「貞子vs伽椰子」　★★☆～良くも悪くもティーン向けホラー

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

良くも悪くもティーン向けホラー

★★☆

【あらすじ】

　女子大生の有里と親友の夏美は、見ると2日後に必ず死ぬというという“呪いのビデオ”を偶然手にし、夏美がそれを見てしまう。
　一方、女子高生の鈴花は、足を踏み入れた者は生きて戻れないという“呪いの家”の向かいに引っ越して来て以来、奇怪な現象に見舞われる。
　ふたつの呪いを解くため、霊能界の異端児・常盤経蔵と、相棒の盲目の少女・珠緒は、呪いのビデオの“貞子”と呪いの家の“伽椰子”を激突させ、消滅させるという驚愕の計画を実行するのだが―

【コメント】

　7月三連休の初日、その週の目玉である『ファインディング・ドリー』に目を付けていたものの、せっかくの三連休だし『ファインディング・ドリー』はひとまず後回しにして、スルー確定だったもののちょっと気になっていた本作をチョイス。
　というのも、ネットで本作がなかなかの好評のようで、そんなに悪くないようならちょいと観てみようと、劇場公開も終わりかけではありましたが夜の「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

(C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

良くも悪くもティーン向けホラー

　うん、まあ良くも悪くもティーン向けホラーってところですかね。個人的には貞子・伽椰子ともにオワコンと思っていたので、何をいまさらとハードルを低めにして鑑賞しましたが、まあ悪くないといった感想です。
　展開として、“呪いのビデオ”のほうに若干偏った感じになっていますが、貞子も伽椰子もバッチリ怖がらせてくれるので、まるでジャパニーズホラーのアベンジャーズのような楽しみ方はあると思います。
　しかしながら、やっぱり怖がらせ方は視覚に頼ったものばかりで、心の底から「恐ぇ～」という感じではない。要するに、やっぱりティーン向けのホラーということです。まあ、オッサンが真剣に観ちゃいかん映画ではありますね。

続編やる気満々？最後に貞子と伽椰子が○○！

　その昔、『フレディvsジェイソン』という、本作のような２大ハリウッドホラーが激突する映画がありましたね。懐かしい。
　本作でもクライマックス、貞子と伽椰子が激突することになるんですが、どうも２大Jホラーの戦いというわりには、戦いらしい戦いはしていません。しかも、クライマックスがさほど長くなくあっさりし過ぎているため、せっかくのスペシャル感が台無しです。もっと見せるべきですね。
　それどころかラスト、貞子と伽椰子がなんと合体してしまうというオチ。そして、何の解決もしないまま映画が唐突に終わるので、中途半端感は否めない。まあ、これは「好評だったら続編作りまっせー」といういつものやつなんでしょう。

ティーン向けホラーには欠かせない出演モデルたち

　いつから始まったのか、Jホラーにはなぜか女優ではなく、モデルやアイドルを起用する傾向があるようで、今回は山本美月、玉城ティナが出演。なにかしら登竜門的な位置付けになっているんですかね、Jホラーものって。
　山本美月はともかく、玉城ティナなるモデルさんは正直僕は初見なので、どういった経歴を持っているのかは定かではありませんが、まだまだ演技がたどたどしいながらも、おそらくこれから売り出していくんでしょう。
　個人的には、やっぱり佐津川愛美が可愛くて良かったですがね。

どんどんモンスター化していく貞子の行く先

　本作は、今年のエイプリルフールで作られたジョークポスターから生まれたものですが、大ヒットした『リング』シリーズしかり、2012年に鑑賞した『貞子3D』しかり、山村貞子なるキャラクターは視覚的恐怖だけを狙った単なるモンスターに成り下がっている状況に、僕は哀しみを禁じ得ません。
　本作で登場する呪いのビデオも中身が全然変わっちゃっているし、なぜか2日後に死ぬという設定に改変されちゃっているし、どんどん一人歩きしちゃっていますしね。
　もうオワコン化しちゃっている二人のキャラですが、これから一体どんな方向性に向かっていくんでしょうかね。呪いが合体してしまった今、地球の人類を滅ぼしちゃうんでしょうか。
　でも、もう続けるには厳しいでしょうけど。

主題歌は聖飢魔Ⅱ「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」

　本作の主題歌を担当しているのは、なななんと聖飢魔Ⅱ！
　現在は魔界へ帰還されているようですが、また人間界へ舞い降りてきてほしいもんです。