「スポットライト 世紀のスクープ」 ★★★☆~淡々としているが確かな見応えある映画 | そんなことより恋をしろ

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」



淡々としているが確かな見応えある映画

★★★☆

スポットライト 世紀のスクープ

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC




(2015年/アメリカ/128分/Spotlight)

【 監督 】
トム・マッカーシー

【 出演 】
マーク・ラファロ
マイケル・キートン
レイチェル・マクアダムス
リーブ・シュレイバー
ジョン・スラッテリー
ブライアン・ダーシー・ジェームズ
スタンリー・トゥッチ
ビリー・クラダップ
ジェイミー・シェリダン




【あらすじ】

 2002年、アメリカの新聞“ボストン・グローブ”に新任の編集局長バロンが就任する。
 綿密な調査による長期連載を主とする“スポットライト”チームのリーダー、ロビーは、バロンからカトリック教会の性的虐待スキャンダルを題材にした“ゲーガン事件”を追うよう命じられる。
 チームのマイク、サーシャ、マットは、タブーとなるこの事件を追うことになるが、それは困難を極めるものだった―


【コメント】

 さて、見事、本年度の米アカデミー作品賞に輝いた本作が満を持して日本公開とあって、兎にも角にも劇場に足を運んだ次第。
 まあ、作品賞を受賞したからといって面白いとは限らないことは本ブログでも散々語っていますが、そこはやっぱりどうしても期待してしまうのが映画好きの心情ってもんですな。


スポットライト 世紀のスクープ

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC



淡々としているが確かな見応えある映画

 いや、いかにも賞レースでなんらかを受賞しそうな感じのする映画でしたね。派手さは無くともしっかりとした筋のある骨太な作品で、淡々とした展開ながらも実に見応えがありました。
 事実に基づき、新聞記者が難題に挑むといういわゆるジャーナリズムというものをテーマにしたものですが、あくまで淡々と新聞記者の行動のみを追っていくといったもので、記者たちや神父たちのパーソナルに切り込んだ余計なドラマを極力排除した姿勢はとても良い。おかげで、中弛みすることなく冒頭から緊張感を持って映画に集中できたので、ストレートで贅肉がないものに仕上がってましたね。


俳優マーク・ラファロとマイケル・キートンの底力

 本作の内容もさることながら役者陣も個性派が揃っていて、とりわけスポットライトチームの行動派マイク役のマーク・ラファロが非常に輝いていましたね。足を使って事実を追究していく姿、相手が誰であろうとお構いなしにズケズケと切り込んでいく雄姿、まるで本物の新聞記者であるかのようなアクティブな立ち振る舞いは見ているこっちも勇気づけられます。
 そして、チームリーダーのロビー役であるマイケル・キートンの、冷静沈着でどっしりと構えつつもチームを取りまとめるカリスマ性と部下を信頼する優しさを兼ね揃えた役柄はピッタリでしたね。「こんな上司についていきたい!」と思わせる存在感ある演技でした。ぶっちゃけ、本作の主役はマイケル・キートンだったんじゃないかとも感じます。


新聞というメディアの力強さ

 今はインターネットでなんでも情報が入ってしまうので、新聞というメディアはもはや時代遅れかのように売り上げが落ち込んでいるようですが、本作を観ると、いかに新聞記者たちが足繁く現場に通いインタビューを重ねて真実を追求しているかという苦労が垣間見られますね。
 日本の新聞もインターネットに押されて、新聞がネットに叩かれてしまうくらいの立場になってしまっていますが、使命感に溢れた記者たちもたくさんいるでしょうし、そういう記者たちが支えている限り、まだ新聞というメディアには力強さがあるでしょうね。


日本人にはちょっと伝わりづらいか信仰心

 本作を観ると、改めて欧米のキリスト教の絶対的な信仰心というのは揺るぎないんだなと感じます。
 もちろん日本人に信仰心が無いわけではありませんが、欧米ほど絶対的なものではないですから、本作の題材になっているタブーというのはあるいはピンとこないのかも知れません。
 かくいう僕自身も、さほど宗教心はないし、あくまで現実的な視点で物事を観ちゃうたちなので、キリスト教の絶対的位置付けというのはよく分かりませんが、世界ではまだまだ信仰心というのは強いんだなと感じます。それで戦争にもなるし。


インターネットに立ち向かう新聞記者たち

 本作の根底にあるものって、嘘か誠かわからない情報が溢れ真実が見えてこなくなったインターネット社会である現代に、真のジャーナリズムとは何ぞやと問いかけているところにあると思います。
 起こった出来事だけを書き並べるだけではなく、ひとつの事件を深く深く掘り下げ真実を見極めることこそが情報を発信する側の使命、ジャーナリズムなのではないか、と訴えかけているんじゃないか、僕はそう感じました。
 こういったタイムリーなテーマ性こそ、賞レースを制する必要条件といえるでしょうね。


スポットライト 世紀のスクープ

Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC



【2016年度 Myランキング】(4/17時点)

 本作は、本年度のベスト10中6位(暫定)にランクイン。
 がんばれ熊本!


(ベスト)… ★★★☆以上が基準

  1位:オデッセイ ★★★★
  2位:マジカル・ガール ★★★★
  3位:さらば あぶない刑事 ★★★★(思い出補正あり)
  4位:ボーダーライン ★★★☆
  5位:ヘイトフル・エイト ★★★☆
  6位:スポットライト 世紀のスクープ ★★★☆
  7位:ちはやふる -上の句- ★★★☆
  8位:
  9位:
 10位:
  次点:
     
     


(ワースト)… ★★☆以下が基準

  1位:セーラー服と機関銃 -卒業- ★★
  2位:X-ミッション ★★☆
  3位:信長協奏曲 ★★☆


<その他ランク外一覧>
ブリッジ・オブ・スパイザ・ウォーク残穢-住んではいけない部屋-白鯨との闘いスティーブ・ジョブズドラゴン・ブレイドゾンビスクール!珍遊記パラドクスザ・ブリザード僕だけがいない街デッド・オア・リベンジバットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生インシディアス 序章あやしい彼女暗殺教室 ~卒業編~






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