昨晩、フジテレビの土曜プレミアム枠で放送されたスペシャルドラマ「アウトバーン マル暴の女刑事・八神瑛子」を鑑賞…「果てしなき渇き」を映画化した「渇き。」に続き、深町秋生の警察小説「
アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子
」の実写映像化で、オイラも3作目まで発刊されている原作の八神瑛子シリーズは全巻制覇している。主役のダーティーな女刑事に米倉涼子、その女刑事がツルんでるヤクザに、某連ドラへの出演で人気急上昇中の斎藤工…ほか、渡部篤郎、陣内孝則、西田敏行、岩下志麻といったベテラン、大御所も顔を揃える。
上野中央署組織犯罪対策課の刑事・八神瑛子は、同僚の刑事たちに金を貸し、見返りに情報を入手。それどころか、ヤクザたちも対等に渡り合っていた。ある日、千波組の組長の娘・香澄が惨殺されるという事件が発生。しばらくして、同様の手口の殺人が再び起きる。警察は同一犯の可能性とみて、捜査を始める。そんな時に、情報屋として懇意にしている千波組の甲斐から、兄貴分の戸塚を紹介された瑛子…戸塚は香澄殺しの犯人を警察よりも先に教えてほしいと頼み、報酬として3000万円を提示。どうやら戸塚は復讐を考えているらしいのだが…。
映像化の話を聞いたときは、けっこう嬉しかったものの…主演が米倉だってのがちょっとひっかかったな。男勝りキャラという点では悪くないのかもしれないけれども、オイラ的には…それこそ宝塚の男役出身のような、もうちょっと厳つい女優をイメージしてたんだよね。なんか、米倉だと軽すぎる印象が…。案の定ですね、ドラマ全体からシャレオツ感みたいなのが漂っていまして、深町秋生の原作にある、いい意味での下品さみたいなのが欠けているような…そこが深町作品の魅力だと思うだけど。映画の「渇き。」を見た後だと余計に物足りなさを感じる。
ストーリーの方も…だいぶ端折りが目立ちましたね。瑛子姐さんの破天荒な部分ばかりクローズアップされてまして、ちゃんと捜査(情報収集)している部分が省かれ過ぎなんですよね。いきなり、事件の絵図を描いた黒幕との直接対決に入ってしまうクライマックスなど、けっこう唐突な感じであり、アレレって思った。本来なら情報を整理してから黒幕と対決なんだけれども、黒幕と対決しながら、何があったか瑛子姐さんが推理を披露するという形での説明になり、相手から自白を引き出すみたいな展開だった。原作に近い仕掛けはちゃんと残ってたけど。
あとは、やたらと正義の味方を強調するのがね(自分でも言い切っちゃってたし)…なんか原作のイメージからかけ離れてるような。一応、原作と同じ目的なんかもあってですね、原作同様、今後の続編を期待させるようなフリもちゃんとしてるんですけど…瑛子姐さんが、金と真実に固執する本当の理由なんかは、もっと最初から前面に出してても良かったんじゃないかなって思ったね。一通り、事件が一段落してから、とってつけたように、瑛子姐さんがどうしてあんなダーティな刑事になってしまったのかという説明が語られてました。
原作ファンから見た、気になるマイナス点ばかり挙げてしまいましたが…良かった点もありましたよ。原作を読んでる時は、もうちょっと若い設定をイメージしてたんだけれども、瑛子姐さんが付き合っている中国マフィアの女ボスの英麗さんが、“極妻”の岩下志麻とか狙いすぎなキャスティングはけっこう気に入りました。“ゴッドマザー”なんて呼び名がぴったりとハマる貫録です。瑛子姐さんがのボディガード役、元レスラーの里美が、南海キャンディーズの静ちゃんとか、相変わらず演技は下手くそだったけど、ビジュアル面ではイメージにぴったりだったかなと。
たぶん、数字次第では続編もありえるでしょうね…「ストロベリーナイト」みたいに、続編は連ドラでってパターンがあってもいいかもしれない。でも、原作の下品さを忠実に描くなら、劇場映画でやってほしいかななんても思うわけで…。原作の2作目なんかは、瑛子姐さんのアクションの見せ場が増えていたりするので、米倉涼子にはもうちょっと頑張ってほしいかな?今回も拳銃を構えるシーンなんかがあったんだけれども、運動神経のいい米倉でも、あまり様になっていないと感じる。あと、もう変なファンサービスのコスプレなんかはなくてもいいですから(笑)
演出:西浦正記
出演:米倉涼子 渡部篤郎 斎藤工 寺島進 陣内孝則 戸田恵子 西村雅彦 岩下志麻 西田敏行
【原作小説はこちら】アウトバーン 組織犯罪対策課 八神瑛子 (幻冬舎文庫)

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