Summer break(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「食べ物は大丈夫だと思うけど。水は気をつけた方がいいよ。風邪薬とかお腹の薬とか、持ってる? 手のケアもちゃんと毎日するのよ、」

 

「先生、さっきから同じことばっかり言ってますよ、」

 

いつものように早口でまくしたてるさくらに奏は笑った。

 

「え? そうだった?」

 

夏休み。

 

奏が1カ月のウイーン短期留学に発つ日がやってきた。

 

「心配しすぎ、」

 

一緒に空港に見送りに来たひなたはため息をついた。

 

「・・ホストファミリーに関しても。なんか不安になってきたし、」

 

さくらは2週間ほど前のことを思い出してた。

 

 

「は? 真尋さんの家に?」

 

北都家にやってきたさくらは南から思いがけない話をされた。

 

「そうなの。 ホラ、どっちにしろホームステイなんやから。そしたら真尋ンとこがええやんて。 レッスン受ける学校にもバスやけど近いみたいよ。 まあ、真尋は役に立たないと思うけど、エリちゃんとあとお手伝いさんもいてくれるし。 運営側に問い合わせたら特に問題ないみたいよ。」

 

南はさくらに珈琲を淹れてきた。

 

「真尋さん・・のところ・・」

 

さくらは顔をしかめた。

 

「子供たちもいて騒がしいかもしれへんけど、もちろんピアノ室もあるしね。 真尋もヨソにスタジオもあるしね。ピアノは遠慮なく使っていいよって。」

 

何となく奏ひとりで大丈夫だろうか

 

と心配していたものの

 

「だいじょぶなの?」

 

南に念を押してしまった。

 

「だいじょぶだいじょぶ。 知り合いのところのがええって。さくらちゃん、奏のこと心配やもんねー。 お母さんか!くらいに。」

 

南は笑った。

 

「や、そういうわけでもないんだけど。 ほら、奏は海外とかこの前のNYが初めてだし、なんやかんやでずうううっとお母さんと二人きりだったし。 けっこう世間知らずなところもあって、」

 

「エリちゃんも喜んでるよ。 空港にも迎えに来てくれるって。」

 

 

・・といういきさつがあって。

 

「まあ。 知り合いのところなら少しは安心かもしれないけど、」

 

さくらが言うと

 

「え、まーくんはそんなに安心じゃないよ、」

 

ひなたが水を刺した。

 

「は?」

 

「『おまえは人間としてはサイテーや!』ってパパが罵ってるところ何回も見たことあるもん、」

 

 

さくらは、この前博多でのイベントで真尋と仕事をしたときのことを思い出していた。

 

一気に黙り込んでしまったさくらに

 

「なんか、あったんですか。」

 

奏は不安そうに顔を覗き込む。

 

さくらは何かを思い出しているようで、握り拳をぎゅうううっと握っていた。

 

「ま、まーくんはめちゃくちゃだけど。 エリちゃんがいるから。 だいじょぶだよ、」

 

ひなたは笑った。

 

「不安にしたり安心させたり、なんなんだよ、」

 

「おみやげ。 買ってきてね。 あー、あたしも海外行ってみたいなー。

家族で行こうよーって言っても。 パパが家族7人なんてお金かかるからアカン!とか言っちゃって。」

 

「そのうち。行けるよ。」

 

奏は優しくそう言った。

 

そして夏休み。奏がウィーンに発つ日がやってきました。

 

 

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