者の志藤の後釜になったばかりの時は

 

性格が正反対の志藤のようにうまくやっていけるか心配ばかりだったが

 

なんとかやってこれた。

 

それも。

 

南の存在が大きかった。

 

 

「もう食べないんですか、」

 

萌香はいつもより食事が進まない斯波が気になった。

 

「ああ。 あんまり腹減ってないし、」

 

斯波はラグで遊んでいた翔を抱き上げた。

 

「身体の具合でも・・?」

 

「いや。 そういうわけじゃない、」

 

いつものようにあまり多くをしゃべらない彼がこういう時少し恨めしい。

 

もう南から話は聞いていたので、彼が何に思い悩んでいるのかはわかっていた。

 

萌香はテーブルを拭きながら、彼の気持ちを静かに思いやった。

 

「・・日曜日、どうしますか。」

 

カレンダーが目に入り萌香は彼に言った。

 

「え?」

 

「・・『世田谷』にお誘いされてる件です、」

 

志藤の秘書を長くやっているせいか、何となく秘書口調になってしまった。

 

「ああ・・」

 

斯波はその件を思い出していた。

 

父の斯波宗一郎は、大病を患った後今は経過観察中が続き

 

自宅で療養しながら、家でできる仕事を少しずつしている。

 

長い間内縁関係にあった奈保子と入籍して、静かに過ごしている。

 

一時のわだかまりは消えたものの、急に親子らしくできるわけでもなく

 

時折、奈保子と萌香が電話で近況を伝えあう状態になっていた。

 

1週間ほど前、その奈保子から

 

来週の日曜日。 先生のお誕生日なので。 一応『古希』のお祝いですし、清四郎さんと萌香さんにも来ていただきたくて

 

萌香に連絡があった。

 

その話を聞いたときは

 

あのオヤジが誕生会???

 

と思っただけでゾッとしたものの、それを受け入れた父が

 

年を取ったんだな

 

と実感できてそれはそれで複雑だった。

 

古希か。

 

もうそんな年なんだ。

 

斯波はしみじみをそう思ったものの、すぐに返事はできなかった。

 

「翔も生まれたばかりの頃に一度見ていただいただけやし。 久しぶりにお邪魔してみましょうよ、」

 

萌香はずっと思っていたことを思い切って彼に言ってみた。

 

「・・ん、」

 

斯波は少しの間のあと、小さな返事をした。

 

「じゃあ。 お返事しておきますね、」

 

萌香は嬉しそうにそう言った。

 

悩む斯波ですが、父との関係もつかず、離れず状態で…

 

※今までのいきさつをご存じない方へ

斯波ちゃんの両親は彼の子供の頃に離婚しています。父親の暴力や横暴なふるまいが原因でしたが、それからずっと彼は父のことを憎んでいました。

その後、同じ世界に身を置くことになりますが、父の病を機に徐々に溝が埋まって行きます。この辺を読みたい方はpart3をどうぞ!


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