ひなたの机の上に置いてある携帯がメールの着信を伝えている。
ななみは風呂から上がって部屋に入りその音に気付いた。
ひなたは中学2年になりようやく両親から携帯を買ってもらえた。
しかしズボラな性格が災いし、こうして持ち歩くことなく放りっぱなしだった。
何気なくウインドウを見ると
『浩斗』
と出ている。
ななみは思わずそれを手にして文字を見つめてしまった。
浩斗はひなたの幼なじみで、もちろんななみや他の兄弟たちとも一緒に遊んだりと仲が良かった。
しかし二人が中学生になったころからその関係がなんとなく変わってきていることは
神経の細かいななみにはわかっていた。
浩斗くんはお姉ちゃんのことが好きなんだ
彼の素振りを見ていればそれはわかった。
幼なじみとか友達というだけでなく浩斗が男として姉に恋愛感情を持っている。
学校から二人仲良く帰ってくる姿を何度も見た。
そこには絶対に入れない
そんな空気を感じ取りながら。
それでも浩斗のことを思うと胸が苦しくなる。
憧れのお兄ちゃん
それ以上の気持ちがいつしか大きくなって。
「・・ただいまあ・・・あーつかれた、」
突然、ひなたが部屋に入ってきたので驚いて振り向いた。
「お、おかえり・・・携帯、鳴ってたよ、」
ちょっと盗み見をしてしまったので気まずそうにななみは言った。
「え? ケータイ? ああ・・ここにあったんだ、」
携帯の所在さえどうでもいいようにひなたはそう言って開いてみた。
メールの内容を読んだあと、特に何もしないでそのままスイッチを落としてしまった。
そして荷物をドサっとベッドに置いた。
返事、ださないのかな・・・
ななみは気になって仕方なかった。
すると今度は電話が着信する音が鳴り響いた。
「あ~~~、もう。」
それが誰からかもうわかっているかのようにウザったそうにひなたは再び手にした。
「もしもし? ああ・・・なに?」
その相手が浩斗だということは何となく勘でわかった。
ひなたと幼なじみの浩斗の関係はあんまり変わってないようですが・・
以前連載した『Little Romance』 のつづきです。よろしかったら読んでください(^∇^)
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