Sugar time(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

春休みももう少しでおしまい。

 

「ただいま・・」

 

志藤が帰宅すると、

 

「あ、おかえりなさーい、」

 

キッチンがなんとも甘い匂いに包まれ、ひなたがひょっこり顔を出した。

 

「・・甘い・・。 すでに匂いが甘い、」

 

「今、マドレーヌ焼いてるの。 明日友達の家に泊まりに行くから~。」

 

オーブンの中を覗き込む。

 

「・・泊まる?」

 

志藤はネクタイを緩めながらそのワードに引っかかった。

 

「学校の? 友達?」

 

「うん。 チアの子の家。 他にも4人来るの。 みんなでお泊り~、」

 

もうウキウキがダダモレだった。

 

「なんて子?」

 

志藤はひなたににじり寄る。

 

「え? 宮園玲那。 クラスも同じだし一番仲いいの。」

 

ひなたはオーブンの中のマドレーヌの焼き色加減が気になって、気もそぞろに答えた。

 

「家って、どこ?」

 

「えっと。 阿佐ヶ谷って言ってた。」

 

「いつ帰ってくるの?」

 

ようやく父の異様な食いつきに気づいたひなたが顔を上げて

 

「・・なに?」

 

ウザそうに見た。

 

「ホントに。 友達のところなんだろうなあ・・」

 

ものすごく疑っている父に

 

「ハア? ナニソレ。 あたしがウソをついているとでも?」

 

不穏な空気になり、リビングで本を読んでいたななみは気になって目だけ二人釘付けだった。

 

「今は携帯やから。 どこに行ってもわからんからなー、」

 

ひなたは腕組みをして

 

「バカバカしー・・。 もう狭いからあっち行ってよ、」

 

「あっち行ってってなんや!」

 

「もー。 ケンカしないで。」

 

耐えきれずななみが間に入った。

 

「パパがあたしのことぜんっぜん信じてないから!」

 

ひなたはむくれた。

 

「心配なの!」

 

志藤も負けずに言った。

 

「パパってば。 おねえちゃんのこともう少し信じてあげないと。 おねえちゃんはこう見えてもすっごく真面目なのに、」

 

ななみがひなたの肩を持ったので

 

「ななみ~~、ありがとー、」

 

ひなたはななみに抱きついた。

 

「う・・」

 

志藤はななみにそう言われてややたじろいだ。

 

「自分が育てた娘でしょ。 信じられないってことは自分がそういう風に育てたって証拠だよ、」

 

ひなたにものすごい生意気なことを言われてカチンときたが

 

さすがの志藤もそこで反論できず、ムッとしたまま洗面所へ掃けた。

 

 

「ほんとにもー。 うるさいったら、」

 

ひなたはため息をついた。

 

「パパも心配してるんだよ、」

 

ななみは笑った。

 

「いったい何を心配してるんだか、」

 

「え、そりゃ・・。 本当は奏くんとお泊りするとか。 疑ってるんじゃない?」

 

ななみからフツーにそんな風に言われて

 

「え、」

 

ひなたはぎょっとした。

 

「だって。 それしかパパがあんなに疑うわけないし、」

 

いや普通そう思うでしょう、とななみは姉の鈍さにやや呆れた。

 

ひなたの『お泊り』に敏感に反応する志藤。

当のひなたは全くそんなことを考えておらず・・

 

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