『小野塚成編』、再開です。
==これまでのあらすじ==
スタジオセリシールの「番頭」、小野塚成は税理士事務所を経営する父から部下の片桐柚を紹介され徐々に彼女に惹かれていきます。しかし柚は成のことを受け入れようとしません。
彼女にはある秘密が… これまでのお話はこちらから!→★
何となく気配を感じてゆっくりと目を開けた。
ぼんやりとした視界の中に。
ぬーっと自分の顔を覗き込む男が。
理解をするまでしばし時間を要した。
ロン毛に口髭、顎鬚の男・・
しばらく彼を見やった後、ガバっと起き上がった。
「だっ・・誰っ!!」
「もー、ナル。 昨日ここに泊まっちゃったの? ソファなんかで寝て身体痛くない?」
さくらがカーテンを開けた。
「・・そうじゃなくてよ! 誰!」
成はその若い男を指差した。
「あ。 彼。 とりあえずバイトで来てもらうことになったの。 藝大のあたしの教え子。」
さくらはその彼を紹介した。
「加治木理緒です。 そうぞよろしく、」
ぺこんと頭を下げた。
「・・カジキ、リオ・・?」
上から下までじーっと見た。
「彼、ウチの番頭。 小野塚成。 わからないことがあったら教えてもらってね。」
「はい、」
本当に大丈夫なのか?
という風貌に非常に怪しい目で見てしまった。
「リオ・・? リオデジャネイロのリオ?」
思わず聞いた。
「リオデジャネイロのリオって言われたのは初めてです。 厳密に言うとリオデジャネイロのリオではなく、理科の理に下駄の鼻緒の緒です。」
普通に返してきたので
「鼻緒の緒のがよくわからんわ、」
ツッコんだ。
「へその緒の緒です、」
「わかってるっちゅーに、」
二人のやり取りにさくらは笑った。
「こう見えても。 なかなか優秀なんだよ。 あたしが前にレッスンやってたトコでたまに忙しい時に手伝ってもらったりしてたの。」
「いくつ?」
「26です。」
「バイト雇おうって思って。一番最初に彼のことを思い出したんだけど。 ずっとドイツに行ってたみたいで。」
「ドイツ??」
「昔ドイツに住んでたんで。学校の知り合いがいるから、そこ頼って。 居候しながらバイトしてました。 ドイツって就労ビザも他の国に比べて取りやすいし。」
「え、なんで帰って来たの・・」
「オヤが・・いい加減戻ってこいって言うもんで。 そんな時に篠宮先生からメール来て、」
張りのない声でボソボソと話す。
成は改めて彼をじーっと見て
「え~~、ちょっとお。 ホントにだいじょぶなの? この人・・」
さくらに言った。
「だいじょぶだって。 こう見えてホントやれる子なんだから、」
さくらは呑気に朝のお茶を飲んでいた。
「いや、とりあえずさ。 もちょっと小綺麗にしようよ。 いちおう子供たちにピアノ教えんだよ? なんかオーラのないキリストみたいに・・」
「アハハハ! オーラのないキリストだって!」
さくらは加治木を指さして大笑いした。
「・・・」
「そうねえ。 もうちょっとキレイにしてこようか。 ちゃんとすりゃイケメンなんだからさ・・。 服装もちゃんとね。 信用第一だから。 ほら、子供たちのお母さんに嫌われたら大変でしょ?」
さくらは彼の背中をぽんと叩いた。
スタジオ セリシールに新キャラ登場です。さくらの元教え子「オーラのないキリスト」風の加治木理緒(男)です(^.^)
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