Phrase(1) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

えっと・・

 

奏は大きなビルを見上げた。

 

スマホの地図と照らし合わせて間違いないとわかると小さく頷いて中に入って行く。

 

 

取り継いでもらったあとは、ロビーの隅に置かれたイスに座って待っていた。

 

窓の外に見える街路樹がもうどんどん枯葉となって落ちていくのがみえる。

 

もうすぐ10月か・・

 

なんだか夏休みにウィーンに行ったのがすごく前のことみたいに感じる。

 

ぼんやりとしていると

 

「あの。 事業部の方へ直接どうぞ、とのことです。 エレベーターで3階に行って出たら左に進んで頂くとすぐですから、」

 

受付の女性が声を掛けてくれた。

 

「あ、すみません、」

 

バッグを肩にかけて立ち上がった。

 

 

志藤さんとのつきあいは2年くらいだけど

 

ここに来るのは初めてだ。

 

奏は北都エンターテイメント本社に初めて足を踏み入れた。

 

 

クラシック事業本部

 

と書かれたプレートを見て、

 

「失礼します、」

 

遠慮がちに入口で声を掛けた。

 

しかし。

 

シーンとしていて人の気配がない。

 

「?」

 

どうぞって言われたのに・・

 

と思ってそーっと中に入って行くと

 

「・・あ?」

 

入口の対角線上に配置されたデスクの積まれた本の山から顔が出てきた。

 

「あっと。 す、すみません・・」

 

慌ててまた引っ込んだ。

 

「・・高遠くん?」

 

背の高い髭の男が歩み寄ってくる。

 

「は、はい、」

 

なんか。

 

おれまずかったかな?

 

と何もしていないのに自動的に反省してしまいそうになるくらいの怖い顔。

 

するとその男は少しだけふっと笑って

 

「・・久しぶり 本部長の斯波です。」

 

ボソっとそう言った。

 

「あ、高遠です。 ごぶさたしてます・・」

 

緊張気味に頭を下げた。

 

斯波とは母と設楽の結婚式に来てくれたので挨拶程度はしたことはあった。

 

 

「ごめん。 ちょっとその辺座って待ってて。」

 

「あ、はい・・」

 

パーテーションの向こうのテーブルのある場所を指された。

 

斯波さんは。

 

あの斯波宗一郎の、息子って聞いたことがある。

 

音楽を志す者なら恐らく誰でも知っている重鎮。

 

奏はそーっとそこにあった椅子に座りながら

 

 

今の本部長はね。 斯波ちゃんってゆって。 無口で顔が怖いんだけど、優しいの。

 

 

ずっと前ひなたから言われた一口メモを思い出したりしていた。

 

よくああいう人に『ちゃん』づけで呼べるよな・・

 

ひなたの肝っ玉にまで思いを馳せた。

 

 

ちょっと箸休め的なおはなしです。(^.^)

 

奏は初めてホクトのクラシック事業部を訪れます・・

 

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