「特捜部Q キジ殺し」　★★★★～埋もれさせるには惜しい秀逸なミステリー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

埋もれさせるには惜しい秀逸なミステリー★★★★

特捜部Q ―キジ殺し― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

1,123円

Amazon

【　出演　】ニコライ・リー・カースファレス・ファレスピルウ・アスベックデビッド・デンシックダニカ・クルチッチ

【あらすじ】

　コペンハーゲン警察署にある未解決事件を捜査する“特捜部Q”。

　部署に所属するはみ出し刑事のカール・マークは、20年前に別荘地で双子の兄弟が殺害される事件に目を付ける。早々に犯人が逮捕され捜査は終了していたが、数々の不審点からQのメンバーは調査を開始する。

　調査を進めていくうちに、事件のカギを握るキミーと呼ばれた少女が失踪していたことが判明、行方を追うが、同時に当時同級生で今や各界のトップに立つ男たちもキミーを探していた。

　やがて、過去の事件の真実が明らかになっていく―

【コメント】

　さて、本作は毎年初めにイベント開催されている「未体験ゾーンの映画たち2016」で公開された一品で、TSUTAYAでパッケージを見た時に「こりゃちょっと面白そうだな」と目を付けていた映画です。

　しかしながら、本作は「特捜部Q」シリーズの第2弾ということのようで、これは先に前作を見ておく必要があるなと、本作鑑賞前にとりあえず『特捜部Q 檻の中の女』を鑑賞。これがなかなかに見応えのあるミステリーだったので、本作も期待して鑑賞してみた次第です。

　これは・・・面白い！面白ぇぞこれ！これを話題にならなかったその他2016年公開作品のひとつとして埋もれさせるにはあまりにも惜しい、非常に見応えがある秀逸なミステリー映画でしたね！個人的には前作よりも面白かったです。

　設定をまず説明しておくと、突っ走り気味の熱血刑事カールが自らの暴走によって相棒を死なせてしまい、“特捜部Q”なる過去の未解決事件を事務整理する、いわば左遷に近い部署に異動させられる。そこで知り合ったアラブ人の相棒とともに、過去の未解決事件を再捜査し見事解決、日陰だった部署から一目置かれることになる。

　続編となる本作も前作を踏襲し、カールが書類整理しているうちに見つけ出した未解決事件を再捜査するという流れ。ミステリーとはいえ、謎解きや犯人当てといった類ではなく、なぜ事件に至ったのかという背景を紐解いていき、人間が持つ恨みつらみや哀しみといった部分がピックアップされていくというヒューマンドラマの要素が大きいです。このシリーズは、むしろ捜査によってそういった人間模様の背景が見えてくることに面白さを見出すものだと思います。

　熱血刑事カールと相棒アサドとの凸凹コンビキャラも良いし、ストーリー展開も言わずもがな。なんといっても金持ちのボンボンにいいようにもて遊ばれたキミーの哀しい過去とクライマックスシーンのキミーの執念には哀しいくらいのインパクトがありましたね。

　そんなわけで、ミステリー好きには是非とも観てほしい映画です。もともとこの「特捜部Q」シリーズは小説のシリーズになので、物語自体がしっかりしているんでしょう。そして来年、シリーズ第3弾となる『特捜部Q Pからのメッセージ』が日本でも公開される模様。前作・本作ともに大変気に入ったので、絶対に劇場に観に行くと思います！