「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
ハチャメチャなようで実は衝撃的な社会派映画
★★★☆
(2016年/日本/135分)
【 監督 】
白石和彌
【 原作 】
稲葉圭昭
【 出演 】
綾野剛
YOUNG DAIS
植野行雄
矢吹春奈
瀧内公美
田中隆三
みのすけ
中村倫也
勝矢
斎藤歩
青木崇高
木下隆行
音尾琢真
ピエール瀧
中村獅童
【あらすじ】
大学の柔道部で腕を買われ北海道警察に勧誘され刑事となった諸星要一は、ろくに捜査もできず煙たがられていた。
そんな中、凄腕の刑事・村井定夫からの助言により協力者“S(スパイ)”を作り、覚せい剤・拳銃所持の暴力団員を逮捕する。それをきっかけに、暴力団幹部の黒岩勝典と兄弟盃を交わし、黒岩とロシア語が堪能な山辺太郎、そしてロシアルートの拳銃横流しに精通するパキスタン人アクラム・ラシードがSとなり、拳銃摘発の水増しするようになる。
黒岩はさらに大きな計画を諸星に持ち掛け、税関、道警を巻き込んだ日本警察史上最大の不祥事を引き起こすことになる―
【コメント】
夜勤続きの週で、観たい映画があるも劇場に行くにも行けず、やっとこさ観ることができたのが本作。
劇場でさんざん予告編を観ていた本作ですが、あの強烈で極悪な映画『凶悪』を監督した白石和彌作品とあれば、こりゃ期待できるに違いないと目を付けていた映画でした。
34℃という炎天下の中、近場の「立川シネマシティ」にて鑑賞した次第です。
ハチャメチャなようで実は衝撃的な社会派映画
いや~面白かった。一見ハチャメチャっぽい展開のような感じを出しながら、題材は実話を元にしたと思って観れば決して荒唐無稽だなと笑って観ていられない、なかなかの衝撃的な映画でしたね。
ひとりのマジメな刑事が成績のためにどんどん堕落し組織までも巻き込んでていく姿を、最後まで飽きさせずテンション高く見せてくれるのでお腹いっぱいです。もっとも、最後が長すぎの蛇足のような気もしましたが、評判に違わない問題提起ある社会派な映画でしたね。
一皮むけたか?綾野剛の体当たり演技に注目
本作に出演している役者陣は皆印象的な人たちばかりで、キャスティングの上手さも光っていますが、やっぱり本作でもっとも光っていたのは主役の綾野剛でしょう。
まじめな柔道部員が点数稼ぎに囚われて本来の目的を忘れ、暴力、女、そして薬と、堕落の一途を辿っていく姿を見事に演じていましたね。
イケメン若手俳優という位置付けであったこれまでの役どころとは一味違う、まさに体当たり演技だったかと思います。本作をターニングポイントに、役者としても一皮むけたんじゃないでしょうか。
衝撃度は『凶悪』のほうが上、だけどよく映画にしたと感心
まあでも、よくこの題材を映画化したもんだと正直関心しましたね。脚色しているとはいえ、そもそものネタは実話なんですから。こんなの映画化したら、北海道警察はおろか全国の警察への不信にも繋がりかねませんからね。
白石和彌監督の前作『凶悪』と比べると衝撃度としてはマイルドだったと思いますが、それでもいわゆる警察のタブーに切り込んだ、ある意味勇気ある映画だと思います。
実は“正義”では動いていない警察
本作を観ると、警察とは何のために存在するのか?何のために街の安全を守っているのか?という根本的な問題提起になっているんじゃないかと感じます。
街の平和を守る、というよりも実は本作のように点数稼ぎのために動いていて、実は“正義”のために動いているのか、と問われれば疑問を感じるところはありますね。
最近も、地下アイドルが惨殺された事件があったし、かと思えば痴漢冤罪のように疑わしき者を罰するようなこともしてたりしますよね。結局は点数稼ぎ、成績なんです。
良い成績を収めるためには、でっちあげ、水増しを意図的に工作する。そうしないと、警察仕事してんのか?という冷たい市民の目がある。平和な街なら事件がないのは当たり前だけど、仕事の成果を見せるためには嘘でも事件を解決しなければならない。
現代の警察における成績制度に対する問題提起ともいえる作品だと思いましたね。
主題歌は東京スカパラダイスオーケストラ「道なき道、反骨の。」
ショートバージョンでどうぞ。
【2016年度 Myランキング】(7/2時点)
本作は、本年度の次点(暫定)にランクイン。
仕事が全然片付かない。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ ★★★★
2位:オデッセイ ★★★★
3位:アイ アム ア ヒーロー ★★★★
4位:エクス・マキナ ★★★★
5位:マジカル・ガール ★★★★
6位:HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス ★★★★
7位:さらば あぶない刑事 ★★★★(思い出補正あり)
8位:TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ ★★★☆
9位:デッドプール ★★★☆
10位:ボーダーライン ★★★☆
次点:日本で一番悪い奴ら ★★★☆
ヘイトフル・エイト ★★★☆
血まみれスケバンチェーンソー ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:セーラー服と機関銃 -卒業- ★★
2位:X-ミッション ★★☆
3位:アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅 ★★☆
<その他ランク外一覧>
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