「信長協奏曲」 ★★☆~TVドラマの枠を超えられなかった集金映画 | そんなことより恋をしろ

そんなことより恋をしろ

『映画を観るよりもお前は恋をしろ恋を』
…そんな感じのブログです。

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」



TVドラマの枠を超えられなかった集金映画

★★☆

信長協奏曲

(C)石井あゆみ/小学館
(C)2016 フジテレビジョン 小学館 東宝 FNS27社



(2016年/日本/126分)

【 監督 】
松山博昭

【 原作 】
石井あゆみ


【 出演 】
小栗旬
柴咲コウ
向井理
山田孝之
藤ヶ谷太輔
水原希子
濱田岳
古田新太
高嶋政宏
でんでん
勝矢
阪田マサノブ
阿部進之介
北村匠海




【あらすじ】

 現代から戦国時代にタイムスリップし、ひょんなことから“織田信長”として生きることになったサブロー。
 安土城が完成し天下統一まであと少しとなったサブローだったが、同じくタイムスリップしてきた松永に、信長が間もなく死ぬ運命にある事実を知らされ苦悩する。
 運命を変えようと立ち上がり、本能寺で帰蝶との結婚式を計画するが、サブローに嫉妬心を抱く明智光秀と、暗殺の機をうかがう豊臣秀吉がサブローの暗殺を企てる―


【コメント】

 さて、本作は2014年秋にフジテレビの“月9”で放送されていた、月9の歴史では初の時代劇ドラマで、この1クール前には深夜アニメも放映されていたもので、とりわけ僕はドラマ版を毎週欠かさず観ておりました。月9では今までになかったドラマだったので、けっこう楽しく観ておりまして、その後レンタルでアニメ版をコンプリートしております。
 そんなドラマが映画化とあって、これは絶対に観なきゃならんと楽しみにしてました。ということで、ちょっと趣を変えて「吉祥寺ヲデオン」まで足を運んで鑑賞した次第です。


信長協奏曲

(C)石井あゆみ/小学館
(C)2016 フジテレビジョン 小学館 東宝 FNS27社



TVドラマの枠を超えられなかった集金映画

 うーん、これはちょっと・・・残念な出来ですね~
 TVドラマの最終回では、信長が暗殺される本能寺が登場するところで終わりだったので、本作はTVドラマからの正統な続きの映画ということになりますが、良くも悪くもTVドラマのテンションやクオリティそのまんまで、小栗くんをはじめとして柴咲コウや向井理、山田孝之、高嶋“勝家”政宏といったおなじみの面々が脇をがっちりと硬め、ドラマが好きだった人からしてみれば安心して楽しめるものになっていると思います。
 しかしながら僕の感想としては、果たして本作は映画というスペシャルな完成度だったかという疑問が残りましたね。TVドラマの枠から抜け出せていない、ドラマの最終回を金払って映画館で観ましたという感想しか生まれない、スペシャル感の全くない作品だったと思います。
 楽しみだっただけに本作の出来にはちょっと残念感がありましたね。


「最終回はお金払って観に来てね」というフジテレビの拝金主義

 結局、地上波で1クール引っ張るだけ引っ張って、「ドラマの最終回は映画館でやるのでお金払って観に来てね」というフジテレビの集金対策も見えちゃった感じがして、鑑賞中どうしても気分が乗らなかったのも事実です。
 ぶっちゃけ本作はTVドラマを2時間半枠くらいで放映しても全然違和感のないクオリティで、何度も言うように映画のスペシャル感は全くなく、TVドラマのように薄っぺらーいライトなお笑いとお涙頂戴に終始している。ド派手な合戦シーンや信長の苦悩、帰蝶との恋愛模様などに深みが全くない。本当に最終回を映画館で見せられただけの作品です。
 さもすれば、これからフジテレビはこんな手法で映画を作っていくのかも知れませんな。


予想どおりのラスト、納得のいかないラスト

 ラストもおおよその予想どおりの展開で、ネタバレしちゃうとサブローは現代に戻って終わり。生き延びて帰蝶と静かに戦国の世で暮らすという予想もあったのですが、まあ現代に戻るだろうなとは薄々感じてましたね。
 しかしながら、ラストで送られた帰蝶のビデオレターがどうも納得いかない。電気の無い時代によく何年もスマホかビデオカメラか、とにかくその電子機器のバッテリーを何年も温存できたなと。スマホなんて1週間どころか3日ももたねーぞ。
 そんな細かいところがすごーく気になっちゃって、些細なことでも少し気になっちゃうと全然乗れず冷めていく自分がいる。感動のラストをひねり出して考えたんでしょうが、想像の枠も超えられず細かいところでツッコミ入れたくなるで、いただけないラストシーンでしたね。


Mr.Childrenのテーマソングだけは耳に残る良い曲

 とはいえ、本作の主題歌であるミスチルの「足音 ~ Be Strong」、これだけは耳に残ると手も良い曲ですね。これを聴くと「信長協奏曲」を思い出す、非常にマッチした曲だと思います。





原作が終わっていないコンテンツに対する今後の対応

 そもそもこの「信長協奏曲」、漫画である原作はまだまだ連載中。
 昨年の実写版「進撃の巨人」前後編もそうだったように、原作が絶賛連載中というのに勝手に結末を創作して完結させてしまう昨今の日本映画はいかがなものかと感じてしまう。
 別物と言われればそれまでだが、「徹は熱いうちに打て」と言わんばかりに、話題のコンテンツは話題になっているうちに食い尽くしちゃおうという魂胆が見え見えで、原作に対するリスペクトというものが全然感じられない。結局はお金儲けなんでしょう。
 原作が面白いからこそ話題になり、話題になっているからこそ実写映画化が出来るというもの。映画製作者は「こっちのストーリーのほうが面白い!」とムダな作家魂など出さなくてもいいんです。所詮原作には勝てないんだから。
 映画製作者は、極力原作を忠実に再現しつつ、演出や映像に深みを出す努力をしてもらいたいものです。


信長協奏曲

(C)石井あゆみ/小学館
(C)2016 フジテレビジョン 小学館 東宝 FNS27社



【2016年度 Myランキング】(1/24時点)

 本作は、本年度のワースト3中1位(暫定)にランクイン。
 さっそくのワースト1位いただきました。


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:
  2位:
  3位:
  4位:
  5位:
  6位:
  7位:
  8位:
  9位:
 10位:
  次点:
     
     


(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:信長協奏曲 ★★☆
  2位:
  3位:


<その他ランク外一覧>
ブリッジ・オブ・スパイザ・ウォーク






『信長協奏曲』公式サイトはこちら


信長協奏曲 DVD-BOX


信長協奏曲(アニメーション) DVD BOX




にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村


映画 ブログランキングへ